第9話:至高のニート生活、ただし四肢の自由はございません
「さあルカ様、朝食のお時間ですわ。あーん、してくださいな」
「あ、あの、エレノア様……。今日はなんだか、右手の親指くらいはピクピク動く気がするので、スプーンくらいは持てるかも――」
「ダメ、です」
帝宮の最深部、もはや要塞と化したエレノア様の私室。
僕はふかふかの天蓋付きベッドの上で、完全に寝たきりの状態を強いられていた。
エレノア様の目が微笑んでいるのに、背後のオーラが完全に「逃がさない」と言っている。
「ルカ様は『1年間動けない』のです。奇跡の力を使い果たした反動なのですから、大人しく私にすべてを委ねてくださいな。ほら、あーん」
「あ、あーん……(モグモグ)……美味しいです」
(極楽。極楽なんだけど……プライドが! 毎日3食、お着替えから何から何まで皇女殿下にやってもらうの、男として別の意味で理性が爆発しそうなんだけど!)
しかも、ベッドの左側には、聖騎士団長を電撃辞職したセリアが「生体シールド(物理的な添い寝要員)」として24時間体制で待機しているし、足元では元四天王のベアトリスが僕の足を湯たんぽ代わりに抱きしめて寝ている。
僕の第2防衛ライン(1年間動けない設定)は完璧だが、ヒロインたちの愛の重さでベッドが物理的に沈みそうだった。




