初対面
村への道は屋敷の近くにある川に掛けられている橋を渡り、その先にある竹林をまっすぐ走れば小高い丘の上に出る。そこを下れば村に着く。
それは、村へと続く林へはいる直前のことだった。
(鬼ってどのくらい強いんだろ。弱いと助かるな。あと比較的対象がないからアレだけど俺ってもしかしたらすげえ走り速いんじゃねえか?)
と、考えていたところ、
聞き覚えのない声が聞こえる。
「おい!」
ふと、足を止める。
(ん?なんか聞こえたか?…いや、気のせいだな)
そう考えてもう一度走り始めかけた時、
「おい!聞こえているのだろう!」
なんだ?と思い声の主を探すと、自分の背後に馬に跨がり全身を甲冑で固めた、いかにも武士という出で立ちの20人ぐらいの集団があった。
先頭にいる声の主と思われる男は続ける。
「聞こえているのだろう?返事をしろ。」
「は、はい!」
「して、貴様。如月村というのはどっちにあるのだ。」
(如月村?どこのことだよそれ。こっちが聞きてえよ)
「し、知りますん!」(噛んだじゃねえか!)
「なんだ?知ってるのか知らんのかはっきりしろ!」
「ふぅ…。如月村?というのは知りませんが、村というのはおそらくあの煙の出てるところじゃないですか?」
「ふむ、あっちか。ずっと林の中を走ってて気付かなかった。行くぞ!」
『おお!』
そういって手綱を引くとまわりもそれに続いて走り去って行った。馬の地響きが遠ざかるなか、不満だけが募っていく。
(おいおいいきなり声かけんなよ、てかいきなりタメ口聞いてんじゃねえよ、 ていうか!人がせっかく気持ちよく走っている時にあんな速さで駆け抜けて行くんじゃねえよっ!)
「はぁ、大人しく走るか…」
そして少年はまた足を動かす。




