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固有スキル『トラップバスター』と新しい街で暮らし始めた僕の話  作者: けろ
キアリーと黒鉄の迷宮

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18/27

17.ギルドマスター

「おはよう、諸君!」

朝の冒険者ギルドの喧騒を切り裂くように、朗々とした大声が響き渡った。

声の主は、この街の冒険者ギルドと商業ギルドの頂点に立つ男――ギルドマスター、デイビッド・ルーカス(40)だ。

デイビッドは今から18年前、若干22歳という若さでこの街に二つの巨大組織を設立し、荒れ果てていた街の雇用、治安維持、そして技術発展のすべてを一代で成し遂げた、誰もが尊敬してやまない超大物である。

しかし、彼がこれほどの組織を作り上げられた背景には、かつて死の淵で掴み取った『固有スキル』の覚醒があった。

19歳の頃、まだ冒険者がただの「荒くれ者の集まり」でしかなかった時代。デイビッドは信頼していた仲間に裏切られ、ダンジョンの奥底に血塗れで置き去りにされた。薄れゆく意識の中、彼は心の底から強く願った。

(俺に……俺に、誰もがひれ伏す莫大な力と金があれば、俺みたいな惨めな人間を全員守ってやれるのに……!)

その瞬間、彼の魂の奥底で、眠っていた歯車が凄まじい音を立てて回り出した。

視界を埋め尽くしたのは、無数に浮かび上がる『8』と、たった1枚だけ紛れ込んだ『1』のカード。それらが一斉に裏返り、目にも留まらぬ速さでシャッフルされる。

「なんだ、これは……」

死に瀕したデイビッドは、戸惑いながらも、己の直感だけを信じてその中から1枚のカードを引いた。

めくられたカードに書かれていた数字は――『1』。

その瞬間、彼の傷ついた身体は瞬時に回復し、全身へ爆発的な力がみなぎった。そして目の前には、見たこともない大きな袋に詰め込まれた、輝く『白金貨(1枚で銅貨10億枚の価値)』の山が現れたのだ。

デイビッドはこれが己の力だと悟り、使用イメージを極限まで高めるために、その固有スキルへこう名付けた。

「――『ワンオアエイト』」

一か八か。文字通り、命をかけた究極のギャンブル。

驚くべきことに、あの奇跡の瞬間以来、彼のスキルが再び発動することは二度となかった。しかし、デイビッドはその時手に入れた神話級の莫大な資金力をすべて注ぎ込み、裏切りを許さない「秩序ある組織」を完璧に作り上げ、今日の平和をもたらしたのだった。

「マスター、お早いですね。本日の進捗状況ですが……」

エレンが引き締まった表情で報告書を差し出す。デイビッドはガハハと豪快に笑いながら、受付にいたキアリー、アーサー、マックの3人へと視線を向けた。

「おお、お前たちが『アンチドート』の材料を集めてくれたパーティーか! よくやってくれた。お前たちのような優秀な者が安全に稼げるギルドであるために、俺はここにいる。2階層目のリベンジ、期待しているぞ!」

デイビッドがキアリーの肩をポンと叩く。その大きな手のひらからは、かつて孤独な裏切りを生き抜いた男だからこその、圧倒的な包容力と絶対的な安心感が伝わってきた。

「は、はい! 頑張ります!」

キアリーは緊張で背筋を伸ばしながらも、この誰もが守られる温かいギルドを作ってくれた偉大なマスターに、心からの敬意を抱くのだった。

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