スワンプマンは俺か?
なるべく早く面白くなってくるところまで書き進めます!もうしばしお付き合いください!
崖から身を投げ光の川へと吸い込まれていく。
ダリアはその様子をどこか他人事のように感じていた。
走馬灯というやつだろう。今までの人生の出来事が頭の中を流れてゆく。
家を飛び出し、冒険者となったダリアは見習いのG級から着実にランクを上げ、若くしてベテランと呼ばれるC級まで歩を進めた。
しかし、有望な若手と称された彼の栄光はそう長く続かなかった。
一般に、冒険者の頂点はB級とされている。
その上のA級ともなれば、もはや人の領域ではない。
だから、まっとうな冒険者として最高位であるB級冒険者は皆の憧れであったし、ダリアも当然いつの日か到達すると思っていた。
「はぁ、こんなときに一体何を思いだしているんだか」
妙に長く感じるが、実際には一瞬の出来事なのだろう。終わりの時は近づいてきている。
そしてダリアは光の川に間違いなく落下し・・・・・・
記憶が無い。確かに今、川辺にダリアは立っている。
だが、服は濡れていないし、不気味なほどにけがもしていない。
「運良く助かったとしても腕の一本や足の一本は折れててもおかしくない高さだと思うんだがな」
崖を見上げながらつぶやく。
手元に帰ってきた時計も少しゆがんでしまったが、未だその針を刻んでいる。
間違いなく川に落ちたはずだ。だが、ダリアは今生きている。
「なんで俺は生きてる?」
思わず川をのぞき込むが、そこには先ほどと変わりなく光り輝く何かが流れている。
とても水には見えない。
自分の顔が映り込んでいる。——表情はうまく認識できない。
「さすがにもう一度この川に飛び込む勇気は無いな。だが、川の作りを見るにそこまで深いというわけでも無さそうだな」
「とにかく出口を探そう。せっかく生き残ったんだ、生存も報告しないと行方不明で死亡扱いされちまう」
しかし、歩けども歩けどもボス部屋もセーフティエリアも見つからない。
かといって今唯一頼ることのできる目印である川から離れる勇気もなかった。
「結局あれ以来魔物には一度も出会っていないな」
「もしかしてあいつがフロアボスで、崖から飛び降りたことで次のフロアに来ちまったのか?」
ダリアの仮説が正しいなら、出口へは一歩近づいていることになる。
無意識にそんな希望を口にしながら、でも足だけは止めることなく進み続ける。
そして、
「もうらちが明かねえな。考えてみればここは帰らずの森みたいなギミックがあった。目印を頼るって言うのはあんま通用しないのかもしれない」
「帰らずの森ってのは、魔物がほとんど出ない代わりに、延々と迷わされるダンジョンだったはずだ」
「それと同じなら、どこかに正解の道があるのか?」
代わり映えのない景色だ。光る川に輝く鉱石の川辺。目印としては十分すぎる。
だが。
歩いているはずなのに、景色があまり変わっていない気がした。
「……」
一呼吸置く。
考えても分からないなら——
ダリアは目印に背を向けて歩き出した。
歩き出してどれくらいたっただろうか。変化は唐突に訪れた。
「……人だ」
——さっきまで、何もなかったはずの場所に。
ダリアの心が弾む。彼らはまだダリアに気がついていない。
そこには6人の冒険者がいた。皆見覚えのある姿をしている。
4人のうち2人はギルドの紋章のついた装備を身につけている。腕には青い布が巻かれている。
救助隊の目印である。
「あれはギルドの救助隊。てことは俺が迷い込んだタイミング的に残りの4人は......」
見慣れた仲間たちの姿に違いない。生還したのだ。
ダリアの目に涙が浮かぶ
「おお~い!みんな無事だったのか!戻るのが遅れて心配かけてすまない!」
声を張り上げる。
声は、ちゃんと出ているはずだった。
——だが、どこか噛み合っていない感覚がある。
そんな違和感を感じながらも、さっきまでの奇妙な体験をどう説明しようか。
無謀なことをした謝罪をまずするのが先か
ようやく先のことを考える余裕が出来た。その直後。
「下がれ!君たち!こいつは普通じゃない」「下手に背中を見せるなよ、何をしてくるかわからないぞ!」
救助隊の証を腕に巻いた職員2人が立ちはだかるように前へ出る。
「ちょ、ちょっとまってくれ!俺だ!ダリアだ!わからないのか!?」
救助隊はさらに顔をこわばらせる
「ダリアだと?ふざけるな」
「見知った名前を使われるのは、胸くそ悪いな。もう少しうまく化けるんだったな」
「お、おまえたちはどうだ!ずっとパーティを組んでた俺を間違えるはず無いよな!」
立ちはだかる2人よりすこし年若く見える彼らは、恐れるようにダリアを見つめると
「違う」「お前がダリアさんな訳がねえ!」
もはやとりつく島もない。守るべき彼らに剣を向けられたダリアに出来ることはもう一つしか無かった。
「くそっ」「逃がすな!あの魔物はダリアの何かを知ってる!」
全力で奥へと走る。何が起きたかも理解できないまま、必死になって追っ手をまく。
(どういうことだ。何が起きてる。どうして誰も、俺を——)
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