ループ1 パーティ会場から出ないようにしてみた
気が付いたら私の部屋に居ました。
(コンコン)「お嬢様、今日のモラッセ侯爵のパーティには何を着て行きましょうか。」
メイドのモナがパーティに着て行く服を聞いて来たわ。
モラッセ侯爵のパーティなら殺人事件のあったパーティね。
あのパーティに行く前に戻って来たのだわ。
ならやることは一つ!
「モナ、私、今日のパーティに行きたくないの。」
「お嬢様、どうされましたか? お体の具合でも悪いのでしょうか。」
あ、熱を測られている。脈も見てる?
「「「お嬢様、どうかなされましたか?」」」
他のメイドさんたちも来て、もみくちゃにされてるわ。
「体は健康ですね。後は心でしょうか。」
「パーティに行けば気は晴れますわ。」
「リエル、わがままは良くないわよ。」
「行けば素敵な殿方が癒してくれますわ。」
「お嬢様いってらっしゃーい。」
「おいしいご飯もありますよ。」
あっという間に着替えさせられ、馬車に乗せられたわ。
お母様まで一緒になって!
殺人の濡れ衣を着せられて、王子様に斬られるのよ!
こうなったらパーティ会場で何とか乗り切るわ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
パーティ会場にやって来またわ。
もう殴られたくないから、会場からは出ない事にしたの。
どうしても出ないといけない時は、何人か来てた友達と一緒に出ようっと。
そうやって会場で話をしながら、情報収集してみたり。
「こんばんわ、アルミライユ伯爵夫人。」
とっても噂話が好きで、恋愛に関してなら何でも知ってる夫人発見。
「こんばんわ、ハンクト伯爵令嬢。元気でしたの。」
相変わらずにこにこ笑って穏やかそうです。
「はい、おかげさまで。突然ですが、ヴァンハークト侯爵令嬢と婚約者についてご存じですか。」
「あら、どうかしましたの?」
目を開いて、首をかしげています。
「いえ、私良くあの方と間違えられるでしょう? 婚約者がいると聞いてちょっと何も知らないと困ることになりそうで。」
本当に困ることになります。
「あらあら、それはそうね。
ヴァンハークト侯爵令嬢は、お相手のハイデマン侯爵令息に一方的に熱を上げて、家の力も使ってかなり強引に婚約したの。」
にこにことして話始めたわ。
「まあ、同じ侯爵同士なのに?」
「ええ、侯爵家でも上位のヴァンハークト家と没落気味のハイデマン家では力に違いが有るからこそできた事ね。
ただ、強引すぎて、ハイデマン侯爵令息は初めからあまりよく思っていなかった様ね。
その上にヴァンハークト侯爵令嬢ときたら、デートだ観劇だと連れまわしていたから、相当うんざりしていた様なの。」
「まあそんなに。」
「そう、それで、息抜きかしら、ハイデマン侯爵令息は最近マクラフト伯爵令嬢よく一緒にいらしていて、パーティなんかにも二人でいらっしゃるそうよ。」
息抜きに、浮気したのね。
「まぁ、それだとヴァンハークト侯爵令嬢は面白くないでしょうね。」
殺人の動機になったり。
「ええ、よく物陰からマクラフト伯爵令嬢をヴァンハークト侯爵令嬢がみているそうよ。恨めしそうに。」
アルミライユ伯爵夫人が近づいて、声を潜めて話してくれます。
「まあ怖い。」
それってすごい顔して睨んでいそう。
「ええ、いつ何が起きるか分からないわ。」
起こるのを楽しみに待っていますよね。
「そうですわね、その3人には関わらないように気を付けますわ。」
折角の夫人の楽しみを台無しにしたりはしません。
「その方がいいですわね。ハイデマン侯爵令息は今日はいらしてませんけれど、マクラフト伯爵令嬢はいらしていたはずよ。桜色のドレスでしたわ。」
「有難うございます。気を付けますわね。」
綺麗な桜色のドレスで、生きているときは良く似合っていそうでした。
「そうね、そういえば今日第3王子がいらしているそうなの。」
「第3王子というと、エリック王子様?」
「ええ、とっても魔道具がお好きだそうで、今日も新しい魔道具を使ってみたくて、持っていらしているそうだわ。」
魔道具の剣を腰に差してます。
「まあ、楽しそうですわ。見かけたら、アルミライユ伯爵夫人にもお知らせしますわね。」
