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固有スキル『トラップバスター』と新しい街で暮らし始めた僕の話  作者: けろ
キアリーと黒鉄の迷宮

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25.力技

「フォッフォッフォ……すまんのう、急に腰が悲鳴を上げてしまってな……」

ギルドのロビーで、マックが腰をさすりながら申し訳なさそうに頭を下げた。

「いいんですよ、マックさん! 2階層はボクたちで調べてきますから、しっかり休んでください」

キアリーが笑顔で送り出す。マックはお休みとなったが、今回の4人目のメンバーには、やる気満々の「怪力八百屋」がいる。

「ああ、心配いらないぞ。俺もそれなりに戦えるからな。防具もちゃんと仕込んである」

そう言ってボリスが胸元を開けると、服の下には鈍く光る頑丈な鎖帷子くさりかたびらが仕込まれていた。さらに、大きな拳にはこれまた年季の入った鋼鉄のメリケンサックが鈍い光を放っている。

「あら、ボリスさん。八百屋の割にいいもの持ってるじゃない。それならアタシの背後は安心して任せられそうね!」

アーサーが嬉しそうに微笑み、ステラも「ふふ、頼もしいですわ。私のモーニングスターとどっちが頑丈かしら?」と物騒な笑みを浮かべる。

こうしてアンチドートの瓶を飲み干した4人は、4度目となる第2階層へ足を踏み入れた。

キアリーを守るフォーメーションを維持しつつ、まずは1つ目の壁の手前、例の「ビクともしない宝箱」の前へと到着する。

「よし……。ボリスさん、スキルを発動して、この宝箱を持ち上げてみてもらえますか?」

キアリーが緊張した面持ちで促す。

「よし、任せろ。――いくぞ、『ハイパーストレンジ』!」

ボリスがそう叫んだ瞬間、彼の全身の筋肉がミシミシと音を立て、圧倒的なオーラが吹き出した。

ボリスは宝箱の縁に太い指をかけると、フンッ!と息を吐き、一気に引き上げた。

ゴゴゴ……と床に固定されていたはずの金属の接合部が悲鳴を上げる。

次の瞬間、4人がどれだけ押しても引いてもビクともしなかった頑丈な宝箱が、ボリスの手によって軽々と持ち上がったのだ!

「す、すごい……! 本当に持ち上がった!」

「よし、こいつを横に避けるぞ」

ボリスは凄まじい力で宝箱を横の石畳へと静かに置いた。

箱が退けられた床の石板には、何かが刻まれていた。

キアリーたちが覗き込むと、そこには「宝箱の絵」が描かれており、その開け口である「蝶番ちょうつがいの部分」に、分かりやすく二重の◯がつけられていたのだ。

「これ……宝箱の構造の絵ですね。蝶番の部分に、何かあるってことでしょうか?」

キアリーは横に置かれた宝箱の裏側を覗き込んだ。

すると、確かに錆びついた蝶番の隙間に、言われなければ絶対に気づかないような、小さな黒い突起が隠されるように突出していた。

キアリーはすかさず『トラップバスター』の目を凝らす。

結果は――何も表示されず。

「罠じゃありません……! スイッチです!」

ゴクリと唾を飲み込み、キアリーはその黒い突起を指先で強く押し込んだ。

カチリ。

確かな手応えと共に小さな金属音が響いた直後、目の前の分厚い石壁が、スッと音もなく横へと滑り、奥の通路を開放した。

「やった……! 開きましたわ!」

ステラが声を弾ませる。

「なるほどねぇ! 箱自体がスイッチなんじゃなくて、箱の裏にヒントが隠されてたってわけ。これじゃあ、普通に箱を開けてるだけじゃ一生気づかないはずだわ!」

アーサーがポンと手を叩く。

「ガハハ! 俺の筋肉がお役に立てて良かったぜ。だがキアリー、俺のスキルは残りあと4分半だ。このまま一気に奥の箱も引っぺがしにいくぞ!」

「はい! いきましょう!」

長年の謎のベールが剥がされた興奮を胸に、4人は開かれた通路の先へと、勢いよく駆け出していくのだった!

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