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固有スキル『トラップバスター』と新しい街で暮らし始めた僕の話  作者: けろ
キアリーと黒鉄の迷宮

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18.モーニングスター

『黒鉄の迷宮』の入り口へ向かうキアリー、アーサー、マックの3人。

しかし、彼らの背後から、リズミカルでどこか重々しい金属音がついてきていることに、キアリーは早い段階で気づいていた。

恐る恐る振り返ると、そこには見覚えのある白い修道服。

そしてその手には――棘だらけの巨大な鉄球が鎖で繋がれた打撃武器『モーニングスター』がずっしりと握られていた。

「す、ステラさん……!? なんでその格好で、そんな物騒なものを持ってるんですか!?」

キアリーが素っ頓狂な声を上げると、ステラはフフッと聖母のような美しい笑みを浮かべた。

「あら、驚かせてしまいました? 今日から皆さんのパーティーに同行させていただきますわ、キアリーさん」

アーサーとマックが呆気にとられる中、白い修道服を纏い、ずっしりと重い『モーニングスター』を軽々と肩に担いだステラがフフッと聖母のような微笑みを浮かべた。

「ご心配なく。教会にいた頃、私にはとにかく『暇な時間』が有り余るほどありましたから、自主訓練を毎日欠かさず行っていましたの。それに、この修道服も見た目以上に非常に丈夫です。少なくとも近接戦闘においては、そこのおじいちゃんよりもずっと強くてよ?」

「おいおい、言うてくれるのう。ワシは魔道士じゃ、筋力で比べられては困るわい」

マックが髭を震わせて苦笑いする。

(……ステラさん、本当にボクにつきまと……ついてくるつもりなんだ……!)

キアリーの脳裏に、かつて視界に走ったあの紫色の警告がフラッシュバックする。

しかし、モーニングスターを構える彼女の姿は、恐ろしくもあるが、これ以上ないほど心強い護衛の一人であることも確かだった。

「さぁ、無駄口はここまでよ!行くわよ、みんな!」

アーサーの合図で、4人はギルドから支給された特効薬『アンチドート』の入ったガラス瓶をそれぞれ手に取った。

コルクの栓を抜き、瓶から直接グイッと一気に飲み干す。これで、数時間はあらゆる毒が無効化されるはずだ。

「よし、罠はすべてボクが先に見つけます。皆さん、お願いします!」

戦闘能力が『そこらの子供以下』であるキアリーを先頭に歩かせるわけにはいかない。

当然、隊列の最前線には大盾を構えたアーサーと、モーニングスターを構えたステラが立ち、キアリーはそのすぐ後ろ、ステラの背中に隠れるようにして守られながら進むことになった。

薄暗い第2階層への階段を力強く駆け下りる4人。

かつてアーサーの右腕を奪った因縁の「ネズミ型モンスター」の群れが、暗闇から牙を剥いて飛び出してくる。

しかし、今回はもうあの日のような苦戦はあり得ない。

「ステラさん、正面の影から3匹来ます!」

「――『パーフェクトウォール』!」

アーサーが即座に光り輝く強固な障壁を展開し、突進してきたネズミの勢いを完璧に叩き潰して弾き返す。

体勢を崩したネズミたちの頭上へ、キアリーの頭越しに、ステラの巨大な鉄球が容赦なく振り下ろされた。

「神の御名において――塵に還りなさい!!」

ドゴォン!!と、修道女とは思えぬ凄まじい破裂音と共に、ネズミが一撃で消し飛ばされる。

飛び散った毒液がステラの修道服にかかるが、事前に瓶から飲み干したアンチドートの効果によって、肌に触れた毒素はシュウシュウと音を立てて無害な水蒸気へと変わっていった。

「まぁ、素晴らしいですわ! 本当に毒が全く効きません!」

「フォッフォ、これは傑作じゃ。あの忌々しい迷宮の悪意が、ただのそよ風のようじゃな!」

キアリーの眼、アーサーの盾、マックの知恵、そして新たに加わったステラの「聖なる物理暴力」。

キアリーを完璧に護衛するフォーメーションを組んだ4人は、かつて命からがら逃げ出した毒の迷宮を、今度は嵐のような勢いで蹂躙しながら奥へと突き進んでいくのだった。

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