遠藤さんは魔法使い
「それでは私が先頭を進みます。『破壊者』は疲れているでしょ?最後尾をついてきてください」
「まだ全然よゆ」
「疲れてますよね」
「Y,Yes」
遠藤さんが、2階層に侵入するときに『破壊者』に対して先ほどの1階層での壁を壊しながら直線的に進んだことに対し、かなり感情を抑えていたのか、有無を言わさぬ態度で『破壊者』を黙らせていた。
「それでは、田中さんサポートお願いします」
「は、はい」
田中さんに対するときも圧が強く、いつもお茶らけている田中さんがひるんでいた。
そのまま2階層に潜ると、すぐに戦闘に入った。
2階層の相手は『翼を持つ槍』で、見た目は鷺に似ているが、遠くで羽ばたいたと思ったら亜音速で飛んでくるため肉眼では白い槍が飛んでくるようにしか見えないため、この名称になったとのこと。
遠藤さんの戦い方は魔法により無数の光弾を体の周りに浮かべ進む先にいる敵に対し、遠距離から光弾を確実に当てることで葬る戦法を使っており、『破壊者』とは真逆の静かな戦闘を行っていた。
そんな戦闘方法の遠藤さんとの相性がよく、『翼を持つ槍』がこちらを察知する前に倒していくため、光弾が遠藤さんの周りから移動したことに気を付けなければ、戦闘が行われていたことすら気づくことができなかった。
そのため、光弾が動いたことに気が付けなければ進んだ先に時折落ちている魔石でそこにモンスターがいたことが初めてわかるなんとも楽な階層となった。
この階層の魔石は田中さんが移動しながら回収して私の乗るソリへと乗せていたが、外での戦闘や1階層に関しては、『破壊者』の攻撃で吹き飛ばされるため、吹き飛ばされた魔石を回収するために時間を取られてしますと予定時間に間に合わなくなってしまうため捨て置いていた。
遠藤さんの導きにより、最適ルートを通ることにより2階層も10分ほどで突破することができた。
「次の3階層目は」
「はい、私に任せてください」
遠藤さんの会話を遮り田中さんが元気よく主張して、さっそうと3階層へと進もうとして、遠藤さんに襟首を捕まえられてしまい、つぶされたカエルのような声を出していた。
「戦闘は譲りますが、話は最後まで聞きましょうね」
田中さんを自分の後ろに持っていくと、遠藤さんは説明していく。
「このダンジョンは10日再生のダンジョンです。田中さんや、安藤さんの力が強いのは今までの功績やここに来るまでに一緒に戦闘したのでわかっていますが、『神罰の日』の混乱の影響でランクの高いダンジョンに入る機会を得る過去ができなかったのは仕方ないでしょう。ですが5日再生以上のダンジョンはそれまでと違い、出てくるモンスターの強さは出てくるダンジョンにより人が勝手に分けた指標でしかないため、それだけで戦うのは危険です」
遠藤さんが説明してくれている間、暇なのか『破壊者』が少し離れたところで『翼を持つ槍』を倒し始めた。
遠藤さんの声が聞こえなくなるほどではないが、先ほどと同じく響くため遠藤さんがイライラしてきており、言葉に棘が混じり始めている。
「情報もなく次の階に潜る場合は、細心の注意が必要となります。先ほど2階層に到達したときにすぐに戦闘になったように、先の見えない次階層への進入時ほど注意が必要です」
遠藤さんの話が進み程戦闘音が遠くなっていく。
「また先ほどの同じように次の階層に進入してすぐに戦闘になる可能性がありますので、軽い気持ちで進まないようにしてください。いつもなら問題なく戦える相手に、そんなしょうもない油断で負けるのは見たくないのです」
そう言うと、いきなり先ほど『翼を持つ槍』に使っていた光弾を放った。
いきなりのことで、私や田中さんは首をすくめたが、私たちに当たることはなく、光弾は元来た道を戻り始めた。
その少し後に、破壊音が連続してなり始め、最後に遠藤さんの立っていた真横の壁が破壊された。
遠藤さんは見えていたのか、すでに移動した後だった。
破壊された壁から、『破壊者』が肩を怒らせながら現れた。
「どういうことだ。なぜ攻撃してきた」
「あなた無線持ってないでしょ。大体人が話しているときに遊び始めるからじゃないですか」
「あそんでねぇよ。俺は間引いてたんだよ」
「それにしては、飛んできた『翼を持つ槍』を真正面から迎え撃ち、くちばしの先にこぶしを当てて倒すなんてことしていたのは遊びでしょう?」
「その程度は遊びのうちに入らねぇだろ」
そんな言い合いを始めてしまい、次の階層へ潜るのが遅れ、時間を無駄に消費することとなった。
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昨日は急な出張のため更新が滞りました。
すみません。




