第13話 鍛冶屋と鋳物師
父と絶賛喧嘩中の私ことアブーは、
叔父のバーンおじさんと、汚いお髭のドン爺、
相方とその弟と、のんびりまったりお散歩中。
違う!社会科見学だったw
ドン爺の友達と鍛冶屋と鋳物師( いもじ)がいる
工房に向かう一本道。
どんな出会いがあるのだろう?
のんびり見て頂けると嬉しいです。
我々はアハル砦の西南に広がる、
どこまでも穏やかな海岸線を抜けていく。
民家の日陰では、猫の親子が同じポーズでお昼寝中。
弟が近づくも相方に止められ半べそだ
w
ドン爺がそんな弟を見て「 ゲラゲラ 」と笑っている。
猫は今回の疫病は関係ないが、
東の新町にも増やそうとバーンおじさんに提案してある。
( しかし、こんな日もありだなと思う。
絶賛親子喧嘩中の私にとっては、息抜きするには丁度良い...... )
ふと見上げると空には、いまだ衰えを知らぬ晩夏の日差しがギラついている。
だが、時折吹き抜ける海からの風が、
鼻をくすぐる涼やかな潮の香りを運び、肌をそっと撫で、次の季節を感じさせていた。
大型の水鳥が「 グォォ〜、グォォ〜 」と歓喜の声をあげ、
群れている魚が「 バシャン、バシャン 」と飛び跳ね波がキラキラと美しい。
相方と弟も喜び飛び跳ね、
そんな子供たちを見て、ドン爺も楽しそうに笑い、
バーンおじさんが優しく微笑んでいる。
民家の途絶えた一本道に、
潮騒の音だけが追いすがっていた。
草むらからは、キツネみたいな子が、
顔を出して弟と鉢合わせ。
泣き出す弟と自慢の汚いアゴ髭を撫でながら、
ここぞとばかりに、またもからかうドン爺。
その横で微笑みと困った顔が、混ざった変な顔のバーンおじさん w
ドン爺のそれは、人類が誕生したときからDNAに刻み込んできた、
群れとしてのヒエラルキーを維持するための生存本能なのかもしれない。
しかし、少し諭してもいいかなと私は思った......
「 泣く子供、笑うドン爺、未だガキ 」
ドン爺は、少し驚いた顔をして振り返る。
「 おっとっと、やり過ぎてしまいましたかな?
昔からガキのまんま。悪い所も変わっておらんな!すまんな、バーン!」
バーンおじさんはさわやかに笑っている。
「 な〜に、気にするな!ドン。
人の生まれついてからの本質と言うのは、基本は変わらないものだが、
気付いた時点で変わっているものさ!」
バーンおじさんは私がいる遠くの海を見て詠う。
「 侮らず、敬うこころ、ひとたらん 」
やっぱり、この人は頭が良い......
やがて、ゆったりと海へ注ぐ大きな川が見えてくる。
「 そろそろかのう? 」
ドン爺の囁きが、風に乗って聞こえてきた。
視線の先、河口の湿った空気の中に、
もくもくと立ち上る灰色の煙。
バーンおじさんが足を止め振り返る。
乾いた柏手の音が「 パーン 」と小気味よく響き、
はしゃいでいた一行の注意を一瞬で引き寄せた。
「 ちびっ子探検隊!聞いてくれ。
ここはドンの友人の、
腕利きの鍛冶屋と鋳物師が構える工房だ 」
ドン爺が少し誇らしげな面持ちで、
アゴ髭を撫でて喜んでいる姿と、
質問したくて ( うずうず ) している相方たちが可愛らしいw
「 ほら、聞こえるだろう?この音が仕事の合図だ。
よく勉強するんだぞ!」
おじさんが指す方からは、
風に乗って「 キン、グォ〜、キン 」という高い金属音と、
地響きのような吹子の唸りが交互に聞こえてくる。
「 は〜い!」
その後、我々ちびっ子探検隊は、
おじさんに質問の礫を浴びせつつ、進んでいく。
なんでも、上流にジャバロン軍が保有する『 大きな鉱山 』があり、
物流面から、その河口のこの地にあらゆる職人たちを誘致しているのだという。
アハル砦まで道が整備されていたのも、それかと思った。
それでもざっと、まだ8軒ぐらいだ w
( ポツン、ポツン )と煙が立ち昇る建物があるだけの、
長閑な川沿いの風景が広がっている―――
―――建物付近に来ると2人の男。
「 おう!来やがったか!www
なんだよ、ガキンちょがいっぱい来やがったな! 」
こちらの、長髪の馬鹿でかい背丈は2mはある大男。
口髭も長い前世でのプロレスラーみたいな金髪の男は、
鍛冶屋の親方【 ライハーン 】
ずんぐりむっくりで、腕が太くて長く感じるイカつい体型の茶髪の男。
鋳物師で坩堝師の親方でもある【 デミル 】
父と同じ村の出身の元ライバル
で『 3バカコンビ 』と言われたガキ大将チームだとドン爺が言っていた。
父には最後は敵わなかったが、
化け物相手になかなか善戦したと、
彼《ドン爺》が懐かしそうに語っていたのを思い出す。
そのゴツい体躯を見れば一目瞭然だが、父たちと、各地を転戦したかつての仲間だという。
しかしバーンおじさんの勧めもあり、
以前していた職業に改めてジョブチェンジをして、この地で新たな生活を始めたもよう。
ドン爺たちが嬉しそうに肩を叩き再会を喜ぶ。
周囲に、埃っぽくも温かい懐かしい日だまりの匂いが鼻をくすぐる。
午後のギラついた太陽が柔らかな光に感じ、
再会した彼らの背中を優しく包んでいた。
「 お前ら……元気だったか? 」
絞り出すようなドン爺の声は湿った熱を帯びている。
見れば、深く刻まれた目尻のしわに涙が浮かぶ。
それを見た金髪の大男は「 泣くな!」と言わんばかりに、
腹の底から大樽を叩くような声で吠えた!
「 がっはっはっwww! 当たり前だぜぃ〜〜ドン!
俺たち三羽烏に病気なんてあるわけ無いぜぃ〜 www 」
( あれれ!いけね w 間違えた!
3バカじゃ無くて、三羽だったか www )
鼓膜を震わせる豪快な笑い声が、
再会の場に満ちていた重たい空気を一気に弾けさせる。
相方はその大きな声に口をへの字にして、
嫌な時の『 ジト目 』をして、顔をしかめ肩をすくめた。
同じ日に生まれた私にはわかる。
相方はこの手の声の大きいガサツなイメージの男が大嫌いだ www
傍らに立つ、ずんぐりむっくりのデミルが、
頷きながら短い重低音の言葉を放つ。
「 おう!」
ドン爺が呆れたように、しかし何処か懐かしそうに優しく目を細めた。
「 相変わらずじゃな w デミルは。
久しぶりの再開に、もうちょっと気の利いたことは言えんのか? 」
デミルは視線だけをドン爺に向け、
ひび割れた岩肌を思わせる無骨な声と、
一文字に結ばれた分厚い唇で、再び短く呟いた。
「 …… おう!」
刹那、弾けるような笑いの渦が巻き起こる。
「 あっはっはっはぁァァ〜!www 」
その場に居た全員の重なり合う笑い声が、空気を温かく震わせた。
デミルは決まりが悪そうに、
硬い毛質の頭を「 ガリガリ 」と掻き、
顔をほんのり赤く染め上げる。
( ぶっちゃけ、このデミルと言う男......
超かわいい www )
ここの前書きはそのまま採用にしておきますw
改稿日 R8.3/30 03:27 行雲 日千羽




