↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】固有スキル『トラップバスター』と新しい街で暮らし始めた僕の話  作者: けろ
キアリーとスライムビジネス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/53

46.グリコ

「よし、君だけ助けてあげるから、この小型アクリルケースに入って!」

キアリーが小さめのケースを差し入れた瞬間だった。

まだ干からびていない周りのグリーンスライムたちが、「涼しいところへ行けるのか!?」と察したのか、我先にとケースの中へ雪崩れ込んできた!

『あーっ! 邪魔すんなや自分ら!! これはワテの席やぞ! 横入りすんなって言うとるやろがい!!』

喋るグリーンスライムは、短い体をムチのようにしならせ、ポコポコと同胞(ノースキルのスライムたち)を蹴散らしていく。

すさまじい執念で他のスライムを弾き飛ばすと、スポッとケースの中に収まり、パタンとフタを締めた。

『兄ちゃん! はよ! はよワテをここから外へ連れ出してくれんか!!』

「あ、うん……!」

キアリーは言われるがままケースを抱え、慌てて激暑のアクリル棟から脱出。そのままプラントに併設された、エアコンで冷房がバッチリ効いている快適な社長室へと運び込んだ。

『ふぅ~~~! 助かったで兄ちゃん! 逃げる気なんてサラサラないから、ここから出してくれへんか?』

一応『トラップバスター』をかざしてみるも、危険度は完全にゼロ。危害を加える気がないことを確認したキアリーは、ケースのフタを開けてあげた。

ぷにんとデスクの上に躍り出たスライムは、冷風の当たる場所へすり寄ると、幸せそうに体を上下に伸ばした。

『いや〜〜っ! ここは涼しくて最高に気持ちええな〜! ワテ、これからずっとここに住んでええやろ?』

(……なんて厚かましいスライムなんだ……)

キアリーは思わず呆れ顔になったが、冷風にあたってぷるぷると気持ち良さそうに揺れる緑の姿は、見ているとなんとも愛くるしい。

何より、今まで「天日干しの素材」でしかなかったスライムと会話ができるという体験に、じんわりと愛着が湧いてきてしまった。

「……いいよ。じゃあ、君をここで飼うことにする。名前は……『グリコ』ね」

グリーンスライムの「グリ」と、その言葉のちょっとイラッとするイントネーションから、なんとなくしっくりきた名前だ。

『グリコ? おう、ええ名前やんけ! サンキューな、兄ちゃん!』

こうして、社長室の住人となったグリコ。

生態を観察してみると、基本的に食事を必要としない点は他のグリーンスライムと同じだった。

たまにボリスの青果店から買ってきた新鮮なキャベツやレタスなどの葉物野菜をあげると、体の中心に取り込んで、ジュワッと溶かして吸収するくらいだ。

身体のサイズも、これ以上は大きくならないようだった。

そしてある日、葉物野菜をいつもより多く与えた時のこと。

ぽんっ。

音とともに、グリコの体が二つに分裂した。

生まれたのは、グリコと全く同じサイズの小さなグリーンスライムだ。

「あ、グリコ! 分裂したよ! 弟か妹かな?」

キアリーが目を輝かせると、新しく生まれた方のスライムは「ぷに……」と頼りなく揺れるだけで、何も喋らない。

するとグリコは、フンッと鼻で笑うように(※鼻はない)体を揺らした。

『あ、そっちは喋られへん普通のやつやから、遠慮なく天日干しにしてくれて構わへんで』

「仲間の意識、一切ないの!??!」

『なに言うてんねん兄ちゃん、ワテとアイツは別口や! 早くプラント持っていって干してもうてや!』

自分の体から生まれた分身すら、秒で「出荷対象」として差し出す圧倒的なドライさ。

ある意味、干しスライムよりもドライだなと、キアリーは思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。