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エバーレコードパーツ ピークアブー編 エバレコ  作者: 行雲 日千羽
種子と胎動への詩 〜戦狼の置き土産〜
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【 外伝 】第1話 バーンの回想録〜千手の戦狼〜

このたびピークアブー編の外伝を本編中に投稿していきます。

本編の第2話以前から、第10話くらいまでを網羅する形になっております。


これはカクヨムにて、皆さんのご意見、反応を見ながら改稿したもので、楽しんでいただけたら嬉しく思います♡

 我々が心血を注いだ【 アハル 】の町には、立ち込める深い暗雲の影が広がる予兆を見せていた。


 父が生前に、いつも言っていたのを思い出す。


「 悪魔の呪い(えきびょう)の初動を見逃すな!甘く見るな!対応を見誤るな! 」


 この病は父が語っていた、世界の首都に蔓延《まんえん》していた噂の『 悪魔王ワグナスの息吹 』に類似している。


 相棒の不安と焦り、そして『 恐怖の根源 』の腐霧で人々を蝕み尽くす伝説は、確実に私の心にも暗い陰を落としていた。



 羊皮紙の鼻につく獣の匂いと、

 古びたインクの混じった重苦しい空気が嫌いだと公言する相棒が、

 書庫にまで、やってくるなんて珍しい......



「 おい、【 バーン 】。王都からの対策とやらは、まだなのか?

何か準備が必要なものは、あるか?

やれる事は何でもやる。言ってくれ。 」


 いつも明るい笑顔を絶やさない相棒が、珍しく肩を窄《つぼ》ませ、瞳を床に落として聞いてくる。


 熱鋼の燃える意志を持つ国一番の猛将とは、誰も思わないだろう。


 こんな顔は、結婚して早くも幸せを授かったばかりだった『 あの事件 』以来だ.....



( 砦の備蓄金は底を尽きかけている...... )



 正直、アハルへの拠点移動が早過ぎたのかもしれない......



 2人とも沈黙してしまう。



( やれる事を早くしないと...... 答えはどこなんだ? )



( 効率的な手を早く打たなければ......

医者の父が生きていてくれれば...... )



 ......



( 住民たちが...... 義父の遺言が...... 私たちの夢が...... )



「 おい...... バーン。大丈夫か?無理させちまって...... 本当にすまねえ。 」



 ......



 子供たちの顔が浮かび、あの娘。。。



 !?......



「 そうだ、いかん!」



 相棒の子【 アブー 】のあの行為が、何故か脳裏に浮かぶ。

 

 私は、腹に力を入れ【 氣《き》】を張ると、

 暗い後ろ向きになった、弱い自分の心を抑えこむ。



 両頬を激しく「 ビシン!ビシン! 」と叩く。


 暗い書庫の静寂を破り、乾いた打音が室内に響き渡った。


 相棒が、更に不安そうな顔でこちらを覗きこむ。


 しかし私は、さらに肺の隅々まで空気を満たし、長くゆっくりと吐き、自身を整える。


( そうだ!そうだった。相棒の窮地を支えるのが、私の役目のはず。いつも、どんな時も。)



 私は、今出来る精一杯の笑顔を相棒に向ける。


「 この机の文献を精査し始めていた。

妻や、【 ミリア 】にも手伝ってもらっている。もうちょっと待ってくれ!」



 暗い顔を、更に歪ませ沈み込む【 赤獅子 】と呼ばれる英雄で、我が相棒。


「 すまねえ...... バーン。【 シャルーク 】の親父さんとケンカばかりしてないで、

ちゃんと指導を聞いてりゃ...... 」



 私は当時を、思い出し鼻を優しく鳴らした。無理もない。


「 義父とはいえ、孫娘に神の名を名付けてしまうのは、流石に私もどうかと思っていたぞ。

こちらは任せてくれ!相棒。活路は必ず見出す! 」


「 そんな顔を、ミリアやアブーに見せるなよ!相棒よ。」


「 お、おう...... ありがとう俺の相棒。 」



 少しは焦る気持ちが和らいでくれただろうか?


 相棒が申し訳なさそうに去ると共に、

 あの偉大な漢(シャルーク様)との日々が脳裏を駆け巡る―――




 ―――義父との激しい戦いを思いだす。


 相棒と私の義父は【 千手の戦狼 】と呼ばれ、当時は最強の敵だった。


 我々、王下親衛部隊以外が、揃い踏みした、『 半島完全制覇戦線 』。



 『大将軍デギン 』率いる10万人の大軍を、わずか8千人で打ち破り、撤退させ、

 『 伝説の神狼 スレイプボルグ 』の化身と言われた小国の王。


 大将軍から直々の援軍要請に、同族への戦を望まぬ我が王は、渋々ながらも相棒と私に出陣を促す―――




 ―――火蓋を切った初戦に、手応えを感じ仲間からは歓喜の雄叫びが湧き立つも、

 あのまま撤退しなければ、確実に全滅していた。。。


 悲しみに大樽を叩くような怒号を上げる勇猛で鳴らす大男。低いゴツい体躯を窄ませ更に沈み、相変わらず無言の大隊長。


 蒼天、猛牛、鉄壁の二つ名を持つ勇者たちまでも......



( 正攻法では、絶対に戦狼には勝てない...... )



 落ち込んでる場合では無い!



 相棒が、爆炎の氣を巻き上げ渾身の鼓舞を響かせ、仲間の目に魂の炎が蘇る。



 相棒へ直ぐに次策を告げ、笑顔で険しい山脈へ赴いてくれた。



 軍次席の【 蒼天のピエー様 】の金切り声に近い甲高い声が、空間を切り裂く。


「 よく聞け!『 覚悟 』ある我が同胞!

必ずあのアホ...... いけね間違えたwww

赤獅子が、我らの道を切り開く!

絶対に『 戦狼の牙 』に耐え抜くぞ! 」



「 うおおぉォォおおぉォォ〜〜www 」



 この蒼天の『 痛恨のミス 』は、あたかも相棒が先陣に立っているかの如くの錯覚を仲間たちに与え『 会心の反撃 』を見せる事になる。



 しかし、相手は半島最強の戦狼。


 厳しく、辛い戦況に何度心が折れそうになっただろう。


 一か八かの奇策も、当時は謎の失敗に終わった。


( 相棒が、まさか真の初恋の馴れ初めを体験して、舞い戻って来たとは......

あの時点では、誰も思うまいwww )


なろうの場合、割り込み投稿しなくちゃいけないんですね。Σ(・□・;)

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