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No.098  優勝セレモニー と商談

ゴーレム闘技大会が終わり、例年であれば王都で優勝者を称えるパレードが行わるのだが、今年は優勝者を1位とはみなさず2位が優勝者、3位が準優勝者となった。


全てはゴーレム闘技大会を運営するゴーレムギルドの意向であるため、誰も口出しをすることはできない。


だが、ゴーレム闘技大会が終了し優勝者を称えるセレモニーで、本来の優勝者の名前が呼ばれなかったことに対して観客が怒りを爆発させ暴動が発生し、それは街中にまで発展したため収集がつかなくなったゴーレムギルド本部は、王都の治安を考慮して次の日に行う予定であったパレードを中止した。


いつもならお祭り騒ぎとなり、王都が活気付くのだが今年の王都の空気は重いものとなった。


対してカルルがゴーレム闘技大会に参加するために立ち寄った王都から10km程の場所にある小さな街では、この街のゴーレムギルド支部がさささやかながら祝賀会を兼ねたお祭りを開催する運びとなり、その準備に街全体が活気付いている。


通常ならゴーレムを操る選手が祭りの主人公となるのだが、カルルのゴーレムであるヴァイオレットは、知能の魔石により自立行動、疑似感情機能、会話機能を有しているため、会話ができて歌って踊れるゴーレムとして、街の住人と共に明日の祭りの準備に奔走している。


この街のゴーレムギルドで登録した選手が闘技大会で優勝したことはなく、優勝者を出した支部には相応のベッティング(賭け)の分配金が支給されるため、支部としても懐が潤うとギルド職員は大喜びであった。


そして次の日、昼過ぎから始まったゴーレム闘技大会の優勝者を称える祝賀会は、ヴァイオレットの独壇場となる。


街の中央に設けられた小さな舞台の上で歌い踊るゴーレムは、街の住民の心を鷲掴みにした。


しかもゴーレムでありながら見目麗しい美貌と表情豊かな容姿に、若い男ならずとも目も心も捕らわれる者が続出し、若い女性達はどうやったらそんな美貌を手に入れられるのかと垂涎の眼差しでヴァイオレットを見つめていた。


ヴァイオレットは、表情豊かに歌い踊りながら街の通りを住民達と共に進んでいく。


その光景をカルル、アリス、ハンド、パトリシアが食堂の椅子に座りながら眺めていた。


カルルの頭の上には、眠たそうな目を半分だけ開けて寝ている小さな梟がいて、街のお祭り騒ぎに少し迷惑そうな表情を浮かべている。


そこに軍服姿の軍人ふたりが現れ、カルルにこんな話を持ち掛けてきた。


「昨日のゴーレム闘技大会優勝おめてとうございます」


「ありがとうございます。でも闘技大会で僕は優勝者扱いとなっていません。ただの参加者だそうです」


「それは納得できませんね。ゴーレムギルドも何を考えてそのような決定をしたのが甚だ疑問です」


「それで、僕に何かお話があるのでしょうか」


「あ、そうでした。私は、マルドーナ王国軍の調達部門に所属するアンドレア少佐です。彼女は副官のリオラ中尉です」


ふたりの軍人の挨拶にカルルも自身について簡単な紹介を行う。


「僕はカルルと言います。北ラルバード大陸から来た錬金術師で飛空艇創りと魔道具創りを生業にしています」


「カルル殿は、ゴーレムを作る職人ではなく飛空艇創りが本業ですか?」


「はい。ゴーレムであるヴァイオレットは試作品として創ったもので、飛空艇内には飛空艇創りと魔石の錬成を行う作業用のゴーレムが各1体ずついます」


「ほう、試作品のゴーレムであの強さですか」


「試作品と言ったのは、ゴーレムに使っている魔石が特殊なので、市場に出すことができないからです」


「市場に出せない魔石ですか。あのゴーレムにどんな魔石を使っているのですか?」


カルルは、左腕に装備している中継コアが埋め込まれた腕輪をアンドレア少佐とリオラ中尉に見せる。


「この腕輪に埋め込まれた魔石は中継コアといいます。この中継コアを介してヴァイオレットに命令を伝えています。厳密にはこの中継コアは、飛空艇内に置かれたダンジョンコアを介してゴーレムを制御しています」


「ダンジョンコアですか。まさか迷宮の最深部にあり迷宮を生み出し魔獣を生み出すあの迷宮コアですか?」


「詳細は言えませんが、その認識で正しいです。とある場所で迷宮コアになる魔石を入手したので、それにゴーレムを魔獣として登録しています。こうすると複数のゴーレムを同時に操ることができますが、代償として大量の魔力を使います。人が操れるゴーレムの数としては1~2体が限界なので、僕は既に許容範囲を超えています」


