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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 前編 サマーバケーション

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羽衣会 5

ポケモン復帰しました。
遅れたのはそのためです。
 取りあえず早苗を連れて衣川さんの下に戻る。

「どうだった?」
「犯人見つかりませんでした」

 申し訳なさそうに話す努力をする。

「そうか」
「衣川さん相談があるんですが」
「言ってみな」
「流石にここまで死体が出てきたら警察を呼ばないといけないと思うんです」
「その通りだね」
「でも警察を呼んだら色んな書類を押収されると思うんです」
「当然だ」
「その前に、必要なもの全部貰っていきましょう」
「………」
「だってそもそも羽衣会は死んだ奴が悪いという集会だったんでしょ? そう言う計画、そういう契約だったはずです。ですからここにある資源は全て衣川のモノ。それを警察に押収されるのはちょっといただけないと思いませんか?」

 警察に押収されるのが嫌なわけじゃない。

 その中に裏切り者が居そうなことが嫌なのだ。

「金も土地も株ももう全部衣川名義にしちゃいましょう。麻生と綿貫が滅んでもすぐ第四第五の組織が出来るのは目に見えちゃいます。ですからその前に全部呑み込むというのはどうでしょう?」
「…………」
「死体処理に問題があるなら……俺が殺したことにしましょうか?」
「!?」
「これでも超者ランク3位の、日本一の実力です。百人程度の殺人は誤差の範囲でしょ? 肩代わりくらいやってあげます」

 人を殺してもいい権利を使用する。

「これは俺の善意です。日常的に誰かを殺すというのは想像できないですが、折角権利を持っていますので使ってみてもいいかなというそんな感じの軽い気持ちですので断りたいなら断ってくれても構いません」

 表情一つ違えずしっかりと発言する。

「姐さん、おれもこいつの言う通りにすべきかとおめえます」
「わいもです」
「――――分かった。乗っ取ろうか」

 ここまで来れば突き進むしかないのは香苗さんならわかるだろう。

 退路は断たれたんだから。
 俺が断ってやったんだから。

 あなたなら上手くするそういう未来しかありません。

 だってもし下手な事すれば未来が無くなるんですから。

「とりあえず、薬関係は即刻洗い出して破棄させないとな」
「そうだね、薬は良くない」

 いいよいいよ、実にベネ。

 この流れは素晴らしい。

 誰も俺がしたと思っていない。
 早苗以外疑ってすらいない。

 全てが俺の計画通り。

「……………どうした一樹? そんなに口を歪めて何かいいことでもあったのか?」
「まあな。俺達はついていると思って」

 後は早苗、早苗さえ乗り切れば完璧。

「俺も手伝います。必要なものは回廊洞穴クロイスターホールで次元移動させるので好きなだけ持っていっていいですよ」
「助かるよ」
「早苗もほら、なんでもいいから手伝えよ」
「すまんが一樹達でやっていてくれ。私は他にやることがある」
「何やるの?」
「別に何でもいいだろう」
「いえないこと?」
「別にそういう訳ではないが」
「じゃあ言えよ」

 お前の動きが一番厄介なんだ。

 早苗一人上手く騙せば、俺の平和は再び訪れる。

「……こいつらに黙祷をしたい」
「無駄なことを……なんで?」
「こいつらはならず者だ。もし私が黙祷しなければ誰もしてくれる人が居なくなるかもしれないだろう」
「すっごくいいことを言ってるつもりだろうけどな、俺はお勧めしないと進言する。そんな何度も拝んでいたら、本当に大切な人が死んだ時その人とならず者とを同じように手を合わせたら可哀想だと思わないか?」

 念仏も唱え続けりゃ雑音だ。

 仏様に顔向けできなくなっちまう。

「気高さに価値が高いも低いもないはずなのだ」

 早苗は相変わらず人の話を聞かない。

 目を見開いた奴の目を閉じながら、一人ずつ丁寧に黙祷している。

 何て愚か、愚か可愛い。





「よいしょ、これを頼む」

 複製体の俺が大き目な金庫を持ってきた。

「なんか水漏れてない?」
「あ、ほんとだ」

 金庫からなんか液体が漏れていた。

 ダイヤル式だが面倒なので力技で開けてみると

「ヒィギィイヤアアあああ」
「げ、感無量ナンセンス

 中には幼稚園児らしき思われる男の子が入っていた。

 周りに民家はないがそれでも念のためこいつの声を聞かせるわけには行かない。

 そしてこれは俺にとっても予想外。こんなのいたなんて知らない。

「ぼく、落ち着いて。お兄ちゃんはぼくを助けに来てあげたんだ。まずは名前を言ってくれるかな?」
「ひっぎ・・・・・・・・綿貫銅鑼衛門」

 すっごい名前。二重の意味で。

「ねえ、パパは? パパどこ行ったの!?」
「そのパパの名前は?」
「綿貫狐火」

 早苗がいっていた綿貫組の若頭のことか。

「何があったのか教えてくれるかな?」
「パパのおしごとにかってについてきて……それからパパにとってもおこられて……」

 埒が明かない。
 あとそのくだりはどうでもいい。

「なんで金庫の中に入ってたのかお兄ちゃんに教えてくれるかな?」
「わかんない。パパが『悪い人が来たから隠れていろ』っていってとじこめたから」

 そう、ばれてないか。

「ねえ! パパはどうなったの!?」
「死んだよ」
「え?」
「死んだ。ただし殺したのは悪い人じゃない。殺されたパパが悪い人だったんだ」
「ちがう……パパはしんでない」
「死んだんだよ。証拠を見せてあげよう」

