↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】固有スキル『トラップバスター』と新しい街で暮らし始めた僕の話  作者: けろ
キアリーとスライムビジネス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/53

45.カンサイベン

その日、キアリーは出荷前のグリーンスライムたちの観察に訪れていた。

20メートルのアクリルケースを横倒しにして敷き詰めた巨大なハウスの中では、無数の幼体グリーンスライムたちが直射日光を浴びている。

見ていると、個体によって反応は様々だ。

キアリーの姿を見つけるとぴょんぴょん跳ねる個体、

強烈な日光を恐れてアクリルケースの隅っこへ必死に逃げ込もうとする賢い個体、

あるいは、半ば諦めて干からびるのを静かに待っている(動く気力がなくなった?)達観した個体……。

そんな中、1体の小さなグリーンスライムが、アクリル越しにキアリーの目の前にすり寄ってきた。

そして、ぷにぷにと体を伸縮させながら、しきりに何か「音」を発している。

(……なんだろう? なにか伝えようとしてるのかな……?)

気になったキアリーは、特注の厚手防護服をしっかりと着用し、アクリル棟の扉を開けて中へ足を踏み入れた。

――ガバッ!!

「わわっ! ちょっと待って!!」

扉が開いた瞬間、まだ乾燥しきっていない元気なグリーンスライムたちが一斉にキアリーへと襲いかかってきた!

かつて一度だけ、ステラと一緒に無防備のままこのアクリル棟に入った際、群がるスライムたちに目と口を完全に塞がれ「史上初・スライムによる窒息死」の危機に瀕したトラウマがある。

それ以来、防護服の着用は絶対となっていた。

とはいえ、単体の攻撃力が無に等しいグリーンスライム。

厚手の防護服さえ着ていれば、いくら人間界最弱クラスのキアリーであっても痛くも痒くもない。ペチペチと体を弾かれながら、キアリーは先ほどの個体のもとへ歩み寄った。

すると、そのグリーンスライムはキアリーの足元までズリズリと這い寄ってくると、体を大きく揺らして――

『なぁ!! ここから出してやぁ!! このままだとワテ、カラカラの干物になってまうわっ!!』

「うわああああああああっっ!!?? 喋ったぁぁぁぁぁぁっ!??!?」

キアリーの叫び声がアクリル棟内に響き渡った。

なんと、目の前のスライムは、滑らかで流暢だけど、キアリーが知らないイントネーションの言葉を喋っていたのだ。

『声がデカいわ兄ちゃん! 叫んでる暇あったらこのハッチ開けてぇな! 太陽光がサンサンと降り注いでアツアツのジリジリやねん! ワテの水分がエグい勢いで奪われていっとんねん!!』

必死の形相(目も口もないが)で、短い体をジタバタと振るわせながら命ごいをしてくるグリーンスライム。

過酷すぎる天日干し環境という極限状態において、そのスライムは種族の限界を超越。

絶望の淵で固有スキル『カンサイベン』に目覚め、人類との対話能力を獲得してしまったのだ。

「え、えええ……!? 喋るスライム……!? ど、どうしよう、干しづらい……っ!!」

『干す前提で喋るなや!! 命の危機やぞ!!』

こうして、スライム実業家キアリーと、世界で唯一、コテコテのどこかの地方の言葉を操るグリーンスライムとの、奇妙で賑やかな出会いが果たされたのだった――!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。