【 外伝 】第3話 希望への太陽の中で
皆さん、こんばんは。
このエピソードは、第16話への大人たちの視点での物語進行となっております。
大人たちは大人たちで、それぞれのドラマがありますので、楽しんでいただけたらうれしいです。
予約機能と、割り込み機能が併用できるように望みますwww
【 アブーの家のダイニング 】
夕方、【 ドン 】が到着すると、絶対に成功させないといけない、『 作戦会議 』が始まる。
「 【 ジャバロン!】わかっているな!
全ては、お前の熱意と誠意に掛かっているんだからな! 頼んだぞ! 」
「 わかってるよ......【 バーン 】...... 俺、頑張るよ...... 」
私の鼓舞に、自信無さ気に瞳をテーブルに落とす。最近の相棒はこんな感じばかりだ。。。
「 なんじゃ!なんじゃ!らしく無いと言うか、ダメな大将じゃの〜 www 」
「 言ってやるな、ドン!これは相棒が乗り越え無ければいけない試練なんだ! 」
そこに、義姉【 ミリア 】が帰ってくる。
「 【 アブー 】は妹の所へ預けてきたわ!
それでは、仲直り大作戦の最終チェックをするわよ!カッコウさん 。 」
私は麻袋から作戦材料を取り出しテーブルに置くと、相棒を見る。
「 ラハビア産の米と肉を引き立てる香辛料は、この通り入手した! レシピはこれだ! 我が相棒よ! 」
義姉が、( にっこり )とアブーのような笑顔で相棒の顔をのぞきこむ。
「 はい!私の愛する旦那様。
これで明日、朝からあの子が喜ぶ美味しそうなお肉を買ってきてくださいね! 」
30銀貨を握りしめると、立派な体躯を縮こませた相棒が震えながら声を出す。
「 ありがとう...... ミリア。ありがとう...... 相棒。俺、精一杯に頑張ってみるよ...... 」
「 当たり前じゃ wお前が頑張らんと、
王の勅命なんぞ果たせんからのぅ。
バーン!明日は、ワシも工房のアイツらの所に行けるんじゃろうな? 」
「 ああ、ドン!もちろんだ!ちびっ子探検隊も連れて行く。作戦通りだ! 」
後は相棒次第。作戦が失敗したら最悪この国は消滅する―――
―――次の日。やれる事はやって鍛冶屋から戻るが、心配で仕方がない。
西の空を悠然と統べる巨大な太陽と、そこから紫へと沈みゆく境界が、
世界の終わりを予感させるほど神々しい。
その圧倒的な真紅を前に、胸の底から湧き上がる脱ぐれぬ不安が、静かに形を成していく。
心を落ち着かせるため、父の形見のカップから漂う清涼な香りが立ち上がるハーブ茶を一口飲み、一日の無事を祈っている。
( 相棒よ。アハルの為、国の為、みんなの為に頑張ってくれよ! )
そして夕方、相棒の高らかな笑い声がアハルの砦にこだまする。
( ああっ!。。。本当に良かった。
良かったな!相棒。作戦は成功したようだな! ありがとうミリア。 )
【 更に次の日。日の出前の早朝 】
相棒は我々の躍進と青春の思い出が詰まった木剣『 ぼっけん丸 』をアブーに継がせたようだ。
イブシが私にさらに耳打ちする。
「 バーン様!敵の根城に潜伏している者たちから情報が入りました。
予定通り、戦力の完全な分散に成功しているようです!」
「 アレはどのくらい出来た? 」
「 突入させる隠密部隊50名に1つずつ、アブーが言っていた秘策品は10瓶お渡ししておきます。 」
「 ありがとうイブシ!頼んだぞ!お前たちの力が必要な戦いだ! 」
アブー風に言うと、「 時は来た! 」と言うやつだな w と昨日の作戦成功と、
希望の一筋の光に、つい顔がニヤけてしまう。
相棒の氣も一昨日の萎れたそれでは無い!いつもの奴だ。
「 相棒!わかっているだろうな!
備蓄金の無い我々は、少数精鋭で大盗賊【 ギョロ目のギャンリック 】を討たなければならない! 」
「 おう!わかってるぜ相棒!俺様が道を切り開らくぜぃ〜〜!www 」
ドンが昔、悪ガキだった頃を彷彿させるニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「 当たり前じゃ。そのために、ピエーとジブラは、病と重症だと噂を流布して、盗賊たちに襲撃され放題にさせていたんじゃからな !
