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【 外伝 】第2話 街の影と太陽の欠片

また割り込み機能を使うのを忘れていました。


このエピソードは、主人公がのんびりまったり暮らしている幼少期。

親たちの視点で物語です。

前世の記憶があるとは言え、子供は子供。

大人には、大人の世界があり、子供のため、地域のため、国のために日々戦っている姿を物語に落とし込みました。  

楽しんでいただけたらうれしいです。

 私の言葉に、今度は彼女の口元が( ピクピク )と動く。



「 で、では、こちらになります...... 」


( 波動が乱れているな。ドス黒いハラワタの腐臭が隠せていないぞ。 )



 一階の兵士たちの喧騒が鳴り響く中、豪華な階段を数名の兵士を連れて上がっていく。



 踏み込むと、更に奥の部屋からドアに何かが当たる音。必死にうめく声。


 開ければ手足、口を縛られている3人の子どもたち。


 彼らは今朝、乱暴な男が引きずるように売りに来て、不憫ふびんに思い買い取ったばかりだと言う。


 そして、登録後に彼女の運営している孤児院へ編入させると言葉を重ねる。


 汚れているものの身なりは良く、

 おそらく、3人とも遥か西方の民族。 

 パッと見でも虐待された形跡もない。


 私は、あれやこれや言い始める、商会長を一喝すると、法のまま税金を差し引いた金額で、彼等を買い入れて、ドンの城に帰還する―――



 ―――

 【 再びサロス城執務室 】


「 どうした?もっと食べなさい。遠慮をするんじゃない。子供たちよ! 」


( 無理もない。緊張の連続だったはず...... )



「 ピエー様、地図を持って参りました! 」



 私は言葉が通じない、彼らにこの半島中心の地図を見せ、手振り身振りで出生地を割り出す。


 2人の兄妹らしき子供は、遥か北北西の地図からはみ出した机を指し、

 もう一人は遠い南西の湖の近くらしい事がわかった。



 私はドンの息子たちと頷き合う。


「 アハルの役所棟の官僚に、この地の言葉を理解できるものがいたはずだ。

連れて行って、そいつらに面倒を見させてくれ。 」


 ドンの長男が足を揃え、胸を張る。


「 はっ、ピエー様!祖国帰還までの行程説明と、それまでのアハルでの環境を整えるよう書簡で知らせます! 」


 次男も父を彷彿させる鷹が獲物を見定めた鋭い目付きになり震えている。


「 ピエー様、明日はメディー商会の孤児院の徹底調査を決行するべきです!

ですが、【 タルビア支店 】には、まず踏み込めません。。。 」


 タルビアとは、戦乱期に【 大国ラハビア 】に接収された、我らが半島の交易港だ。


「 うむ、今はあそこには、関与出来んな。。。 」


 しかし、次男が握り拳を固め歯を食いしばり、更に前に出る!


「 領境に兵士を配置いたします!絶対に見逃しません!」


 私はその姿に顔が自然と綻んでいた。


( 鉄壁のドンよ!ちゃんと育てているではないか!2羽の若鷹はもう一人前だぞ! )―――




 ―――こちらはメディー商会。応接間のソファに横たわる女商会長。


「 なんだって言うんだい!あの女騎士!

【 フリージア 】の上客に頼まれて、1人金貨10枚以上掛けた商品を、8枚で奪って行きやがってっぇぇえ〜〜! 」


「 メディーナ様、落ち着いて下さい。

貴女らしくないですぞ! 」


 身なりの立派な男が右の口角を上げ不敵な笑みを浮かべている。


「 パナーム!一からやり直しだよ!

まったく!イライラが止まらない!

奴隷調達と密輸船の手配し直してくるから、ここの商会運営は頼んだぞ! 」


「 仰せのままに。。。 」



 メディーナは、陶器のカップを壁に打ち付けると、叫ぶ!


「 侍女ども来な!今からギャンリックの所に、商談に行くからよ!馬車も用意させときな! 」


 やれやれといった感じの男。


 そして、畏まりながら、奇抜な衣装や装備を持ち入って来る侍女たち。


「 舐めやがって!あの女騎士!

