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ゆりいろ☆ステップ  作者: アメカワ・リーチ
ゆりいろ☆ステップ①
51/56

EX-2

 ♪


 エキシビジョン。

 大会の後に行われるお祭りのようなもので、基本的にその大会の上位入賞者を中心に行われる。

 午前中に共同パートの合わせをして、夜本番に臨む。

 今は私たちは自分たちの練習を終えてたので、二人で控え室で休むことにした。

 一夜明けてみても、まだ興奮は収まらなかった。それどころか、それに付随する現実をしっかり認識しだして、こんどは明確な歓喜も沸いてくる。

 世界が輝いて見えた。

 ユリカはいつものように笑っていた。

 私たちはいつもそうだった。

 どっちが勝っても、次の日には笑い合って、そして次は勝つと決意を新たにしてきた。

 でも、これからは?

 わからない。

 五輪を三年後に控えた今、それがこの後どうなっていくのか、それはわからなかった。

「これで今シーズンも終わりだね」

「うん」

 部屋には誰もいない。近くに人がいる気配もなかった。だから私は吐露することにした。この一年の思いを。

 これが、私たちが次の“ステップ”に進むために必要なことだと思った。

「今年は実は私ちょっと大変だったんだ」

 そう言うと、ユリカは一瞬驚いて、そしてすぐにいつもの優しい顔に戻った。

「うん、知ってたよ」

「そうなの?」 

「当然だよ。親友だもん」

 その言葉に、私はほっとした。

 私は彼女のことを親友だと思ってる。ううん、それ以上にも。

 でも、彼女の方も本当にそうなのか。自分の愛のベクトルと、相手のそれが、同じだとは限らない。大きさが違うかもしれないし、そもそも方向が違うかもしれない。

「でも裕樹が相談してくるまでは、黙ってようと思ってた────なにがあったの?」

 ユリカは私に微笑みかけた。

「あのね」 

 私はこの一年のことを彼女に話した。

 いままで言えなかったこと。世界選手権が終わった、すべてが終わった今だから言えること。

 そして────

「私ね、今までは頑張ってきたは、スケートが好きだからじゃなかった」

 告白。

 親友だからこそ。包み隠さず、今の気持ちを伝えると決めた。

「ユリカに憧れたから。ユリカと一緒にいたかったから。ユリカと一緒にいられるから。それが私がスケートを頑張ってこれたのは、それが理由。それだけが理由だった」

 初めてあったあの日から。私はずっとユリカのことをだけをみてた。本当はスケートと真剣に向き合ったことなんてなかった。

「今もそう。ユリカと一緒にいたい。ユリカの近くにいたい。それは変わらない」

 やっぱり、ユリカなしの人生なんて考えられなかった

「けど──」

「けど?」

「今はユリカと向き合うんじゃなくて、同じ先を見ていたい」

 それが私の決意だった。

 去年まで一緒にいられればそれでよかった。

 でも今は違う。ユリカと本気で競って、そして気がついた。

 私はスケートが好きだ。

 ユリカと同じくらい好きだ。

「だから私は五輪で金メダルをとる────ユリカを倒す」 

 ユリカは私の告白を、私の決意を黙って聞いていた。


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