仲間たちとの結束とシステムアップデート
「言われなくても、レン様には指一筋触れさせません!」
シルフィが高らかに叫び、刀身にエメラルドグリーンの風を纏わせたレイピアを疾風のごとく閃かせる。
魔王軍の暴走コードから生み出されたノイズ混じりの異形たちが、次々と一閃のもとに切り伏せられていく。
「くっ……! 私も……私も魔導院の誇りにかけて、こんなバグごときに負けてたまるか!」
茫然自失としていたレオンハルトも眼光を取り戻し、杖を突き立てた。
無駄な飾りの詠唱を極限まで削ぎ落とし、最短の手数で氷と雷の撃退魔法を展開してシルフィの背中を援護する。
「レン! 私は何をすればいい!? 君の足引っ張りにはなりたくない!」
「レオンハルト、君は王都の防衛結界の維持に全魔力を回してくれ! シルフィは僕への直接攻撃の遮断を!」
「了解だ!」
「お任せください!」
仲間たちの固い結束に背中を預け、蓮は覚悟を決めた。
「思考クロック、全解放。限界解除――」
――ズキュゥゥゥン!
蓮の視界が青と緑の超高速データストリームで埋め尽くされる。
脳内の量子サイバーブレインが凄まじい熱量を放ち、大気中のマナと完全にダイレクトリンクを果たした。
『システムアップデート要求を検知。対象:人間社会の魔導インフラ網。パッチver 2.0の構築を開始します』
蓮は暴走する大魔導基幹の基幹ソースコードへとダイブした。
何百年分のノイズ、非効率なコード、そして魔王軍が仕込んだ悪意あるマルウェアが蠢く暗闇の領域。
「古いコードを一重ずつ解いていく時間はない。……既存の魔導インフラ全体を、僕が作った『Mana-OS 2.0』へ強制システムアップデート(メジャーバージョンアップ)する!」
Plaintext
[System_Update: Mana-OS_v2.0]
Scope = Entire_Kingdom_Network
Patch = Anti_Virus_Protocol & Code_Optimization
Status = Deploying... (Progress: 10%... 45%... 80%...)
蓮の全身から解き放たれた純白のデータ光線が、王都全域、そしてアストラル領やコボルト村に張り巡らされた魔導Wi-Fi網を経由して、一瞬で国中に拡散した。
「な、なんだこの光は……! 魔法の構築速度が十倍以上に上がっている!?」
防衛に当たっていたレオンハルトが目を見開いた。
アップデートを受けた王都の魔導士たちの魔法が、一瞬で最適化され、威力が跳ね上がったのだ。
「よし、インフラの脆弱性は塞いだ! 次はいよいよ……バグの根本原因(魔王)をデバッグする!」
覚醒した仲間たちと新OSの力を得て、反撃の狼煙が上がったのだった。