この大盗賊頭 【 魅惑のジュマリナー様 】が、絶対に、さらって酷い目に合わせてやるからね! 」―――




 【 本拠地アハル 】


 ―――一方こちらは、アハル砦からすぐのオリーブ畑のアハル川への坂道。


「 バーン様!ちびっ子探検隊がw 」


( わかっている。今日も暑いな。。。色々な意味で。

相棒みたいに亜麻素材のシャツで過ごしたいものだ! )


 散々と容赦無く照りつける母なる太陽が白金色に輝きを増し、風の止まるこの時間帯に猛威を振っている。



「 ジリジリジリジリ 」と蝉の大合唱。



 諜報部隊【 イブシ隊長 】の進捗報告は、周囲の喧騒に声がかき消えて意識が分散する上に、

 見られたくない子供たちまで付いてくる始末。



( まずは...... 子供たちからだな。)



「 いや待て! 『 ちびっ子探検隊 』よ!

付いて来ないでくれ。今日も港町で遊んでなさい!」


「 バーンおじさん!漂って来ますぞよ!

なにやら秘密の臭いが www

いぶし銀の隊長さんと秘密の実験ですかな? ほととぎす! 」


( 相変わらず【 アブー 】は、状況判断と分析力が飛び抜けている。。。

それにしても、その変な言葉使いと、語尾は親にそっくりだな www )



「 お父様、副隊長としては、その秘密を探る責務があるのです。

クックー、クックー、レドレド〜 ♪ 」


「 そうだよ、僕も付いて行くからね!

ほおら〜、父さん〜が、呼んでる〜 ♪ 」

 


( 愛する子供たちが、アブーから教えてもらった替え歌らしい。

仕方ない目を覆わせれば大丈夫か...... )



 私は観念した。川辺の森でその瓶を少し見せると、子供たちを木の裏に待機させ、隊長に指示を出す。


「 アブー!もっと指の間から見るようにするんだ! アブー()ないからな! 」



 イブシの動作が止まってしまったようだ。。。彼のジト目が実に痛い。


「 すまんイブシ。流石に気分が高揚している。

子供たちの期待に満ちた氣が流れて来て増幅されてしまったようだ。 」



 ジト目の隊長が掛け声とともに導火線の末端に火を灯す。


 「 シュルシュル 」と乾いた音を立てて火花が這い進み、

 瓶の口へ火が吸い込まれた刹那、世界から色が消える。



「 パァンッ……ドドオォォン! 」



 耳をつんざく破裂音と共に、視界は塗り潰さんばかりの『 神光 』に包み込まれた。


 瓶の中で眠っていた太陽の欠片が真の姿を現す。


 網膜を灼くような純白の閃光が、薄暗い木々の闇を切り裂き、容赦なく光輝きを放つ。



「 ぬおぉォォオオオぉォォ〜〜!

天晴れですぞ!

いぶし銀とバーンおじさん!www 」


 アブーが雄叫びを上げている。



 私と隊長は、それを笑いながら、

 赤髪の幼い少女から伝授された『 ガッツポーズ 』をした後、熱い握手を交わした。


 予想通りだが、歓喜の雄叫びを繰り返し、踊り狂う面白いアブーと、

 妻そっくりの『 ジト目 』で固まる娘。


 泣きじゃくり始める、幼少時の私そっくりな息子の姿。



( 我が愛しい子供たちよ w さてと...... まずは上々だ! )



「 よくここまで、亡き親友が残した古い文献を解読して精製してくれた! 」


「 バーン様!私の主人あるじと、我ら一族の祖先が力を貸してくれたのです!

お役に立ちそうで、何よりです! 」


 思わず、親友の笑顔を思い出し目頭が熱くなった所に、「 ぶつぶつ 」言いながら、アブーが歩いてくる。


「 理科の実験よりすごかったですぞよ w

ここに、火薬と鉄屑を入れれば大部隊とも戦えますな!ピーヒョロロ! 」


( 理科の実験? 聞いた事は無いが、後は想像できる!

それにしても、何なんだ? この娘は...... )


 目を合わし頷くと、生唾を飲み込む私と隊長がいた。。。

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