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04-2
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ホテルのベッドで一人沈んでいると、部屋に電話がかかってきた。
「はい」
「あ、祐樹? 大丈夫?」
最初の一音でユリカだとわかった。
ちなみにグランプリファイナルのチャンピオンだ。
今朝、私たちは三週間ぶりに会った。涙が出そうなくらいうれしかったけど、もちろん〝あのこと〟は聞けなかった。
「うん、私。どうしたの?」
「明日エキシビでないんだって? 大丈夫?」
大丈夫じゃない。そんな弱音が出掛かって、けど出てこなかった。
「うん。ちょっと風邪気味なんだ。だけど大丈夫。大事をとって休むだけだから。心配しないで」
「そう? ならちょっと安心した」
というユリカはの声色は相変わらず私に対する心配がにじみ出ていて、暖かかった。
「私は明日エキシビでないけど、ユリカはたのしんでね」
「うん」
「それじゃおやすみ」
「おやすみ」
いつもならもっとおしゃべりしたいって思う。けど今は彼女と話せば話すほど、どうしていいかわからなくなってしまう。
本当はぶちまけたい。
キスしてたってのは本当なのか。本当なら誰とキスしてたのか。
けど、答えを知るのが怖くて聞けなかった。