「ええ、よろしくね。王子様が魔道具を使う所をぜひ見たいわ。」
アルミライユ伯爵夫人はそのまま他の人の方へ行ったのだけれど。
使う時は私で試し切りしてるなんて言えないわ。
「ああ、リエル!」
「あ、キャシー。どうしたの?」
遠くから、友達のキャシーが私を見つけてこちらにやって来たわ。
いつ見ても元気だわね。
「リエルがすっごい顔でマクラフト伯爵令嬢を睨んでたって教えてくれた人が居たのよ。何かあったの?」
近づくなり挨拶抜きで話して来たけれど、いつもの事よ。
「それ、『本物令嬢』の方よ。」
『本物令嬢』は、『にせもの令嬢』の逆。私達の間で、ヴァンハークト侯爵令嬢を指す言葉なの。
「そっか。本当に迷惑だね。」
「迷惑よ。なんか一方的に好いてる婚約者の浮気相手らしいよ。」
さっき聞いた話を縮めて伝えておいたわ。
「それでかぁ。ちょっと一緒にいた人たちに触れ回って来るね。」
「ありがとう、よろしくね。」
情報修正ついでにいろいろ話してくるんでしょうね。
楽しそうだわ。
この調子で、いろいろ話をしながら死体が見つかるまでここに居ようっと。
「お飲み物をどうぞ。」
「あ、ありがと。」
ちょっと暑いと冷たい飲み物がおいしく……て……(バタリ)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「リーズウェル=ヴァンハークト侯爵令嬢。お前は愛する婚約者、マルクト=ハイデマン侯爵令息を、そこのリナリー=マクラフト伯爵令嬢に奪われ、恨んでいた。」
「違います。」
なんでまたこうなってるのよ。
「今日このパーティに、リナリー=マクラフト伯爵令嬢が来ることを聞いて、隣家であることを利用し、招待されることに成功した。」
「違います、私はリエル=ハンクト伯爵令嬢です。家は隣では有りませんし、招待状が届きました。」
うん、全部聞かなくてもいいし。
「リエル=ハンクト伯爵令嬢だと? リーズウェル=ヴァンハークト侯爵令嬢ではないのか?」
「そっくり令嬢?」
「ああ、そっちの令嬢か。」
「だから殺してません。殺す理由が有りません。」
「いや、そっくりなんだから、同じように婚約者を取られているんじゃないのか?」
「婚約者も恋人も居ません!」
さっさと言っちゃえ……悲しいけど。
「そっくりな彼女が婚約者を取られたから、取った相手を恨んで殺したのか。」
「違います。大体ここにいただけで、ナイフに触っても居ません。ほら手に血もついていないでしょう?」
そう言って何もついていない手を見せます。
うん、一応学習能力って有るからね。今回はナイフを取らなかったんだ。
ナイフは柄までしっかり血で真っ赤だからね。
「手を洗って来たんだろう。」
「手を洗ってまた戻って来て寝てる犯人が居るかあっ。」
普通に逃げるわ。
「じゃあ誰が犯人なんだ。」
「誰か、目撃者とか探した方がいいんじゃないですか。」
前世の警察みたいに現場検証出来たらいいんだろうけど、そんな化学力は無いしね。
「それは、面倒くさいな。」
腰に差した剣をすらりと抜いた。
「ちょっと待った、凶器に触ってない犯人がどこにいる!」
「一人くらいいてもいいだろう。」
ゆっくりと歩きだした。
「よくないっ。この部屋から出て行った人とか地道に探せぇっ」
「地道とか嫌いなんだ。」
こちらにゆっくりと近づいて来る。
「そんな人が犯人探しとかするんじゃないっ。」
「でも僕王子で頼まれちゃったからなぁ。」
目の前で立ち止まった。
「だったら近くに寝ていただけで、凶器を手にしてない人間を犯人にするなぁっ。」
「死体の近くに居たって、十分に怪しいよね。」
ゆらりと剣を振り上げる。
「だから無実の要素を全部無視するなぁっ。」
「生き残ったら感想を知らせてくれ。」
そう言いながら剣を振り下ろ…………
ザシュッ
チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク
また巻き戻る……
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読んでいただき有難うございます。




