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第21話 笛子の音色

幼い頃 私には宝箱がありました。

そして宝には一つ一つ名前を付けて

とても 大事にしておりました。


今回のお話は 私の相棒として活躍した

彼女に登場してもらいました。

是非、楽しんでください。


 散々と降り注ぐ日差しに、

 少し汗ばむ、まだまだ暑い正午辺りのアハルの一本道。


 しかし時折、海からの穏やかな風が心地良い。


 2人きりのデートだったら、最高の気分だったであろう。


 この旅の主人公の私を差し置いて、

 お師匠の左右に貼り付き、

 喜び飛び跳ね、話しかける女番長組。


 本来であれば、素敵な情景の一枚の絵にも関わらず、

 少しドス黒いオーラを巻き上げながら、

 そんな姿の2人をうらやむ5歳児。

 

 楽しげな3人とは裏腹に、

 後ろから『 妬みビーム 』全開だ!


 私は、愛のプレゼントだったはずの、

 贈答品になり下がった、

 かわいい貝殻の笛を吹き、あやつらを邪魔する所存!www



「 ピーィィィィィィィィィィィ!!!」


 ナイフのようなソプラノ音が、天を突き、空間を切り裂いた!

 

( 私が、びっくりしたじゃないか!www )


 お師匠が身構え、女番長組は驚き跳ね上がる。


( ぬっふっふw見たか!聞いたか!後ろの私と、我が相棒となった笛子の音色を!www )


 しかし...... 3人組は、なかったことのように、再びイチャイチャ話し出す......


 そして、そんな私の複雑な気持ちなんか、 

 知るよしもない、長閑のどかな職人集落が見えてくる。


 最近では、すっかりお馴染みの、

 「 キン、グォ〜、キン」と、鼓膜を震わせる高い金属音と地響きのような吹子ふいごの音。



 敷地に入ると休憩室から、

 【 ライハーン 】と、【 愛しのデミル君 】が、こちらに気づき出てきた。


「 おう!何のようだお前ら?

ジャバロンの所のチビがいるじゃねーか? www 」


 腕組みをしながら、お師匠の身なりを上から下まで観察すると、

 私の方を見て大男は大樽を叩いたような声で吠えた。


 「 それにしても、チビっこいな〜お前は!」

と、ニヤニヤしながら、食事がどうのと、

 父のような言葉を、まくし立てる。


 デミルは、丸太のような腕を組み、

 ( ギョロリ )とこちらを見ながらうなずく。



 私が挨拶をすると、お師匠は肩幅に足を広げ、アハルの敬礼をする。


「 赤獅子の名の元に!」


ライハーンが、間髪入れずに笑い出す。


「 がっはっは〜 www

それか!ドンが言ってた新しい敬礼ってやつは!

俺らは、もう一般人なんだ。

そんな挨拶なんて必要ねぇ〜ぜ www 」


 しかし、デミルはそんなお師匠を見ると、真似して敬礼をしている ......


 一同はリアクションに困り顔。


 あまりにも似合わず、逆にかわいい www


 シェリ姉が父親の名前に反応し話し出すと、

 ライハーンもあの時の赤子かと、

 大喜びで彼女を我が子のように抱き上げる。


 デミルも動く石像ではない。


 腕を組んでいるが、その表情は優しく彼女を見ていた。



 一通り挨拶が終わると、再びお師匠が話し出す。

 

 「 ライハーン様、デミル様、お元気そうで何よりでございます。

 先日、ドン様から数々の武勇伝を、

 拝聴いたしました。

 感動と共に、改めて赤獅子ジャバロン様に深い忠誠心が湧き立ちました。

 そして、なにより...... 」


 みんなは思う......

( 話、長げ〜〜な、こいつ...... www )



 私がアハルの書庫から水車システムの文献を持ってきたと切り出すと、

 「 どれどれ?」とゴツい2人の男が、それを見だす。


 川を見ながら話したほうが早いだろうと全員で向かい、

 女番長組は、鍛冶屋の音がうるさいと、上流のほうに歩いて行く。


 お師匠は、「 あまり遠くに行くなよ」と釘を刺すも、

 2人は軽い相槌あいずちを打つと、楽しげに去っていった。



 ゴツい2人に、知らないふりをして確信部分の質問をぶつけてみる。


 すると、ライハーンがお子ちゃまは、

関係ないだろと鼻を鳴らすも、

 必殺美少女ポーズで聞き直してみた。



 金髪の長く垂らしたひげを、太い木の棒のような指で整えながら、

 「 仕方ねぇなぁ〜 w 」と、言わんばかりの顔で語りだす。


 この設計を形にするなら、

 水桶、水車の主軸、歯車などのパーツは、青銅製がいいだろうと話を進める大男。


 デミルが、こちらをギロりと見下ろすと、  

 丸太のような太腕を持ち上げ、馬鹿でかい親指を立てる!


「 おう!」


 こ、これは......おそらくだが、

 「 俺に任しておけ」のポーズであろう w


 私が、つかさずベルト部分の素材や、その耐久性について、お子ちゃま風に聞いてみる。



 金髪の大男は、丸太のような太い腕を

組むと、空を見上げしばし考えていた ......


 そして、私を見下ろし大樽を叩いたような声で吠える。


「 お前ら、金持ってんのか? www

最近、支払いが滞っているんだがよぅ? 」


( 我々の、父さんたちは、金欠中 www )


 私が ( もじもじ ) と返答に困っているふりをしてみる。


 すると大男は「 お子ちゃまに言っても、しょうがないか!」 と話を続けた。


「 木工職人に、この子供が描いたような、水車の図面は渡しておく!」


「 それから、麻縄職人に丈夫で長持ちする方法だけ聞いといてやるよ! 」


( ぐぬぬ w 何日かけたと思ってんだ!www )



 しかし、そんな思いは隠して、

 満面の ( にっこり ) 笑顔で大男を見上げてあげる私。


 ライハーンは、私の笑顔に満足そうに、( ニカッ )と、似合わぬ笑顔で再び吠える。


「 バーンに金をたんまり用意しとけって

言っといてくれや www 」



 そこに、鍛冶屋の若い衆が、なかなか来ない親方たちに声をかけてきた。


「 おう!今、行くぜぃ〜 www 」


 ライハーンが吠えると、デミルが工房に向かい出す。


 その時!?




「 ピーィィィィィィィィィィィ!!!」


 我が相棒である、笛子の兄弟の叫び声が、空間を切り裂き、天に立ち上がる!



 お師匠は、( ぬらり ) と、左の剣だけ抜くと叫ぶ。


「 おのれ!アハルの子供たちには、指一本触れさせないぞ! 」


 ライハーンは思う。


( いやいや、まだ敵なのか、どうかも、

わからないんじゃねぇ〜の? www )


 お師匠は、ライハーンに私を頼むと言うと、光の如く上流へと走って行く。


 私は、金髪の大男の、怒号の制止も聞かず、英雄のあとを追い始める!



「 ヌワァッハッハッハー!www

待ってろよ!小娘ども!

この戦乙女アブー様が、行くまでな www 」


 高らかに笑いながら走っていく5歳児を、

 目を点にして、制止のポーズで固まる金髪の大男の姿 ......



 鍛冶屋の工房だけが、( モクモク ) と煙を上げ続けていたと言う......


改稿日、R8.4/2 4:21


行雲 日千羽

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