第3話 お師匠
執筆から4ヶ月経ち、五歳編を来週月曜日から、
21〜26話まで毎日、金曜日まで登校していくつもりです。
そのため、初期に描いた文章をベースに今の私が書き直しております。
何とも楽しい作業でございます。
おそらくですが、すべて投稿し終わった後も書き直しているかもしれませんwww
改めて楽しんでいただけたらうれしいです。
行雲 日千羽 令和8年 3月 28日
【 お師匠 】は、『 赤獅子 』と讃えられている父も認める戦闘力を持つ。
そして、スーパー軍師のバーンおじさんも認める頭の良さを持つ上に、
イケメンというハイパースペックの持ち主だ。
相方も当然、狙っている!
( ま、負ける訳には、いきませんぞ!この戦いだけは!www )
将来的に結婚するのは、この私w
母も「 婿にしちゃえば? 」と、いつも言っている。
お師匠は『 ゾーン 』に入り、そこから増幅する『 氣 』により身体能力を爆発的に上げて戦う。
それは私も前世でその威力を跳躍力に使っていたので知ってはいた。
それでも常に使いこなせるものではなく、集中力やプレッシャーに大きく左右される。
仮に上手くいっても、周囲には「 今日はたまたま調子がよかっただけだよ! 」と、笑って言うくらいのものだった。
その点、このお師匠は明らかに違う。
すぐにゾーンに入ることができる呼吸法を、常に実践している。
そして、氣を電気のスイッチのように簡単に『 オンオフ 』できるという、変態的な才能を持っていた!
しかも、そのやり方や私たちに何が足りないのかを明確に言語化できるのが彼の強みでもある。
朝の希望を告げる太陽が昇り始め、その眩しい光を放ち砦を照らすころ、
【 アハル 】の兵士たちと共に我々の戦闘訓練も始まるのだ。
ちなみに、父とお師匠の実戦形式の試合なんかは、
観客席が満員御礼になるだろうぐらいの熱い激しい戦いを見せてくれる!
そのぐらい開始直後から氣を練り上げて攻めてくる、お師匠はすごいという事―――
―――父は30歳、刃渡り80cmのシミターと盾。
油が乗った全盛期。
そして、完全に維持しているだろう見事な体躯の持ち主。
一方、お師匠まだ15歳。
まだまだ線が細くて、少年の面影が残る。
両手に60cmの細身のショートソードを持ち、右手の黄金の腕輪が輝く。
この時、お師匠は大体すでにゾーンに入っている。
試合開始だ!
お師匠が即動く!
一直線の光の残像が父に襲いかかる!
激しい金属音をさせ、容赦無い怒涛の攻撃が父に叩き込まれていく!
彼の華麗で俊敏な動きと共に、乾いた土埃が舞い上がり、鼻を突いた。
赤獅子と言われる自分達の大将が、若干15歳に押し込まれる姿に、
周囲の大人達も思わず、低い声をもらす......
...... ただここからだ!
盾の奥で、怒れる猛獣の赤色の瞳が光る。
「 ゴゴゴゴォォォォォ〜〜〜! 」
「 来た!!! 」
刹那、赤獅子の重厚に凝縮された、赤き灼熱の紅蓮の氣が爆散するように全方位へ弾け飛ぶ!!!
視界が歪み、大気が震える。
「 ビリビリビリビリ!!! 」
耳鳴りと共に、私の肌が粟立ち、肩をすくませる。
凄まじい闘気と土埃が舞い、鉄の匂いが訓練所を包み込む。
こうなると周囲も身動き一つ、瞬き《まばたき》一つ出来ずに見守るのが、いつもの光景だ。
父の盾捌きと剣撃の回転数が、凄まじい勢いになる!
「 ガキぃィィ〜ン! ガァ〜ン! 」
父の渾身のなぎ払いに、火花が飛び散り、鉄の焦げたような匂いが鼻をくすぐる。
「 ゴッッギイィィ〜〜ン! 」
( 興奮しすぎだ!父よ!!! )
ここで、お師匠の左肘から先が鞭のようにしなり、
指が不自然に開き、汗の飛沫と共に剣が吹き飛ぶ!
