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エバーレコードパーツ ピークアブー編 エバレコ  作者: 行雲 日千羽
太陽と陰の晩餐詩 〜激闘ギャンリック戦〜
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【 外伝 】第10話 千手の英雄譚

 私は握り拳を作り、己の氣《き》を立ち上げる。


 私のそれは、仲間たち4人の膨大な量に比べれば、あまりにも微々たるものだ。


 ずっと気遅れしていたし、軍師という肩書きに逃げていたのも事実。


 幼い頃のトラウマのせいにしていたのだ。



 ──「 他責思考は何ももたらさない!」



 かつて赤髪の少女が子供たちに、そう言って、私が( ギクリ )と驚いていたのを、なぜか今、鮮明に思い出す。


 ドンの先ほどの言葉が私の背中を押し続けていた。仲間のやる氣が私を熱くなるほどに、包み込んでいる!



 子供たちの笑う顔。愛する者たちがささやく声。賑やかなアハルの街......



( やるしか無い!我を忘れていた。

まだ守るべき者たちが私にはいる。

負けるな、バーン。まだ泣く時じゃない!やり切ってから泣くんだ! )



「 みんな!私に力を貸してくれぇェェー! 」


 待っていたかの様に仲間たちが怒号を張り上げる!


「 うおおぉォォおおぉォォ〜〜!!!

待っていた!やってやるぜ〜〜!!! 」


 ドンが苦痛に顔を歪ませながらも白い歯を見せ、煤だらけのカイトシールドに手をかける。


「 戦士、千手のバーン殿。これを持っていってくれ。ワシの魂も最後の聖戦に参加させてやってくれ。頼んだぞ! 」



「 ああ、ドン。もちろんだ。お前の魂でみんなを守ってみせるぞ! 」


 私はイブシに指示を出し、重装歩兵を謁見の間の入り口まで歩ませる。



 崩れた壁から、白銀に輝く月光が眩しく差し込む。


 東からの突風が鳴り響き、通路と謁見の間からの淀んだ空気が外に勢いよく流れ、澄んだ風が入ってくる。


 そろそろアハルの砦での1日を始める頃だと、月光の角度で理解する。



( 相棒。無事でいてくれ。そして、見ていてくれ。 )


 微笑みながら、後ろを振り向き号令をかけた!


「 行くぞ!みんな! 」


「 うおおぉォォおおぉォォ〜〜 」



 いよいよ決戦だ―――




 ―――分厚い鉄板盾を押し出す重装部隊を前に射手を2番手、諜報、剣戟部隊は通路に待機させ、謁見の間に入る。


 激しい炎が銃火器兵から噴きだす!


 高い壁面通路から、一斉にボウガンの矢が敵から放たれる!



「 ゴォォォー!カン、カン、カカン、カカカカン! 」



( ふむ。ギョロ目以外の銃火器は大したことないな。なんとか防げている。それにしても、なんて広い謁見の間だ! )



 本国の書簡、義父様の文献にも書かれていなかった、森に飲み込まれた幻の古城。



 子供たちに物語風にして聴かせてやりたいものだ。


 大人になった『 ちびっ子探検隊 』が探索してくれるかも知れない 。


 『 情報を制するものは、世界を制す 』と何故か赤髪の5歳児が『 ちびっ子探検隊心得その1 』だと偉そうに言っていた 。



 古城の位置、その間取り、敵の戦力はイブシの潜入部隊のお陰で、図面まで描き頭に入っている。



 敵の分散後、この本城を叩き、その逃走経路をピエー騎馬部隊と、ドン陸戦隊で叩き潰す、平原に誘い出す作戦も間違ってはいない。


 退路はわざと開けてある。。。


( 袋のネズミにするのは、ここだけだ!絶対にギャンリックだけは、仕留めなけれならない!相棒のためにも! )


 しかし、ギョロ目の大将の『 超火力 』の再攻撃が、不安ではある。

 


 盛んにアハルに探りを入れ相棒と諜報部隊に殲滅されていた、【 カーリー・シーン 】が鍵を握っているのは、間違いない。


 私は号令を張り上げる!