頼んだぞ、ダメ大将 www 」
相棒が下唇を突き出し、ハの字眉になった後、氣を入れ直しそれを立ち上がらせる!
「 うるせいぞ、ドン! この通り、復活したぜ!ホトトギス! 」
しかし、相棒はその言葉を発した後、
キョロキョロと何かを探し始めたようだ。
というより仲直りしたばかりの愛娘を探しているのだろう。
ドンもやれやれまたか!と言った面持ちで " からかう " のを止めてあげている。
( 仕方あるまい。ようやくの昨日だ。
奴は娘と、もっと親密にさせてやるべきか! )
「 相棒よ!アブーならこの時間は東の城壁から朝日が昇るのを眺めて『 カッコウ 』の歌を唄っている頃だぞ!行ってこい! 」
しかし何故か私まで同行を誘われる w
ドンとイブシが軍備を進めるから行って来いと言ってくれた―――
―――東の空が、群青から薄紫へと融け出し、世界の輪郭がゆっくりと現れてくる時間だ。
肌を刺す夜気はまだ尖っているが、
遠くで最初の鳥の羽ばたきが、静寂の幕を静かに引き裂いてくる。
更に進むと、わずかな琥珀色の光が滲む城壁に、
アブーが足と両手を広げポーズをとっているw
「 おおっ!母なる太陽よ。なんて神々しい姿なんでしょ。ほととぎす! 」
「 ププっ w 」
そんなアブーの姿と、相棒が少し照れた顔で、申し訳無さそうにこちらを( チラッ )と見る。
「 そして愛しい水鳥さんたちよ!
カッコウ、結構、おはようさん♡
さあ、おまいたちもあたいに朝のあいさつをしておくれ! 」
( だっ w 駄目だ!この娘だけは www )
笑いを、堪えなければいけない時、
アブーは私の心の結界をいとも簡単に打ち破ってくる天才だ!
そして、こちらと自身の娘を見ながら赤い頭をポリポリと掻いている相棒の姿に、笑いが抑えられない!
「 わぁっはっはっはぁぁ〜〜www!」
肩と腹筋が激しく震えてしまう。
( く、く、苦しい w 止まらない! )
早朝の厳かな静寂のひとときを私の笑い声が壊してしまった。
相棒も釣られて笑い出す!
アブーが朝焼けの中、こちらをゆっくり振り向いた。
「 父よ!おはよう。ホーホケキョ!
バーンおじさん、今朝も元気でおはようさん。
さあ、みんなでカッコウさんの歌を唄いましょうぞ! 」
「 わぁっはっはっはぁぁ〜〜www!」
私は耐えられなくなり石畳に倒れ、笑いに悶え苦しむことになる。
「 お、おい wバーンが笑いが止まらない病になっちまったぞ! 」
「 すっw すっw すまん あい...... ぼぉうぅwww 」
......
しばらく私は相棒に病と揶揄される症状に襲われ介抱されていたが、
今はアブーのいる城壁に座り、入江の景色を3人で見ている。
相棒が胡座をかき、そこに " ちょこん " と座ったアブーが歌を唄い笑い合っている。
彼女が唄い終わると、ずっと優しい笑顔で微笑んで聞いていた相棒が口をひらく。
「 アブー、父さんちょっと遠征に行ってくるよ。
その間、母さんを守ってくれよな!
俺の小さな戦乙女! 」
「 わかったよ父。母はこの麗しの戦乙女アブーが絶対守るよ!安心して行ってきて! 」
黄金色の光を浴びて、水鳥たちが一斉に羽ばたいた。
眩しく立ち昇る太陽が、世界に鮮やかな色彩を吹き込んでいく。
その光に満ちた情景で、優しく微笑み合う親子が描かれた一枚の絵。
それは、神話の英雄王オルガルドと、
女神フレイの別れの一幕の一文を思い出させる......
眩いほどの輝きに目を細めた瞬間、
色々な思いが脳裏に流れ、胸の奥から涙が溢れて止まらなかった。
( 良かったな相棒!良かったなアハル。
まだまだお義父さまが描いた夢の世界は終わらない! )




