05-5
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全日本始まって以来の快挙。
クワドラプルトウループ成功。
かつてフィギュアスケートの次元を芸術からスポーツの次元に引き上げたあの天才ジャンパーでさえも無し得なかった奇跡。
それを今日、私が実現して見せた。
会場からは、高得点を望む拍手の嵐。演技から数分がたってもなお誰一人座ろうとはしない。
誰もがすばらしい演技の余韻に浸っていた。いうまでもなく私も。
さて、ショートでトップとの差は5点だった。
このフリー、それを逆転するだけの演技をしたのは間違いない。技術点はもとより、演技構成点の方もこの会場の声援に呼応するだろう。
一位は当然、もしや──
『白石さんの得点』
点数が出る。
技術点、演技構成点。
そして、総合得点────
『200,11。現在の順位は第一位です』
200点越え────
それは大会始まって以来前代未聞の得点。
国際大会よりも圧倒的に点数が出やすい国内大会とはいえ、それでも二百点越えは、新採点システム開始から、今まで一度も無かった快挙だ。
「裕樹!!」
コーチがいきおいよく抱きついてくる。普段あまり騒いだりしないコーチがこんな風にするのだ。それだけでも事の凄さを認識する。
全日本選手権女子シングル結果。
一位は白石裕樹。よって、世界選手権代表に決定────
「おめでとう、裕樹」
横で控えていた三木楓に呼び止められる。
「ありがとう。そして本当に昨日はありがとう」
そう。彼女のアドバイスがなければ、今日のこの演技は絶対に出来なかった。その意味では、彼女には感謝しても仕切れない。
「ああー。敵に塩を送ったちゃったな」
そういう彼女は、相変わらず笑みは無い。けれど今日のそれはどことなくいつもよりやわらかく見える。
手を差し出してくるライバル。私はそれを強く握り返す。
「けど、来年は絶対負けないから」
楓は間違いなく強力なライバルだ。けれど、今では大事な友達でもある。
たぶん、これからどんどん仲良くなれる、そんな気がした。
お久しぶりです、天川太郎です。ここまで読んでいただきありがとう誤字増す。
さて、これで第五話も完結。
物語は終盤へ。
終盤はエピローグを除いて完成しています。
しかし、問題が一つ。やっぱり前回と一緒で、その間の一章(第六話)がまだ完成していないのです。
本当は今日明日死ぬ気で書き上げて、更新したいのですが、実はちょっとto-doリストが満杯でして……。
ということで、また少し時間を空けたいと思います。
毎日更新を掲げてきましたが、ここでちょっとだけお休みをします。
具体的には三日から五日くらいだと思います。
どんなことがあっても、一週間以内にはまた更新再開します。ここさえ乗り切れば、後は五十P以上のストックがあるので、ラストまで走り抜けられます。
ということで、また何日かごにお会いしましょう……。




