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最弱の骸骨兵として異世界ダンジョンに転生した俺は、進化で最強を目指す  作者: Sigil


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第十八章:若きプリーストの悩み

「すごい」


首をぐっと反らして見上げ、ようやく冒険者ギルドの全体を目にする。


聖なる帝国からの旅の途中で、他のギルドもいくつか見てきたけど、ここは間違いなく際立っている。そもそも、その形からしてちょっと変だ。教会と防衛用の砦を足して割ったみたいな見た目をしている。


あの優しいおばあさんが「目立つ建物」って言ってたのは、本当だったんだ。


「ついに冒険が始まるんだ!」自分に向かって、そう小さく手を振ってみせる。


建物の中に入ると、思っていたよりもずっと上品で清潔な場所だと気づく。正直に言うと、今まで訪れた冒険者ギルドはどこも、汚くて、酒を飲みながら騒ぐ荒くれ者だらけだった。ここも、たしかに酒を飲んでいる人はたくさんいる。でも、うるさく騒いだり、大声で話したりはしていない。


どのテーブルでも、机の上に広げた紙切れを慎重な目で見つめながら、小声で話し合っている人たちの姿がある。たぶん、ダンジョンへ行く計画を立てているんだろう。だから、あんなに真剣で静かなんだ。


すぐに受付カウンターへと向かう。


これからやることは、どんな冒険者でも通る、簡単な手続きだ。冒険者というのは基本的に旅人で、同じ場所に長くとどまることはあまりない。だから、しばらくどこかの街に腰を据えることになったときは、その街用にライセンスを更新する必要がある。


聖なる帝国を出てすぐに冒険者として登録したけど、これまでこなしてきた依頼といえば、墓地でお祈りをして幽霊や悪霊を追い払うことくらいで、それ以外の依頼はまだ一つもこなしていない。つまり、「正式な冒険者です」と胸を張れるようなことは、何一つやってこなかったってことだ。


でも、それも今日から変わる!


「すみません」


「はい、どうされましたか?」


「アルデバランに長期滞在するので、冒険者のライセンスを更新したいんです」受付の人に金属のカードを差し出しながら、そう伝える。


「かしこまりました。少々お待ちください」


受付の人はカードを受け取り、カウンターの奥で操作を始める。作業をしながら、目の端でこちらをちらりと見て、話しかけてくる。


「見たところ、迷路の街は初めてですよね? お仕事を探しに来たんですか、それともダンジョン目当てですか?」


軽くうなずく。


「実は、両方ちょっとずつ、です」


「その服と杖からすると、サポートタイプですよね。この街には一人で? もしかして、パーティーはまだ組んでないんですか?」


「実は、聖なる帝国の学院を卒業したばかりで。あんまり計画も立てずに、勢いでこの街まで来ちゃいました、えへへ」少し照れながら、頬をかく。


今の言葉……認めるのはちょっと辛いけど、正直、一人でできることなんて、本当に何もない。わたしはただのサポートタイプで、しかも[クラス]は一つしか持っていない。だから、普通のモンスター相手でさえ、一人じゃまともに倒せない。


もしアルデバランまでの道中で強いモンスターに出くわしていたら、それこそ道の途中で死んでいてもおかしくなかった。


ダンジョン探索でも同じだ。相手が[アンデッド]系のモンスターじゃなければ、出会った時点でたぶん死んでしまう。ダンジョンを探索するには、どこかのパーティーに加わるしかない。


「あら、[プリースト]のクラスをお持ちなんですね? お名前、なんでしたっけ……ええと、ジャスミン・フォン・スティグマさん?」受付の人が、信じられないという顔で言う。


