極大消滅コード vs 古代魔王
「ぐぬぬ……小娘がぁぁぁっ!!」
胸元を破られ、心核を露呈させた古代魔王が、怒りと狂乱の咆哮をあげた。
全身から黒紫色のバグノイズを爆発させ、王都全体を飲み込もうと極大の壊滅波動を放とうとする。
「無駄だ、人間ども! 世界の崩壊コードはすでに発動した! 貴様らごとこの都市をフォーマットしてやる!」
魔王軍幹部が狂喜の声をあげる中、凄まじい衝撃波が仲間たちを襲おうとした――その瞬間。
「『実行停止(Break Point)』」
静かな一言。
蓮が空中に提示した青い仮想キーボードのキーを一叩きした瞬間、魔王が放とうとした壊滅波動が、まるで動画を一時停止したかのようにピタリと空中で静止した。
「な……なに……!? 世界の時間が……止まった……!?」
「時間じゃないよ。君の攻撃の実行スレッドを『サスペンド(一時停止)』しただけだ」
蓮は静かに歩み出た。
彼の両目には、青いバイナリコードの奔流が発光しながら高速回転している。
「世界のバグを集めて無限再生能力を得たと言っていたね。……だけど、プログラムの世界にはね、どんなに肥大化した悪質データも一瞬で消し去る命令が存在するんだ」
蓮は脳内の量子サイバーブレインをフルドライブさせ、全システム権限(Root権限)を取得した。
『Root権限の取得に成功。対象オブジェクト:Ancient_Demon_King。極大消滅コード(Purge Command)を生成完了』
Plaintext
[Execute: System_Purge_v9.0]
Command = sudo rm -rf /Demon_King_Core
Target = All_Corrupted_Data & Malware_Entities
Options = --force --no-preserve-root
「これが僕のエンジニアとしての回答だ。……『完全消去(sudo rm -rf)』実行!」
――ズドォォォォォンッ!!!!!
天地を揺るがす光の波。
蓮の指先から解き放たれた純白の「極大消滅コード」が、魔王の心核を貫き、その巨躯全体へと一瞬で伝破した。
「バ……バカなアアアアッ!? 我が王のバグデータが……根こそぎ消去されていくうううっ!?」
「嘘だ……! 我らの悲願が……ただの一行の命令で……!?」
悲鳴をあげる魔王と幹部たち。
黒いノイズに塗れていた巨大な身体は、分子レベルで綺麗に洗浄され、一欠片のチリも残さず透き通った光の粒子となって消滅していった。
雲を覆っていた黒闇が払い除けられ、王都の空に眩しい太陽の光が差し込む。
「やった……! レン様が……魔王を倒されたぞーっ!!」
シルフィの歓声とともに、王都全体から地鳴りのような歓声が湧き上がったのだった。




