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ゆりいろ☆ステップ  作者: アメカワ・リーチ
ゆりいろ☆ステップ①
37/56

05-6


「おめでとう裕樹」

「ユリカこそ」

 アメリカに帰るなり、私はいつものようにリンクに直行して、ユリカの元に駆けつけた。

 リンクサイドで会うなり、私たちは抱擁しあって、お互いの健闘を湛えあう。ユリカも全米選手権で見事に優勝して、世界選手権への切符をつかんでいた。

 ユリカが全米選手権で大ゴケしていれば、私の目標である世界選手権優勝のハードルはかなり下がっていただろう。けれど、私はそんなことを望んでない。

 大好きなユリカが負けるのを望むなんてありえないというのもある。けれど一方で、私はユリカをこの手で降さなければ、彼女と一緒にいることが出来ない。一見矛盾するようだが、ようは私は彼女がベストを尽くせれば良いのだ。本当にベストを尽くして負けたのであれば、悔いは無いはずだから。

 言い換えれば────私はユリカを上回らなければならない。

 ユリカより強くならなければならない。

 お互いが最高の演技をしたとき、そのときに私が上回っていなきゃいけない。

 それが今の私の目標。

 一年前は思ってもいなかったもの。けれど、それはいま明確なものになっている。

 だからこそ練習によりいっそう身が入る。そして、彼女の勝利を祝福できる。

「あ、そういえば、こないだいきなり電話してきたのはなんでだったの?」

 ひさびさに、ユリカの抱き心地を堪能していた私は、その言葉で強制的に現実に引き戻された。

「あ、ああ……」

 やっぱりその話になりますよね。

「急に『彼氏はいるのか』って。あれなんだったのかわかる?」

 首を少し傾けて、本当に不思議そうな顔をするユリカはとっても可愛い。いつまでもじっと見ていたい。

 けど、質問に対しどう返答するか考えなければ……

「ええ、っとね……」

 実は私ユリカのことが大好きなの。それでね、ユリカが男とキスしてるところ見てから、ずっと気になってて、試合に集中できなくて、うじうじしてたら楓に無理やり電話を掛けさせられました。

 状況を懇切丁寧に説明するとなんとも情けないことになってしまう。

「いや、なんか恋愛話をしてたら、楓ちゃんがどうしても知りたいって言うから……」

 私はとりあえず自分の保身に走った。まぁ本当のことは死んでもいえない。とりあえず嘘はついてない。

「楓ちゃんが?」

「まぁ……」

「へぇ……意外。恋愛の話とかするんだ……」

「うん、意外と恋愛話好きなんだよあの娘……」

 ごめん、私は心の中で楓に謝った。

 硬派であったと思われる楓のイメージを、恋愛話好きな軽い感じに変えてしまった。

 …………。

 ……。 

「で、本当にユリカはそいつに興味ないわけ?」

 逆にこちらから質問することによって、話を逸らす。

「まったくない!」

 即答だった。逆に相手の男がかわいそうになる。

「突然キスするんだもん。思いっきりひっぱたいたよ」

 私はその言葉を聞いて安心した。ユリカのその言葉が、嘘だとは思えないからだ。本当にそいつには興味ないんだろう。ご愁傷様。

 そして、私は一番気になることを聞くことにした。

「もしかして……ファーストキスだった?」

 つまり、今までに彼氏がいたことは無いのかという質問でもある。

 頭をよぎったのは、実は私が知らないだけで、ユリカには彼氏がいたことがあるんじゃないか。そのキスをされたという男ではない、別の人間が彼氏だったという可能性は十分にあった。

 そうだとしたら、それはそれでショックだ。

 だけど私の心配は杞憂だった。

「うん……。あぁ……最悪……」

 そういって本気で落ち込むユリカ。

 これが演技だったら、もう何を信じて良いか分からない。

「ちくしょう……その男、私の前に現れたら殺す」

 割と本音だった。

 ユリカが大切にとっておいたファーストキスを奪うなんて。本当に許せない。その頭にスケート靴のブレードをつきたててやりたい。

「でもね、裕樹」

 ユリカが少し笑いながら私に向き直った。

「ん?」

「確かに、あれは世間的にはファーストキスだけど」

「うん」

「裕樹は、四年前のクリスマス覚えてる?」

「四年前……」

 四年前。一秒後、すぐに思い出す。四年前といえば────

「私とユリカがたまたまクリスマスを一緒に過せた年?」

 めずらしくクリスマスに大会が被らず、クリスマスを一緒に過せた貴重な年だ。覚えてないわけが無い。そうあの年は────

「裕樹と遊びでだけど、キスしたじゃない。あれが私の本当のファーストキス…………じゃ駄目かな?」

 その言葉にくらりときた。

 ユリカの真剣で照れた顔。ちょっとだけうつむいた彼女の顔。あまりにも可愛すぎるその表情のせいで、私は言葉を返すことが出来なかった。

 正常な判断が出来なくなった。

 次の瞬間私は────

「!!」

 ユリカの唇にキスしていた。

 一瞬だけ。軽いキスだが、しっかりと彼女の唇の柔い感触は残っている。

「……これは消毒ってことで」

 そんな言い訳に意味があったかどうかは分からない。

お久しぶりです。

ちょうど一週間ぶりですね。


やらなければいけなかったことをとりあえず、やり終えたのが先週の金曜。

送別会で終電を逃し友達の家に皆で泊まったのが土曜。

ということ昨日からようやく執筆できるようになりました。


ギリギリですが一応約束どおり、なんとか戻ってこれました。

が、書きタメがほとんどありません。なのでもうちょっと一日一更新は無理かもしれません。

一週間をめどにまた一日一更新に戻りたいと思います。


ということで、これからも「ゆりいろ☆ステップ」よろしくお願いします。


P.S.


創作用にイッターを始めました。

http://twitter.com/taro_amakawa

気軽にフォローしてください。フォローし返します。


P.S.2


五話は前話で完結といいましたが、良く考えたらこの話は、内容的には五話に入れた方が良いと判断しました。なので、この話で五話完結、ということで。

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