第14話 0点と100点満点
皆さんの好きな飲み物は何でしょうか?
リアルな話で、私は自身の母が作ってくれた、
この「 至高の飲み物 」が大好きでした。
そんな思い出を盛り込み、作品に描いてみました。
楽しんでいただけたらうれしいです。
夏の日差しが強い午後の太陽が、
容赦なくギラギラと照り付ける。
焚き火を背にしているような暑さを感じる、私の後頭部......
髪の毛一本一本が熱を吸い込み、頭皮が「 チリチリ 」焼けるような、焦げ臭さが鼻を突く。
「 あ、暑い...... 」
念のために会話を聞いてなくてはいけない、
こちらの立場もわかって欲しい。
自由に駆けっこをしている相方たちが羨ましく思う。
するとそんな私に気付いたライハーンが、
控え室でお茶を飲みながら話す事を提案してくれた。
( デカい図体にしては、やるじゃないか!)
ふと、見上げれば、「 モクモク 」と、
立ち昇る黒煙が夏空を濁らせていた。
工房からは「 キン、グォ〜、キン 」と、鼓膜を震わせる高い金属音と、
地響きのような吹子のうなりが間近に聞こえてくる。
その中では、自身の息子や弟子たちが、
文字通り火花を散らして働いているそうだ。
この炎天下。
さらに灼熱の作業場で、鉄をねじ伏せ、
汗を滴らせる男たちに静かな敬意を抱かずにはいられない。
「 おまいらの、おかげで地球は、回ってる 」アブを
何を言っていると、バカデカい男たちに大笑いされ、
相方たちにもバカにされつつ敷地へ進む。
工房のその横の小さな土壁の小屋にライハーン、デミル、ドン爺の順にゾロゾロ入っていく。
( おいおい w、あ、暑いじゃないか!しかも狭い...... )
およそ、3畳ぐらいの茶飲みスペースに、
2mの大男ライハーンと、横幅だけは負けていないデミルが座るだけで丁度良い空間。
そこに、さらに大人2人に、ちびっ子探検隊が3人......
どう考えてもキャパオーバー。
無言でデミルが、持ち込んだ炭火鉢に鍋を置き温め始める。
( さらに暑くなるじゃないか!w )
そんな虚ろな顔をしている私の心のつぶやきが聞こえたのか?
こちらをチラッと見たライハーンが、
『 特製の牛の乳と、蜂蜜のハニーミルク 』を
ご馳走すると説明をする。
( ほう...... )
ミルクなど乳製品は、最近の私が着目している食材。
それは、ズバリ『 育乳 』にある!
やはり女性に生まれたからには、
『 大きいおっぱい 』の方がいい!www
効率的に育乳をするには、
良質なタンパク質を幼い頃から摂った方が良いだろう。
なんとなくだが、これは
私の『 魂のメインテーマ 』のような気がするwww
親たちからのクエストを日々こなし、
更には串焼肉と言う最大級のクエストをクリアした我々。
幼く少額ながらも、この世の経済を回す一員だ。
そんな中、相方はおねしょをするくせに、
新しい色付きの服やアクセサリーなど、
おしゃれな女の子グッズを揃え始め、
買う度に私に自慢顔。
正直、嫉妬心もある www
しかし自身に言い聞かせた!
所詮、飾りは飾りでしか無い!
派手に着飾るより、中身が大事だ!
そんな観点から、あまり気にしていなかった自身の食生活を分析してみる。
やはり、圧倒的にタンパク質の摂取量が足りないと気付かされた......
ササミ肉とプロテインを毎日のように摂取しては、厳しい反復トレーニング。
そして、特化した肉体を維持していた、
前世の選手時代の日々を、ふと思いだす。
さらに、現世での自分の体を改めて見る。
この ( フツフツ )と湧き上がる感情が他責思考と言うものなのだろうか? ww
「 ゴウゴウ 」とドス黒い負の感情が燃え上がる。
そのきっかけは...... 思い出すも悔しい......
その日、こともあろうに父が何気ない顔で、
私に向かって「 アブーは骨と筋だな w 」だと言い放つ......
私は木製のスプーンを落とし震えた。
ナワナワと震え、父に返す。
「 ち、父!そんな父さんは、0点だよ!」
その日を境に私は父《敵》の弱点とも言える、
最終兵器でもある母を味方に加え、
通常のアットホームな食卓を一変させた。
母が肩を小刻みに揺らしてクスクス笑い、
父が眉毛をハの字にして頭をポリポリと掻き、
下唇を突き出し完全な困り顔。
( 今更そんな、かわいい顔しても無駄だ!)
国からの使者が来るときに、時折見せる紳士的な態度で、
謝罪すれば一発で済むものの、
身内で、娘だからと舐め腐ったあの態度。
( 許せない!!! )
またも、怒りがこみ上げてくる。
そう!私は、反ジャバロン軍を指揮している赤髪の戦乙女アブー!
オスマトルの赤獅子と恐れられた、
父《敵》を討ち倒し伝説になる5歳児である www
おっと......取り乱してしまったようだ―――
―――現場に話を戻す。
しかし、未だにのんびり昔話をまだしていた。
その中央でデミルが、でかい図体して無言でテキパキ動いていて可愛い。
ただでさえ、夏で暑い部屋が蒸し風呂のようで、
前世での日本のお笑い番組の我慢大会のようだ。
壁側の左奥から、偉そうに腕組みしているライハーンと、
中央が、お茶の用意をするデミルと、
右側が狭そうに困った顔のドン爺。
みんな肩をつぼめている姿がおもしろ可愛い。
ここでデミルがハニーミルクを、みんなに振る舞う。
黄金色に滴る蜂蜜を、人数分の木製のコップに垂らしていく。
食いしん坊の弟が椅子の上に立ち、
身を乗り出し、
気持ちではもうすでにハチミツを堪能しているようだwww
小さな母である相方に怒られ、椅子に座り直す弟。
鍋から木製のコップに入れる瞬間......
芳醇で濃厚なヤギの乳の香りが、ふんわりと部屋に充満。
相方や弟が生唾を飲み込みデミルの動きを凝視している姿が笑える。
大人たちも会話を止めて注目。
破壊力のある香りが漂ってくる。
配られたハニーミルクの鼻腔を抜ける
豊かな香りを楽しみ、 1口飲む。
「 こ、これは......!?」
急いでもう1口運ぶ。
( す、すごい...... )
乳の濃厚な味わいと、蜂蜜のとろける芳醇な味わいが、
完全なマリアージュ。
優しく、私を包み込む......
周囲も、それを堪能し余韻に浸っているようだ......
深い吐息が聞こえてくる。
「 素晴らしい 乳とハチミツ 至高かな 」
大人たちからは何を言ってると、
朗らかな落ち着きある優雅な笑い声。
相方と弟は私の華麗な詩を一切気にせず、
この至高の逸品を無言で堪能してやがる w
しかもこの時、表情に乏しいデミルが、
初めて満足そうな顔を見せ、
我々ちびっ子探検隊を見ているのを、
私は見逃さなかった。
「 やるじゃないか!デミル君!100点満点おめでとう!」
少し文章を足しただけで、2500文字言っちゃったので、覚えたての『ルビ』使ってたぐらいでしたw
改稿日 R8.3/30 03:33 行雲 日千羽




