阿吽のパートナー
皆さんは【 阿吽の呼吸 】なんて聞くと、
何を思い出しますか?
私は当時、小さいお店を切り盛りしていた
自身の両親の【阿吽の連携】を思い出し、
描きました。
楽しんでいただけたらうれしいです。
( しもた、つい声に出してしまったwww )
デミルの微かな笑みが消え、
そしてとあるゲームの動く石像の様な無表情かつ一文字に結んだ分厚い唇。
少し頬は赤らんでいるが、
こちらをギョロりと見てくる。
「 おう!」
100点の意味がわかっているのか?w
相槌を打ってきた。
これが私とデミルの初めての会話となる。
しかし、この後、沈黙が流れる......
気まずいw
他の大人達もこちらを見ている。
『 アホの子だから仕方ないビーム』の様な視線が痛いww
外からは相方と弟が楽しげに遊ぶ声と、
ドン爺が笑いながら子供たちと戯れる声。
見えないが、夏の少し和らぐ日差しの中、
こちらとは違い、祖父と孫たちが遊んでいるような、
そんな心温まる光景が広がっているのだろう......
( 私も遊びたかった......)
2人ともハニーミルクを飲むと
外に飛び出して行ってしまう......
探検隊隊長である、この私を置いてだ......
( それにしてもドン爺......)
奴はたしか城主のはず......ww
しかし、後は頼んだとばかりに涼やかな顔をして、
相方たちをからかいに出て行く様は、
実に彼らしい。
ちゃっかりしていて抜け目の無い男だw
( うらやましい、私も早く、遊びたい、字余り)
私が軽くため息を吐くと、
ライハーンが偉そうに大きく咳払した。
口元の金髪のひげが、ミルクで白く汚れていて笑えるw
そして彼は、私が書いた古文書を「 バン」と、
テーブル中央に叩き付けるように置き言う。
「 よし!始めるぜい!w」
何気に空気を察する能力が高い男で良かったと思う。
進捗状況を語り出す。
浄化槽の壺や便器は近くの窯元に発注済みらしい。
だが、便器のS字の配管の図面を、
ライハーンが太い木の棒のような指で、
ゴツゴツと叩き異論の声を上げる。
デミルも丸太の様な腕を組み、
深く頷く。
ここは悪魔の呪いと呪禁を封じ、
水の精霊の力を増幅させる構造と言う記述。
しかしこの構造で汚物が流れるのか?
と言う、ごく普通の疑問であろう。
これは、S字トラップと
サイフォン方式の事で匂いを水で封じ、
水の力で吸引力を上げる、
日本ではごく普通の構造の物。
その効果に間違いは無いのだが......
( 割と繊細な奴だなw)
と、モヤモヤしながら聞いていたが、
バーンおじさんが、文献通りに作ってみようと提案。
後は、ライハーンが、
浄化槽の好気性分解のエアレーションには、
鍛冶屋の吹子を応用したいと言う。
そして、ここはこうやりたい、
あーしたいと、
頼もしい限りの構想を語ってくれている。
出来る男だ......
ライハーンが配管の話をしだすと、
デミルが懐からゴソゴソと
青銅製の配管のサンプルを出す。
なんだか、司会のライハーンと、
助手のデミル君みたいな感じで、
とても息が合う2人。
さすが鍛冶屋と鋳物師を若い頃から、
コンビでやっているだけはある。
ライハーンの長い配管の継ぎ手パーツの
提案も完璧。
相方たちと、こんな『 阿吽の呼吸 』で、
連携して行きたい。
( まだまだ、お子ちゃまだけどねwww)
私は更に思考を加速させる。
( あとは......砦だな......
地表からざっと20メートルある、
砦の貯水池まで、
川から簡単に水揚げが出来れば
完璧だな......)
と言うのも、ガチャポンプでは
おそらく砦の深い井戸から、
気圧の影響で水は汲み上げられない。
砦の井戸の鶴瓶での水汲みは、
大人でも重労働で時間がかかるもの。
これはお師匠たちのような、
若い兵士の交代制での任務でもある。
揚水が自動であれば、
その分、他の仕事ができるというものだ。
( 少し練ってみるか......)
次にライハーンが腕組みをして、
少し困り顔で首を振り、
ガチャポンプの構造について語り出す。
すると、デミルが、節くれだった太い指で
掴んだ何かを「 ゴトり」と長デーブルに置く。
「 ぬ?」
( おおっ!......こ、これは......多分だが、
ポンプの内部ピストンだw)
この短期間で試作品を作っている所がえらい。
おそらく、それを見る私の目はキラキラ
輝いているのだろう。
ライハーンがこちらを見て「まあな!と、
ばかりに、自慢げに鼻を鳴らす。
ガチャポンプは、
下部の2つの球形の逆止弁と、
ピストン部の円形平板の弁の3つが大切。
製造した試作品と文献を見ながら、
ゴツい体躯の男たちがアゴに手を当てたり、
腕組みをしたりして悩んでいる。
我慢ができず、またも私はさらっと、
「 こうなんじゃ無い?」と
口を滑らせ、なんでお子ちゃまのお前が?
と言う、一幕があった。
しかし何とかガチャポンプも製造できるのかもしれない......
ひとまず、打ち合わせが終わる。
ライハーンたちの仕事に期待するしかない―――
頭を働かしていたせいか、
お腹が減った腹ペコだ www
アブ子の腹時計によると、だいたい3時
ぐらいの砦への帰り道。
ジリジリ照りつけていた晩夏の日差しが、
穏やかになり、
山側からの涼やかな風が気持ちいい。
海面をたくさんの魚が元気に飛び跳ね、
水鳥たちが入江へ帰り支度を始めていた。
相方は相変わらず元気に走り回っている。
弟は電池の切れたお人形のように寝てしまい、
優しい、少し困った顔のドン爺に、
おんぶされていて、かわいいw
またも、お腹が「 ぐ〜〜〜」と唸り声。
今日は我が宿敵ジャバズキッチンだろうか?
はたまた母の美味しい愛情たっぷり料理かな?
一応、バーンおじさんに、
また鍛冶屋の工房に来ていいか尋ねる。
おじさんは優しい笑みを浮かべ、
チラッと山の方を見た。
「 ふむ、そうだな......道中、人攫いが出る
かもしれないから、
私か、お前たちの先生と一緒ならいいぞ!」
( そう......砦の大人たちや、
漁師のおじいちゃんたちも言っていた......
アハルの西側の外れには盗賊が出るらしいのだ。)




