03-9
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一日の練習を追えて、リンクサイドに引き上げると、そこにはフィルがいた。
「がんばってるね」
私の後にリンクを使うのはフィルらしい。
見ると、どこか落ち着かなそうだった。どうも私にねぎらいの言葉を掛けるのが本題ではなさそうだ。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「ん? どした?」
「ユリカのことなんだけどさ」
その単語に私は心の中でピクンと反応した。私のなかで常に予測変換最上位の言葉。私は全力で彼の言葉に耳を傾けた。
「ユリカって今付き合ってる人いる?」
…………。
……。
「は?」
何バカなこと言ってんのよ。
そんなのいるわけないじゃない。
あえて言えば、スケートが恋人ってところだ。
天使のようなユリカだ、モテないはずが無い。事実、彼女に告白する人間は後を立たない。
だが、ユリカハどんな男にも彼女は一律でこう言って断っている。
────スケートが大事だから。
私にとっては好都合だ。私とユリカが結ばれることはないだろう。けれど、ユリカの恋人がスケートである限り、少なくとも私は彼女の一番でいられる。
それで十分。
それ以上は望まない。
「ユリカの恋人はスケートに決まってるでしょ、バカ言わないでよ」
そう、ユリカが恋人なんてありえない。
絶対にだ。
「そうなんだよな……」
当然だが、そう思っているのは、私だけではないらしい。フィルも私ほどではないにしても、ユリカとは長い付き合いだ。
「でもな、見間違いじゃないんだよな…………」
「何よ、なんかあったの?」
「いや、それが……、あーでもこれって良く考えてみたら言っちゃまずいのか?」
私はフィルを叩いた。
「痛っ! ちょ、なにするんだよ!」
「もうめんどくさいから、早く言いなさいよ」
「分かったって……それじゃ、見たことをそのまま言うよ」
「だから速く言いなさいよ。じゃないと蹴飛ばすから」
「分かったって……じゃぁ言うよ」
そして、フィルの言葉がゆっくりと、はっきりと私の耳に伝わった。
「ユリカがさ、さっき男とキスしてるの見たんだよね」
「…………え?」
彼に言葉が耳にこびりつく。
はっきりと一字一句聞こえたその言葉。けれど私はその言葉の意味が理解できなかった。
信じられなかった。
そして、信じたくなかった。
こんにちは、天川太郎です。
ゆりいろ☆ステップを読んでくださってありがとうございます。
とりあえず連載開始時に書き溜めてあった三話を全て投稿致しました。
今まで一日一回のペース(一番初めだけは一日二回)で更新してきましたが、ここでいったん休憩をはさませていただきます。
期間は五日を予定しています。
実は、先に六話~七話を書き上げているのですが、肝心の第四話、第五話がまだ書きあがっておりません。
なのでこの五日で書き上げて、ふたたび一日一回更新をしたいと思います。
本編の代わりに、キャラ紹介とスケートの関するまとめを投稿したいと思います。最低限知っておくと、よりこの作品を楽しめる、という基本的な知識だけ選んでまとめました。
キャラ紹介+解説四回を五日間投稿します。
形だけ一日一回更新を守りたいという願望もあります(笑)。
ということで、本編はまた五日後。
四話から物語が大きく動き始めます。
ぜひ、今後もよろしくお願いします。
感想とかレビューとかい評価とかただけると飛んで喜びます。




