03-8
♪
「ユリカ!」
私は思わずユリカに勢いよく抱きついた。
「あー久しぶり! 本当にうれしい!」
「ちょっと、大げさだよ」
私は思いっきり息を吸い込んだ。ユリカの匂いが私の肺に満ち溢れる。私は最後にぎゅっと抱きしめて、ユリカを開放した。
「どこか行ってたの?」
フランスから帰国した私は、まっすぐリンクに向かったのだが、またしてもそこにユリカの姿は無かった。
まさかまたすれ違いかと思われたが、話によれば午後には帰ってくると聞いて本当に安心した。
もう深刻なユリカ不足で私は餓死寸前、これ以上ユリカと会えなかったら本当に死んでしまうところだった。危ない危ない。
「うん、振り付け師さんのところにね。フィルと一緒に」
ユリカとフィルは今シーズン同じ振り付け師、ローリ・ウィアーにプログラムを作ってもらっている。柔らかいイメージの曲で有名なので、本当に二人にぴったりな人選だ、
「そういえば他のリンクメイトに、最近裕樹が元気ないって聞いたんだけど、大丈夫?」
ユリカが真剣なまなざしで私を見つめる。そのまなざしに、私は久々にユリカの心の暖かさを感じた。
「うん。大丈夫。ちょっとあったけど、でももう心配ない」
そう心配は無い。
後は私の戦いだ。
「そっか、それならいいんだけど」
ニッコリと笑うユリカ。その顔を見て、決意をより強めた。
絶対に世界選手権で優勝してみせる────。




