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カチカチ山のたぬき悪口言われるのは許さない~サイト管理人に抗議しに行ったら大変なことに気付いた件について  作者: RiderLisa


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7/8

あっあのときの狸さんなの?月に戻るの?連れてったげるの!

斜め上から見た美しい世界2の前日譚。

無事、月の住人として幸せに暮らすようになった元カチカチ山の狸タヌちゃんは、寺子屋の先生として楽しく勉強を教えていた。

ある日、月についてアレコレ予言や透視をする水星人について生徒たちから聞かされる。

それはトンデモナイ者かもしれない!詳しく確認しなければ!あまりにも酷いことが書いてあるのなら、抗議文を送ってやろう。

まずは、ある事ない事書きまくる水星人カサンドラ嬢が管理する《ツキペディア》という百科事典サイトにアクセスするのだった。

「ぐぬぬぬぬぬぬ………早く、速く!はやく!!」

ポヨポヨするお腹を揺らしながら、素早く玄関まで戻ってきましたが…


「ひらけぇ〜ぐぬぬぬぬ……」

どうやってこの扉を開けるのか分からなかったのです。

思い切り押しても、大きい取っ手を引っ張っても、

はたまたこの賢い狸『もしかして襖のように横に引けばいいのか!?』などなど。

色々試してみましたが、びくともしません。


この広い城の中、悪口野郎を探し回るなど…それはしたくありません。

カサンドラに会えば、桃太郎のことも聞けるし扉もすぐに開けてもらえるかもしれない…。


かなり迷ったけれど、聞いたところで何だと言うんだ?という結論に達しました。


カサンドラの言っていることを真剣に受け取る必要があるのかも分からないのです。


じゃあ、なぜ焦る?


「うぅ……狸にはこれ以上分かりません…神様に聞けば分かることですよ。帰らなきゃ!」

なによりも…なんというか…

桃太郎のことを、狸の大切な友人たちに伝えなければ!と思ったのです。


とにかくここから出ないと!


そういえば、この重い扉カサンドラが近付いた瞬間に開いていたような…?


方法は、物理では無いのだと気付きました。


「そういうことか……全く…。

じゃあ一か八かやってみましょうか。」


少し離れてから、深呼吸をします。


「指の呪文!!!」

手の平をくっつける

両手で三角形をつくる

左手だけ縦に戻す

両手の指を繋ぎ人差し指だけ立てる


もう一度!


さっきより早く!


手の平をくっつける

両手で三角形をつくる

左手だけ縦に戻す

両手の指を繋ぎ人差し指だけ立てる


狸が化けるのは、カサンドラ嬢だ!

金髪!

グリーンの目!

人間っぽい!

身長はかぐや姫より高い

神様よりは低い


完璧に!!!


ゆらゆら揺れる嫌味な髪の毛!

性格の悪そうな顔!

変なサングラスを頭につけていてセンスが悪い!


三回、指の呪文を繰り返すと煙が出てきました。


変化(へんげ)!!」


久々に人間に化けるので、気持ちが燃えすぎたようだ。

モクモク……モクモク……煙が大量に出ています。


ちゃんと出来たのか


ボンッッ!!!と大きな音が鳴り、モクモクした真っ白な煙が徐々に透明になっていきました。


手の平をグーパーグーパー繰り返し握り、

手の甲もチェックします。

人間の白い手が、美しく出来上がっています。


足元に目をやると、先程カサンドラが履いていたのと同じ黒いズボンが見えたのです。


「よし!成功ですね!さすが賢い狸は違います!」


おぉ!!!声までそっくり。


すると…


重厚な出入り口の扉は、ゴゴゴゴゴ…と音は立てませんが、少しずつ開いていきました。


やはり、カサンドラの声か姿に反応するようになっているのだろう

ハイテクだ!


勝ち誇った表情で、狭いすき間を通り抜ける。

普段のポヨポヨしたタヌのお腹では通れない幅だった。


外へ出ると、カサンドラの運転していたMOONSSAN(厶ッサン)のタクシーが目に入ります。


すぐに駆け寄ってドアを開き、運転席のシートにドカン!と座りました。

「どーーだっ見たか!これが狸の本気だ!!!」と叫びました。


しかし…


気付きました。


狸は運転の仕方など知らないことを……。


「うわぁぁぁ!!どうやったら動くんだぁぁ!!」

色んなボタンを押してみますが、うんともすんとも言いません。

「うぅ…どうやって帰ったらいいんですかぁぁ」

涙目になりながら仕方なく車を降ります。


ムカつくので、再びドアをバンッ!!と強く閉めてやりました。

この姿も物凄く腹が立つので、狸に戻ることにします。


戻るときは一瞬なのです。

弱々しい声で「変化(へんげ)…」と言うと、

シュゥゥゥゥウウウウ……と、空気が抜けていくように元の姿に戻りました。


「どうやって帰ったらいいんだ…」

カサンドラに頼むしかないのか?