「でもダンジョンコアを使うとなると魔獣が生み出されたりはしないのですか?」


「まさにそれです。今は魔獣を生み出す機能を停止させています。もしこの機能を有効にすると、ダンジョンコアは魔獣を生み出すために人を襲い魔力と生命力を再現なく奪っていきます。なので市場には出せないのです」


カルルのゴーレムであるヴァイオレットがなぜあれだけの強さを持ち合わせていたのかを少しだけ理解できたアンドレア少佐は、少し考え込むと川を続ける。


「ちなみにヴァイオレットを操作できる距離はどれくらいですか?」


「僕を起点に50km四方になります」


「なんと。50km四方ですか。それは凄い。通常ゴーレムであれは数kmが限界のはずです。それを50km四方とは驚きです」


「複数の中継コアを配置して命令を伝達すれば、数百km先でも操れますが、そうするとゴーレムと操者の間に時間差が生ずるので実用的ではないですね」


「カルル殿は、ゴーレムを売る気は無いというのは分かりました。ではカルル殿の本業である飛空艇をマルドーナ王国軍に売る気はありますか?」


「それは構いません。それこそ僕がこの大陸に来た目的のひとつでもあります」


「ご存じだと思いますが、わがマルドーナ王国は隣国のヴィスターク王国と戦争中です。厳密には休戦状態といった方が正しい。今は国境警備にゴーレムを使っていますが、ゴーレムは元々地上戦用なので空を飛ぶ飛空艇には太刀打ちできません」


「でしたら、僕がこの大陸まで乗ってきた飛空艇をお見せします。仕様はほぼ同じ状態でマルドーナ王国軍に出せると思います」


カルルは、そう言うとゴーレムギルドの支部の建物の脇にある広場へとやってきた。


この広場は、ゴーレム同士が対戦するために用意された場所だが、その片隅にカルルの飛空艇を置かせてもらっていた。


カルルは、アンドレア少佐とリオラ中尉を飛空艇内に案内すると、飛空艇の構造や機能を詳細に説明していく。


「1階の床下に空を飛ぶための魔石が埋め込まれています。2階には操術卓があり、その魔石と床下の魔石は魔道回路で繋がれており、魔力に命令を乗せて伝達することで飛空艇は空を飛ぶことが出来ます」


次にカルルが見せたのは魔道トイレと魔道ストーブである。


「この魔道トイレは、汚物の匂いを消してくれます。汚物は結晶化されて小さな砂粒のようになります。飛空艇は数日から数週間の間、森や山の中で作戦行動を行うのでトイレは必須と考えています」


次に見せたのは魔道ストーブである。


「これも作戦行動に重要です。真夏の高温下や真冬の氷点下の元で作戦行動を行うのであれば、必須の装備です」


そして飛空艇を操作する2階の操術室へとふたりを案内する。


「少し天井が低いので注意してください。前にある2席が飛空艇を操る操術師の席です。操作卓に埋め込まれた魔石に魔力を送り込むと、操術師の顔の周囲に飛空艇の外の風景が映し出されます。そこには敵味方の兵士や他の飛空艇の情報が映し出されます」


アンドレア少佐は、想像していた飛空艇の姿とはかけ離れた姿に思わず絶句してしまう。


「この後ろにある2席が砲術師席です。ここも顔の前に周囲の景色を映し出します。そこに敵の飛空艇が現れたら、思考するだけで敵飛空艇に照準が合うので、あとは飛空艇の武装で撃つだけです」


「素晴らしい。実に素晴らしい、この飛空艇はいくらなのですか?」


「1艇金貨1500枚です。お支払いは年1回の30年間分割払いで構いません」


「分かりました。大至急この件を上に報告します」


「上の人を説得するなら、この魔石をお持ちください」


「これは?」


「撮録の魔石です。今までにヴィスターク王国が北ラルバート大陸へ送り込んできた飛空艇や飛空戦艦との戦いが記録されています。これを見れば僕の飛空艇のおおよその性能が分かると思います」


カルルの言葉にアンドレア少佐の表情が高揚したように見えた。


「連絡用にこの転送の小箱をお渡しします。この小箱の中に商談の有無と内容を記載した手紙を置いて、蓋の魔石に魔力を送ると小箱の中に置いた手紙が僕の所に転送される魔道具です」


この商談がベルラード大陸での最初の飛空艇の商談になるには、それほどの時間はかからなかった。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:264

 1000艇まで残り736


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用


◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)

・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)

・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


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