第15話 阿吽のパートナー
皆さんは【 阿吽の呼吸 】なんて聞くと、
何を思い出しますか?
私は当時、小さいお店を切り盛りしていた
自身の両親の【阿吽の連携】を思い出し、
描きました。
楽しんでいただけたらうれしいです。
( しもた、つい声に出してしまった www )
デミルの微かな笑みが消え、
そしてとあるゲームの動く石像の様な無表情かつ一文字に結んだ分厚い唇。
少し頬は赤らんでいるが、
こちらを( ギョロり )と見てくる。
「 おう!」
100点の意味がわかっているのか? w
相槌を打ってきた。
これが私とデミルの初めての会話となる。
しかし、この後、沈黙が流れる......
とても、気まずい w
( コラコラコラ w 愛しのデミル君?
コップを集めて、洗おうとしないで、
優しい笑顔であたいに話掛けておくれ!w )
他の大人達もこちらを見ている。
『 アホの子だから仕方ないビーム』の様な視線が実に痛い www
そんな私の『 テレパシー 』もデミルには伝わらず、黙々と私から背を向けて、カップを洗い出す始末。
水瓶から水を汲み、「 ガシャガシャ 」と洗っている。
どうやら、私と彼との阿吽の呼吸には、かなりの距離があるようだ。。。
沈黙の中、外からは相方と弟が楽しげに遊ぶ声と、
ドン爺が笑いながら子供たちと戯れる声が軽やかに響き渡る。
私からは見えないが、夏の少し和らぐ日差しの中、
こちらとは違い、祖父と孫たちが遊んでいるような、
そんな心温まる光景が広がっているのだろう......
( 私も遊びたかった...... )
2人ともハニーミルクを飲むと
外に飛び出して行ってしまう......
探検隊隊長である、この私を置いてだ......
( それにしてもドン爺のやつ...... )
奴はたしか城主のはず......ww
しかし、後は頼んだとばかりに涼やかな顔をして、
相方たちをからかいに出て行く姿は、
実に彼らしい。
ちゃっかりしていて抜け目の無い男だ w
( うらやましい、私も早く、遊びたい、字余り )
私が軽くため息を吐くと、
ライハーンが偉そうに大きく咳払した。
口元の金髪のひげが、ミルクで白く汚れていて笑えるw
そして彼は、私が書いた古文書を「 バン! 」と、
テーブル中央に叩き付けるように置くと吠える。
「 よし!始めるぜい!www 」
何気に空気を察する能力が高い男で良かったと思う。
ライハーンは、進捗状況を語り出す。
浄化槽の壺や便器は近くの窯元に発注済みらしい。
だが、便器のS字の配管の図面を、
ライハーンが太い木の棒のような指で、
「 ゴツゴツ 」と叩き異論の声を上げる。
デミルも丸太の様な腕を組み、
深く頷く。
ここは悪魔の呪いと呪禁を封じ、
水の精霊の力を増幅させる構造と言う記述。
しかしこの構造で汚物が流れるのか?
と言う、ごく普通の疑問であろう。
これは、S字トラップと
サイフォン方式の事で匂いを水で封じ、
水の力で吸引力を上げる、
日本ではごく普通の構造の物。
その効果に間違いは無いのだが......
( 割と繊細な奴だな ww )
と、モヤモヤしながら聞いていたが、
バーンおじさんが、文献通りに作ってみようと提案してくれる。
後は、ライハーンが、
浄化槽の好気性分解のエアレーションには、
鍛冶屋の吹子を応用したいと言う。
そして、ここはこうやりたい、あーしたいと、
頼もしい限りの構想を語ってくれている。
出来る男だ......
ライハーンが配管の話をしだすと、
デミルが懐から「 ゴソゴソ 」と青銅製の配管のサンプルを出す。
なんだか、司会のライハーンと、
助手のデミル君みたいな感じで、とても息が合う2人。
さすが鍛冶屋と鋳物師を若い頃から、
コンビでやっているだけはある。
ライハーンの長い配管の継ぎ手パーツの提案も完璧。
相方たちと、こんな『 阿吽の呼吸 』で、連携して行きたい。
( まだまだ、お子ちゃまだけどね www )
私は更に思考を加速させる。
( あとは......砦だな......
地表からざっと20メートルある、
砦の貯水池まで、
川から簡単に水揚げが出来れば
完璧だな...... )
と言うのも、ガチャポンプでは
おそらく砦の深い井戸から、
気圧の影響で水は汲み上げられない。
砦の井戸の鶴瓶での水汲みは、
大人でも重労働で時間がかかるもの。
これはお師匠たちのような、
若い兵士の交代制での任務でもある。
揚水が自動であれば、
その分、他の仕事ができるというものだ。
( 少し練ってみるか...... )
次にライハーンが腕組みをして、
少し困り顔で首を振り、
ガチャポンプの構造について語り出す。
すると、デミルが、節くれだった太い指で
掴んだ何かを「 ゴトり 」と長デーブルに置く。
「 ぬ?」
( おおっ!......こ、これは......多分だが、ポンプの内部ピストンだ w )
この短期間で試作品を作っている所がえらい。
おそらく、それを見る私の目はキラキラ輝いているのだろう。
ライハーンがこちらを見て「 まあな!」と、ばかりに自慢げに鼻を鳴らす。
ガチャポンプは下部の2つの球形の逆止弁と、
ピストン部の円形平板の弁の3つが大切。
製造した試作品と文献を見ながら、
ゴツい体躯の男たちがアゴに手を当てたり、
腕組みをしたりして悩んでいる。
我慢ができず、またも私はさらっと、
「 こうなんじゃ無い?」と口を滑らせ、
なんでお子ちゃまのお前が?と言う、一幕があった。
しかし何とかガチャポンプも製造できるのかもしれない......
ひとまず、打ち合わせが終わる。
ライハーンたちの仕事に期待するしかない―――
―――頭を働かしていたせいか、お腹が減った腹ペコだ www
アブ子の腹時計によると、だいたい3時ぐらいの砦への帰り道。
ジリジリ照りつけていた晩夏の日差しが穏やかになり、
山側からの涼やかな風が気持ちいい。
海面をたくさんの魚が元気に飛び跳ね、
水鳥たちが入江へ帰り支度を始めていた。
相方は相変わらず元気に走り回っている。
弟は電池の切れたお人形のように寝てしまい、
優しい、少し困った顔のドン爺に、
おんぶされていて、とてもかわいい w
またも、お腹が「 ぐ〜〜〜 」と唸り声。
今日は我が宿敵ジャバズキッチンだろうか?
はたまた母の美味しい愛情たっぷり料理かな?
一応、バーンおじさんに、
また鍛冶屋の工房に来ていいか尋ねる。
おじさんは優しい笑みを浮かべ、
チラッと山の方を見た。
「 ふむ、そうだな......道中、人攫いが出るかもしれないから、
私か、お前たちの先生と一緒ならいいぞ!」
( そう......砦の大人たちや、漁師のおじいちゃんたちも言っていた......
アハルの西側の外れには盗賊が出るらしいのだ )
改稿日 R8.3/31 行雲 日千羽