「そうです!」誇らしげな顔で答える。


「それは珍しいですね、聖なる帝国の司祭様が、こんな街にいらっしゃるなんて」


「えへへ」照れ隠しに、小さく笑う。


[プリースト]は、それほど珍しいクラスというわけじゃない。ただ、手に入れるのが少し難しくて、それだけの時間と努力が必要になるだけだ。とはいえ、このクラスを手に入れるための条件はもう一種の定番の修行みたいなものになっていて、この称号を持つ人はけっこうたくさんいる。正確に言うと、司祭になるには、[プリースト]かその下位版のクラスを持っている必要がある。つまり、聖職者のほとんどが、このクラスを持っているということだ。


でも、このルールが通用するのは聖なる帝国の中だけで、だからこそ、世界の他の地域では少し珍しいものとされている。


このクラスが持つ力は、本当にすさまじい。回復能力はかなり高く、聖なる魔法なら、ランクDの[アンデッド]でも数秒で完全に浄化できるほどだ。[プリースト]というクラスのランクは、Cとされている。


冒険者ギルドは、その人の持つクラスのランクを基準にして、序列を決めている。クラスを一つしか持っていないせいで、たとえそれがランクCでも、わたしの冒険者としてのランクはDにしかならない。


「それだけいいクラスがあれば、パーティーに入るのに困ることはないと思いますよ」そう言いながら、金属のカードを返してくれる。


「そうだといいんですけど」カードを受け取り、マナを流し込んで、自分の情報を表示させる。


―――――――――――――――――――――――――――――


なまえ:ジャスミン・フォン・スティグマ

ぼうけんしゃランク:D

しょくぎょう:サポート

クラス:[プリースト:Lv3(C)]

たいざい:めいろのまち アルデバラン

クラン:―


―――――――――――――――――――――――――――――


冒険者ギルドのカードは、持ち主の基本情報と経歴を記録する特別な魔法の道具で、魔力を注いだときだけその中身が表示される。とても便利で、特にパーティーに加わるときなんかに役立つ。


「ただ、申し訳ないんですが、ダンジョンに潜るのが目的なら、パーティーが組めたとしても、しばらく待つことになると思います。少なくとも一か月は」


「えっ!? なんでですか!?」思わず少し大きな声を出してしまい、それまで自分の机に集中していた冒険者たちが、驚いた顔でこちらを振り向く。


ああ、そうだった。あのおばあさんも、ダンジョンに入るのはとにかく手続きが面倒だって言っていた。


「許可を管理している事務所が、申請でいっぱいになってしまっていて。この時期はいつもこうなんです。ランクに関係なく、だいたい一か月はかかると思います」


あまりのショックに、思わず目を床に落とす。


この街は広い平原の真ん中に築かれていて、この地域の無数のダンジョンを除けば、冒険者ギルドでこなせる依頼はそんなに多くない。


つまり、ダンジョンに入る許可を待つ間、まるまる一か月、仕事もお金もない状態で過ごすことになる。


「で、でも、とりあえず、依頼掲示板を見て何か探してみるのはどうでしょう」


わたしの不安に気づいたのか、受付の人はそう励まそうとしてくれる。わたしはただ微笑み返し、水を一杯お願いしてから、広間の隅の空いている席へと向かう。


掲示板に自分の履歴書を貼って、パーティーを探すこともできるけど、この街のギルドの依頼はほとんどがダンジョン絡みで、たとえ他のメンバーが許可を持っていても、わたしが持っていなければ、一緒には行けない。


普通の仕事を見つけて、待つしかなさそうだ。御者にお金を払ったあと、手元に残ったのは、3日分の宿代と食費くらいしかない。


まあ、大聖堂では料理も掃除もやっていたから、食堂か宿屋あたりで仕事を探してみようかな。


教会に助けを求めるという手もある。断られることはないはずだ。


そんなふうに考えごとをしていると、一人の男性が、わたしのテーブルに座った。


「やあ、こんにちは」


「えっ?」


あまりにも急なことで、一瞬びっくりしてしまう。


「受付の人との話、聞こえてきたんだけど。困ってるみたいだね。よかったら、力になろうか?」


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