9.友達以上恋人未満or恋愛対象
あくまでも、フィクションですから。
9.友達以上恋人未満or恋愛対象
朝食は昨夜と同じレストラン。先に席に着いたボクらの少し後から女性陣がやって来た。律子さんの姿を見かけてボクは手を上げて合図した。
「こっちですよ」
律子さんは頷いてボクらの席へ近付いて来る。律子さんと一緒に席に着いた他の女性陣を見てボクたちはハッとした。律子さん以外、みんなメガネをしている。
『…メガネが良く似合う女性は知的で素敵だと思いますよ』
昨夜の午雲さんの言葉が浮かんできた。
「あれれ?みんな二日酔いで目が悪くなったかな?」
「私たちは飲んでいませんから」
香穂里さんとまゆさんが閉伊さんに反論した。
「皆さん素敵ですよ」
すかさず午雲さんがフォローする。急に顔色を変えて愛そうよく微笑む女性陣。やっぱり!昨夜の午雲さんの言葉に触発されたようだ。
「たまには気分を変えてみるのも悪くないかなって」
香穂里さんが言う。
「皆さん、元々メガネをされているんですか?」
「たぶん、鉄人が活動報告でメガネっ子が好きだって書いていたの知っているからでしょう?」
「そう!でも、メガネは普段から持ち歩いているのよ」
香穂里さんもまゆさんも雫さんもPC用のメガネは必需品だからと言った。
「私は老眼も入っているけれど」
そう言って笑いを誘った美子さんは知的と言うよりはなんか可愛らしい。
「なんだ、なんだ!それじゃあ、みんな日下部君のことが好きなのか?」
閉伊さんが茶々を入れる。
「鉄人は優しいから」
「あれ?りったんも?」
律子さんはボクの方をチラッと見て微笑んだ。
「そうですね。僕が女性だったら日下部さんみたいな人に憧れるかもしれませんね」
そう言ってくれた大橋さんの声はしゃがれ声になっている。ラウンジが閉まるまでずっと歌っていたらしい。
「大橋さん、ひどい声ですね」
昨夜の活躍ぶりを知らない美子さんが驚いている。
「まあいいや。取り敢えずビール頼もうぜ」
「賛成!」
真っ先に手を上げた雫さん。
「あれっ?りったんはいいの?」
「うん。今日はちょっと…」
「どうしたの?急にしおらしくなっちゃって」
「いいから!」
何かとちょっかいを出す閉伊さんを雫さんが窘めた。
部屋に戻ると、閉伊さんに詰め寄られた。
「日下部君はモテるんだね」
「いえ、いえ。閉伊さんほどではないですよ」
「いや、いや。俺なんかせいぜい頑張っても友達以上恋人未満。日下部君の場合はみんな恋人みたいな対象で見てるもんな」
「そう、そう!僕もそう思いましたよ」
「やっぱ、大橋君もそう思うだろう」
「そんなことはありませんって!ボクだって、もう50だし、妻子ある身なんですから」
「だけど、不倫は得意なんじゃないの?」
「それは作品の中の話じゃないですか」
「うーん…。そう言われればそうか。実際に会ってみると、小説のイメージとは全然違ったなあ」
「そうでしょう!皆さん、ちょっと誤解しすぎですって」
「いいじゃないですか。みなさん、それなりに素敵な方ばかりですから」
午雲さんが割って入ってくれたのでボクは助かった。この旅行では午雲さんに助けられてばかりだ。本当に誘っておいてよかったよ。
「出発までにはまだ少し時間がありますね。僕は先にロビーへ行ってます。お土産を見たいので」
「あ、僕も」
「じゃあ、みんなで出ようぜ」
ボクたちは仕度を終えると、部屋を出た。途中で女性陣の部屋に寄った。先にロビーに行っていると伝えるためだ。ドアをノックすると、雫さんが顔を出した。ドアの隙間から着替えをしているまゆさんと香穂里さんが見えた。まゆさんと目が合った。まゆさんは無言でボクの視界から消えて行った。
「ん?どうした?」
「あ、なんでもないです。じゃあ、そういう事で」
「解かった。ウチらもすぐに行くから」