車の陰からヒョコッと顔を出すと、先ほど通ってきた水星の一本道にトナカイが歩いているのが見えました。


「あ…あれは…!!

おーーーい!!!トナカイさーーん!!!」

短い手を何とか大きく使って声を掛けます。


トナカイさんは、「お?」という顔をして

こちらへ向かって走り出しました。


助かった…

あれは、初めて月へ来た時にかぐや姫にみかんジュースを貰っていたトナカイさんです!


「こんにちはなの〜

カチカチ山のたぬきさんなのー?久しぶりなの」

大きな巨体を揺らしながら、狸の前までやって来たトナカイさんは満面の笑みで挨拶してくれます。


「こんにちは!お久しぶりですね」


二人は丁寧にお辞儀をしました。


「こんなところで何やってるの〜?」


「実は………えーっと。

カサンドラ嬢に連れられてココに来たんですが

………喧嘩してしまって…月へ帰りたいんですけど!

狸は運転できないですし」


「そーなの!?困ってるの?月へ戻りたいの?

良かったら送っていくなの?」


「いいですか!?是非!!お願いします!助かります!!」


「良いの〜」

トナカイさんは木のソリを引いていました。

荷物がたくさん乗りそうな頑丈な荷台と座席も付いています。

「さぁ!乗っていいの!」

彼女は、方向転換しながら優しい笑顔で言いました。


「あぁ…本当にありがたいです。感謝します。」

座席は思ったよりも柔らかく、城の中にあった硬いソファーよりも座り心地が良く感じられる。


「出発なのー!」

トナカイさんの素敵なソリは、フワッと浮いて前進を始めました。

カサンドラのタクシーとは比べものにならないほど…………遅かった。


「ところで、トナカイさんはここで何をしていたんですか?」

狸は気になっていたことを聞きました。


「たまに配達で水星に来るんだけど、今日はお仕事じゃなくてカサンドラちゃんに会いに来たの!」


「カサンドラ…ちゃん?」


「うん!そーなの!たまに遊びに来るの」


「え…そーなんですね…」

あんな奴に友達がいるのか、心底驚きました。


「カチカチ山のたぬきさんは、どーして喧嘩しちゃったの?大丈夫なのー?」


「えぇ!平気ですよー…

えーーっとぉ

何というか。ちょっとした行き違いというか…」


「そーなの…カサンドラちゃんは良い子だから

仲直りしてほしいの!」


「え!!!?えぇ……そうですねー…はい。分かってますよ」

信じられない

あれのどこが良い子なのか…とりあえず合わせておいたほうがいいか。

「良い子ですよねぇ…」


「うん!ハイテクな子なの!面白い子なの!」


「アハハァ……」

かなり引きつった歪んだ顔で笑っている事だろう

いやー嫌な子ですよねと言いたくなるところ、グッと堪えました。

それにしても相当仲が良さそうだ。

ツキペディアのことなどは、やはり聞かないほうが良いか。

いま下手に非難するのは得策ではない気がします。

とりあえず、月まで送ってもらわないと。


「カサンドラちゃんのタクシーは、とっても速いの。

あたいはゆっくり進むトナカイなの〜ごめんなの」


「いえいえ!助かりますよ、お気になさらずに…」


ソリのスローペースとフワフワした揺れに、なんだか眠気を誘われてしまいます。


「カサンドラちゃんと何してたのー?」


「え?あぁ…えーっと、本を読んでましたよ

えーっと意見交換したり?」


「そーなの?なにを読んだのー?」


「……シンデルワです。知ってますか?」


「もちろん!!名作なの!」

相変わらず、しっとりしたフワフワな揺れ

瞼が閉じかける

あー…そういえば、あまり寝てなかったなぁ

カサンドラのところで毒入りコーヒーでも飲んでやれば良かったか?

ったく…くそ野郎め


「あたい、シンデルワの大ファンなの!

シンデルワを好きになってカサンドラちゃんと

仲良くなったの!ねぇねえ、どのシーンが好きなの〜?!たくさんありすぎて困るの!

主人公と王子様がルンルン踊るシーンもいいし、階段から落ちちゃうところも悲しいけどいいの!

けどけど!やっぱり寿命を分けるところが、あたいは好きなの!それから、最後のシーンもいいの!ね??………………………あれ?」


トナカイさんが振り返ると、元カチカチ山のたぬきタヌちゃんは座席の柔らかいシートに横になって眠り込んでいました。


「あぁ…残念。シンデルワの話したかったの〜」


フワフワ

ふわふわ

フワフワ

ふわふわ

狸を乗せたソリは、宇宙を蹴ってゆっくりと…

やっぱり滑るように走っていきました。


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