襲来する魔物群と自動撃退システム
『警報:アストラル領北東山林エリアにて、高濃度の魔力反応を検知。魔物の群れ(スタンピード)が接近中』
領主館の執務室。蓮の脳内AR(拡張現実)UIに、赤く明滅するホログラムマップと警告アラートが浮かび上がった。
「クラウスさん、北東の山脈から数百頭規模の魔物群が押し寄せてきます」
「な……なんだと!? あの山脈には凶暴なワイバーンやオークの群れが巣食っている……! だが、兵の配備が間に合わんぞ!」
領主クラウスが蒼白になり、机を叩いて立ち上がる。
だが、蓮は焦る様子もなく、前回張り巡らせた『魔導Wi-Fi網』の管理ウィンドウを指先で操作した。
「大丈夫です。こういう事態に備えて、すでにネットワーク連動型の『自動防衛システム』を配置してあります」
蓮はシルフィに手作りの通信端末(魔導トランシーバー)で指示を出した。
「シルフィ、北東防衛塔の『アンカー結界石』を起動してくれ」
『了解しました、レン様!』
遠く離れた監視塔でシルフィが石に魔力を注ぐと、領地全域に張り巡らされた魔導Wi-Fi網を経由して、蓮の脳内AIから最適化されたセキュリティプログラムが即座に一斉配信された。
Plaintext
[Defense_System: Auto_Turret_Mode]
Target = Hostile_Monsters (Count: 340)
Action = High_Frequency_Mana_Cannon
Process = Auto_Targeting & Parallel_Fire
山麓の防護壁に設置された無数の古代魔導砲(旧式で動かなくなっていた石造砲台)が一斉に起動し、緑色の駆動光を放ち始める。
「ターゲットロック、コンパイル――実行(Run)!」
ズババババババッ!!!!!
押し寄せていたオークやワイバーンの群れに対し、精密誘導された超高出力のマナ・レーザーが全自動で掃射された。
敵の移動予測位置をミリ秒単位で計算した並列射撃は、1発の無駄弾もなく魔物の群れを的確に穿ち、わずか数十秒で襲撃部隊を完膚なきまでに壊滅させた。
「ひ、一瞬で数百の魔物群が……!? 兵を一頭も動かさずに撃退したというのか……!?」
呆然とモニター(魔導鏡)を見つめるクラウス。
「通信網(Wi-Fi)と自動制御プログラムを組み合わせれば、領地全体の防衛は最小限のリソースで完結します」
蓮は涼しい顔でシステムログを閉じると、完璧なセキュリティを手にいれたアストラル領の未来へ向けて、静かに満足の笑みを浮かべたのだった。




