妖精のいたずら
時間があまりないため本当であればすぐにでも先に進みたいところであるが、『破壊者』が食べ終わた後眠ってしまった。置いていくことはこのダンジョンを攻略するためにはできない選択肢となっていた。
仕方がないので、『破壊者』が目覚めるまでの間、この階層で休むこととなった。
「安藤さん眷属って増やせないのですか?」
「増やせないこともないですが、今回使っているデッキだと呼べる眷属の大半が大きすぎて、この階層くらい広いのならともかく他の階層だと通路で詰まりかねないです」
ダンジョンでここまで苦労することを考えてなかったので、途中の移動や他と合流した後のことを考えており人型の眷属を多くは採用していなかった。
「それにしても『カード顕現』スキルの制約はよくわからないな」
「私も正確にはわかっていませんよ。TCGのルールに沿っているように見えて、デッキから直接抜き出しても問題無いのに、『GET THE WORLD』の『魔力』の概念は引き継ぐのに自分のターンや相手のターンの切り替えが無いからか『魔力』が回復することがないですからね。ほかにも『星屑戦線』の戦闘機類を呼び出すと戦闘が終わっても戻すことができなかったりと、わからないことだらけです」
「希少スキルならではですね、私のスキルも見えないところを見ることに適してはいますが、体内を見ることはできなかったり、女風呂の覗きもなぜかできないんですよね」
覗きの部分だけすごく残念そうな声になっていた。
「試したことがあるんですか?」
「『神罰の日』にいろいろあってね」
全力で目線をそらして、この話を話したがらないので『破壊者』が起きるまで雑談をして過ごすことにした。
この階層に到達してから2時間が経過したころにやっと『破壊者』は起きてきた。
「おし、そろそろ出発するぞ。なんだその目は?」
まったく悪びれる様子のない仕草に呆れながらも無視をしてさっさと次の階へと進むことにした。
9階層目の先頭も引き続き私が担うことになりブリキの騎士を先頭に進んで行く。
9階層目に降り立つと、7階層とは違い床に変化があるわけでもなく、その他の階層みたいにたどり着くとすぐに襲ってくるモンスターもいなかった。
「ただの通路のみ?」
「そうだといいんですが」
少し進んでもモンスターの影すら見えず6階層の時のように見えないモンスターの可能性も考えたのだが、それにしても襲ってこないことが不気味でしかなかった。
一向に現れることのないモンスターにイライラし始めたころ階段へたどり着いた。
遠藤さんのスキルを使いモンスターのいない通路をひたすら歩くことで階段にたどり着くことはけしておかしいことではないのだが、それが次の階層にたどり着く階段であればの話である。
このたどり着いた階段が先ほどこの階層にたどり着くために使用した階段だとわかると、自分のスキルに自信を持っていた遠藤さんが一番驚いていた。
「え?は?なぜ」
「この階層にいるモンスターは『妖精のいたずら』なんじゃないのか?それなら目をだまされてもおかしくはない」
「特殊型40種の『妖精のいたずら』だとすればそうか」
遠藤さんが納得しているようであるが、聞いたこっちは驚いてしまった。
「40種ってここまで戦って来た中で一番の強さってことですか?」
「そんなことないよ。特殊型は強さよりも厄介さが増すのが多い。今回の『妖精のいたずら』なんてその典型的で、幻覚を見せてくるために私のスキルとは相性が最悪ですが、単純な強さであれば攻撃されても赤ちゃんにつままれたくらいの強さの攻撃しかしてこないのでいいのですが」
「幻覚が厄介ということですか?」
「そうですね。触りさえすれば見破れますが、視覚だけでなく嗅覚や聴覚にも働きかける幻覚を見せてきますので厄介極まりない敵です」
相手のモンスターが分かったが、対処法がわからず頭を抱えてしまった。