「 重装歩兵前進だ!後方は敵射手に一斉射撃!諜報と剣戟部隊が壁面通路の敵を潰せ!」


 敵の矢と火炎攻撃を巨大な鉄盾に滑車を付けた重装歩兵が完全に防ぎズンズンと進む。


 ギルド時代からの名手たちが壁面通路の敵射手の額を確実に射抜き絶命させていく。


 更に諜報部隊が鉤爪ロープを掛け、

 壁面通路にあっという間によじ登り、縄梯子を掛け、手練れの剣戟部隊が左右通路の敵殲滅に当たった。


 完全までに、敵を圧倒し重火器を腕に装備している盗賊までも投降させる。


 高い壁面通路に我らの弓使いを配置し、次々と敵が断末魔を上げていく!―――




 ―――ドンが御輿に乗って現れる。


「 すまん。やはりワシも参加させてくれ!www イツツツッー。 」


 呆れた奴だ w 鎮痛剤が効いているのだろう?しかし、脂汗で泥と煤だらけの顔が酷い事になっている。


 止めても無駄だろう。悪ガキだった頃からこの辺りは、全然変わらない。



「 ああ!ドン。居てくれるだけで力を貰える。 」


すると、前線部隊でざわめきが起こり始め、ドンが笑いながら声を上げる



「 なんじゃ?なんじゃ?肝心のギャロ目の大将がおらんではないか? www

イツツツッ! 」


 

 王座の前の大きなテーブルが見えるも、敵大将が視認出来ない。。。



( 待てよ!逃げる事は出来ないはずだ )



 イブシが報告していた事を思い出す。


 王座の裏にギャンリックだけが入る扉があると。


 その空間の外壁には、他には扉は一切ないと言っていた。


( 古城に描かれている【 アハル 】と同じルーン文字の壁。。。巨大な謎の空間。。。 )



「 全軍、謁見の間中央で待機だ!気を抜くな!まだ終わっていないぞ! 」



 そう。。。終わっていない。



 ギャンリックを討たなければ、相棒と私が愛する国が消滅してしまうからだ。


 家族と仲間との愛の結晶を守らなければならない。


 この笑顔を絶やしてはいけないのだ。


 この地の民という宝を絶対に守ってみせる―――




 ―――夜が明け始めた。



 眩い太陽が壁面に連なる窓々から、徹夜で戦い通したにも関わらず、

 未だに元気な仲間たちを優しく照らし始める。


( アハルではアブーが東の外壁によじ登り手足を広げて、あのセリフを1人叫び、歌っている頃だろうか? w )


 ここで笑い転げてはいかん!と我が家族を考えることに。。。


( 娘も息子もおねしょをして妻に怒られている頃だな www )


 どっちも私の壺だ w 違う事を考えないと、緊張の糸が切れてしまう www



 切り替え見ればドンが、子供の頃にしていた悪ガキの面持ちで、待機させている部隊に激を飛ばしている。


「 お前ら、終わってもおらんのに、ハシャギ始めるとは何事じゃ!

なっとらんぞ! wwwイツツツ。。。 」


 お前だけには言われたくないと、元ギルドメンバーから爆笑と共に異論の声が上がるも、

 捕縛部隊を指揮しているピエー様に叱られ押し黙る面々に笑ってしまったw




 投降した盗賊たちの捕縛連行が完了し、いよいよ、王座の後ろのルーン文字が刻まれた扉から突入を決行だ!



 そこへ、イブシから落下した巨大な鉄扉には相棒の姿は無かったと報告がくる。。。


 鉄扉の下敷きになってしまったのかも知れないとの事......


 断広丸だけ部下3人がかりで運んできた―――




 ―――ドンは、天井を見上げ大泣きして、叫んでいる。


 元メンバーたちも床に膝を落とし悲しみの嗚咽《おえつ》を上げていた。


 ピエー様が「 情け無い奴め! 」と毅然とした態度でそれを諌めているが、彼女からも涙があふれている。。。


 しかし彼女は、未だに戦闘状態だと報告があった【 猛牛のジブラ 】の援軍として、泣きじゃくる元ギルドメンバー200名を叱咤しながら、再出陣していく。


 私の肩が勝手に小刻みに震え、目から涙が止まらない。止めどなくあふれ流れるそれを拭い、扉の諜報部隊に指示を出す。


 止まることは許されない!


「 みんなギャンリックはこの奥に絶対にいる!全力で叩き潰すぞ!!! 」


「 えい、えい、おおぉォおぉォォ〜! 」

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