好敵手?
「触ればわかるのなら迷路でよく聞く右手の法則を使えばいいのでは?」
「それだと時間がかかるから『破壊者』に片っ端から破壊してもらえば」
「それでも時間かかるでしょ。遠藤さん次階層の階段の場所見えないんですか?」
「ここに着いてから隠されてしまいました。」
この状況に攻略の糸口を見いだせずに話し込んでいると今まで黙っていたDr.ヘーゲルシュタインが口を開いた。
「ここまでほとんど曲がらずに来てるのにこの階段は本当に8階層につながる階段なの?」
そう言われて、全員で階段に振り向いてしまった。
田中さんが代表して階段に入るとすぐに戻ってきた。
「この階段、本当に次の階層につながってますよ」
あまりに無駄な議論と小ばかにしたようなやり方に頭に血が上った『破壊者』が周りの壁を破壊し始めたため、私たちは『破壊者』の攻撃に巻き込まれないように次の階層へ進むこととした。
10階層に到着すると、田中さんが一度進入していたからかモンスターが待ち構えていた。
ただ、他のモンスターと違い10階層にたどり着いてすぐに奇襲ができたのにも関わらず、こちらが構えるまで腕を組んで待ち構えていた。
見た目はライオンの頭にクマの前足、像の後ろ足といろいろな動物の一部がつぎはぎされていた。
「ここは私が」
遠藤さんは武器を田中さんに渡して、構えを取った。
構えるのを確認すると相手は体制を低くしてタックルを仕掛けてきた。
タックルに合わせて膝蹴りを入れた遠藤さんの足をすれすれでかわすと、軸足をすくい投げた。
本当であれば足を引き倒してマウントを取ろうとしていたようだが、遠藤さんが読んでおり膝蹴りを交わされた後よけようとした結果投げらるような形になっていた。
そのため、両手を合わせて敵の背中に一撃を当てようと振り下ろしたその腕が当たる前にその場から距離を取ることができた敵は構えを取り直してこちらを注意深く観察し始めた。
タックルにより一が入れ替わっており、私たちに対して背を向けているが、私たちは無視されておりこのことからも他のモンスターと違うことがわかる。
「え?何このモンスター」
私の声は無視され、次は遠藤さんから仕掛けた。
モンスターに対して円を描くように迫り、鎧を身に着けているのに壁を蹴り上げて三角飛びからのライダーキックを仕掛けた。
それに対し、モンスターは両足をつかむとそのまま振り回し壁に投げつけて、振り回した勢いを利用してローリングソバットにて攻撃した。
壁に投げられた遠藤さんは壁に足を付けて勢いを殺し、敵のローリングソバットによる攻撃を空中でそらしながらモンスターの顔に肘打ちを仕掛けたがぎりぎりで避けられてしまった。
頭突きをお互いにたたき合わせたり、拳を突き出しながら相手の付きだした拳をそらしたりと、見ているこっちが興奮してしまいそうな攻防が続いたが、遠藤さんが地面に足が着くとすぐに離れた。
だが、その場から動くことができたのは遠藤さんのみで、ローリングソバットの威力がありすぎたせいで片足が壁に埋まってしまったモンスターが動かない自分の足にびっくりした表情を一瞬したものの、すっきりした顔を遠藤さんに向けて、自分の首を前足で軽く打った。
何かを察したのか、遠藤さんがゆっくり近づき鎧に仕込まれているナイフを取り出すとモンスターの首を切り落とした。
「あ?そういう状況だ?」
映画で好敵手との戦いでも見ているような高揚感に私と田中さんは拍手を送ったが、モンスターを倒すくらいに降りてきた『破壊者』には何があったのかわからず混乱しているようであった。