 早苗との会話を思い出し、多分こいつであろう死体の首を削ぎ持ってきた。

「これでしょ?」
「うぁあああああああああああああああああああああ」
「はいはい。落ち着いて」

 よしよしと頭を撫でてなだめる。

「パパはね、なんで死んだと思う?」
「うっぅぅぅ」
「答えて」
「っぁぁ」
「答えろ」
「…………よわかったから。パパがいつも『弱い男は生きていけない』っていってた」
「はい外れ。何自分の子供に間違ったことを教えてんだ。可哀想に、出来の悪い親を持っちゃってこのままじゃボクは駄目な大人になるか大人になれないまま死んじゃうかの二択だな」
「パパはだめはだめなんかじゃない!!」
「そうだな、駄目だけじゃない。愚かで愚図で間抜けで無能のどうしようもない男だ」
「ちがう!!!」
「違くない。一番大切なことを伝えないで死んでいってしまった男には無能という言葉がふさわしい」

 この生首を蹴飛ばし死体の山に放り込む。

 追いかけようとする男の子をがっちりと掴む。

「見ろよ、お前のお父さんゴミ山に消えてったぞ」
「なにやってんだよぉぉ」
「ゴミを一か所に集めてるんだ。よく見て見な、違和感ないだろ?」
「ぁぁぁぁぁぁぁっぁぁっ」
「何でこんなことになったと思う? それはボクの父親が正しくなかったから。弱い奴は生きていけないけど悪い奴は生きちゃいけないんだ。復唱」
「わぁぁぁ」
「悪い奴は生きちゃいけない」
「ぁぁああ」
「悪い奴は生きちゃいけない」
「    」
「悪い奴は生きちゃいけない」
「  」
「悪い奴は生きちゃいけない」
「」

 本当は俺だってこんなことしたくない。
 でもこの子はゴミカスな大人の中で育ってしまった。

 このままでは性根が腐ってしまう。
 使えない親の代わりに俺が教育をしてあげているんだ。

 子供になんて酷いことをしているかと思われるかもしれないが、そいつは間違いなく子供をペットだと思っている。

 あやすだけあやして、その後のことを考えていない。

 一人の人間として接してないね。




「こんなものか。そろそろサツに伝えるぞ」

 必要な分は既に運び終えたのは発見から15分後。

 大分到着から遅れたが、これ以上遅れたら見つけてから何してたのと言われてしまう。

「で、どう証言します? 口裏を合わせないとまずいでしょ」
「別に見た通りでいいさ。見たこと体験したことを嘘偽りなく言っても問題ない」
「そんなことしたら、奪ったものが捕られちゃうんじゃ?」
「いくらなんでもね……少し露骨すぎると思ってね、あまりにもこっちに都合が良すぎる」

 遂に香苗さんも違和感を持ち始めた。

「拾った宝くじが一等だった。そう思っちゃだめですか?」
「その宝くじに『悪魔の』が修飾されなければ問題ないんだけどねえ」

 悪魔……か。
 そういや監獄で隠れて悪魔って呼ばれてたな。

 黒白の悪魔。

 誠に不本意だがある意味今回はその通りだ。

 お察しの通りその宝くじは悪魔からの贈り物だ。

「じゃあみすみす手に入った利権を捨てるんですか?」
「最悪それも考えている」

 これはまずい流れだ。
 死んだ方がマシな連中が圧倒的多数だが、そのなかで数人の構成員が無駄死にじゃないか。
 ああ、かわいそう。

「捨てるのはいつでもできますが、得るのは今しかできません。やばくなった時捨てればいいんです」
「そうでっせ、そいつの言う通りにしましょ」
「それにここまでしたんですからね」

 押せ押せで行けば乗り切れるだろう。

「ここまで来たんですからもう行くところまで行くしかないでしょ。貴女は全てを手に入れる。ただ薬とか銃の密輸関係はNGですから。土地やみかじめ、ソープくらいしか手に入らないんですけどね」

 ファンファンファンとサイレンが鳴り響く。

 パトカーが来た。

 サイレンを聞くに1台ではなく10台くらいはやってきてそう。

「早いな」
「そうですね、通報してから数分しかたっていません。まるでこうなることが分かっていたかのように」

 何やってんだ。怪しまれたらどうする。

「やっぱり罠だったのかもしれん」
「そうですかね?」
「何者かの妨害を受けながらもここまでやってきたのは良いが中はこの惨状、まだ殺り手が潜んでいるかと思い、代表二名が潜入。うち一人の子供を救出したが残りは全滅。すぐに警察に電話しなかったのはヤクザの問題を巻き込むわけには行かなかったから、いくつか荷物が減っているのは誰かが取っていったから。取り調べが長引きそうだったら俺が殺人権を使って強引に終わらせる。これでいいですよね」
「そうしてくれ」

 そうこうしているとパトカーが門の前に停車する。

「チッ、察め。知ってたねこりゃ。お前達、さっき嘉神の子が言ってた通りに証言しろ。都合が悪くなったら知らぬ存ぜぬで通せ。最悪実行犯が警察と内通していると考えてろ」

 最悪ではないがその予測は正しい。

 警官はパトカーから降り開口一番

「お前達は、こっちの車に乗れ。署で事情聴取をする」

 早苗家族の方を向き指示を出した。
 俺達それぞれが指示された通りの車に乗り込む。

 二人ずつ乗せられたが、俺だけは一人で車に乗った。


後二話くらいで羽衣会編を終わらせる予定。
なお、これで7章前半な模様
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