......!?
しかし速い!
反撃だ!!!
自身の左腕に構わず、攻撃の反動を利用して残像が霞む《かすむ》右ハイキックを父の顔面に叩き込む!
( こ、これは、入る......!? )
「 ドスぅゥゥ! 」
その刹那、父は剣と盾を同時に手から離し、
瞬間的に左肘でそのハイキックを受け止めた!
衝撃波と埃が2人の周囲に広がり漂う。
「 ...... 見事だ、強くなったな! 」
父は彼の右のショートソードを裏拳で弾くと、お師匠の懐に入り、
彼のその右腕を捻り絡めとると、柔道と同じ一本背負いだ!
「 ドスぅゥゥン!!!...... 」
地面に叩きつけられた衝撃が、土煙を巻き上げた!
お師匠の、もう1本のショートソードが、
「 カランカラン 」と金属音を響かせ、戦いの終了を告げる。
「 決まった!!! 」
すっかり観客となっていた兵士たちが一斉に歓喜の雄叫びを上げる!
「 うおおぉォォおおぉぉォォォ〜〜!! 」
お師匠に手を差し伸べ父がおどける。
「 ふ〜......やれやれだぜ!
こりゃ、すぐに追い越されるかもな www 」
お師匠が苦笑いしながら手を握る。
立ち上がるも、まだ息が荒い。
汗の匂いが強く漂ってくる。
「 ゼイぃ、ゼイぃィィ...... 精進いたします...... 」
父が頭を「 ぽりぽり 」掻きながら、
爽やかな笑顔で応えた。
「 可愛い子供達の指導、頼んだぜ!俺の弟! 」
正直、完璧なイケメンでは無い父が唯一と言っても良いほど、カッコいいと思える顔の1つを見せる。
あえて孤児だったという彼を、弟と呼ぶ弾けるような、かわいい笑み。
私の大好きな父の顔だ!
母もいつも瞳を潤ませ同じ事を言っている。
「 はい、ジャバロン様! 」
こっちは全てが、どんな状況でも素敵な微笑みを絶やさない完璧な美男子だ!
相方もいつも言っている。
と、戦ってもいない私の口の中が、興奮で( カパカパ )に乾いていた。
ざっと2人の直近の訓練はこんな感じ―――
―――父やバーンおじさんは見込みのある若者を集め、
武芸、学問や多岐にわたる指導をしていて、次世代の育成に余念がない。
そんな中、お師匠は書庫に立ち入ることが許可されている人物の一人でもあった。
私たちが【 アハル 】に移動したため、
【 サロスの町 】に残った、軍団長の【 ドン爺 】が語っていたのを思い出す。
お師匠はこの国からはるか南西にある巨大な湖の沿岸に住んでいた、有名な『 暗殺集団の末裔 』だという。
その証拠に右手に付けている黄金製の腕輪には、 細かいルーン文字が刻まれている。
それは、その一族の地位の高い者が身に付けるものだと力説していた。
一応、お師匠に真偽を確かめたことがあったが、
「 なんだよ! それ!そんなわけないだろ!www 」と軽くあしらわれる。
相方は、そんなお師匠にますます怪しさを感じたらしく、
『 ジト目 』で、いつもこの質問をして困らせていた―――
―――お師匠の授業は午前中だけ。
瞑想から始まり、ゾーンの入り方、氣の練り方など。
前世の日本人のそれを語る、約八割はゾーンに入ることが出来ていたと記憶している。
しかし、相方の弟は全然、到達には至らず、いつも『 半べそ 』を搔いていた w
剣術や体術は五歳児以下限定なのもあり、型にもならない『 お遊戯会 』みたいなもの。
それを他の大人たちに微笑ましく応援されている。
ちょっと屈辱的な時間でもあった www
座学に関しては、語学や世界情勢などを、
私たち子供の興味を引くアレンジを加え、わかりやすく教えてくれる。
お師匠はまさに理想の先生だった。
R8.1.8 戦闘シーンの描写変更と共に内容変更しました。
R8.5.22 見直し改稿。




