環境汚染は怖い
船上では何事もなく、船旅3日目が過ぎようとしていた。
日が傾く前にイスタンブールの手前マルマラ海に侵入することはできたが、そこで足止めを食らうこととなった。
航路がふさがれているというわけではないが、いまだ奪還には時間がかかっており、このまま進みと陸地より攻撃を受けないとは言えないからである。
なぜかこのマルマラ海では海上でモンスターに襲われることがないということで、幻影龍を戻して通行ができるようになるまでのんびりと過ごすこととなった。
朝起きても状況は変わっておらず足止めを余儀なくされているため船は停泊しており、することがなくなった私たちは、泳ごうと甲板に集まった。
「もしかして、泳がれますか?」
「ええ、そのつもりですよ」
船を操舵してくれていた、フランス外人部隊の隊員が慌てて、飛び出してきた。
昨日までいた、地中海と違いこの海では、モンスターの被害が少ないと聞いていたのに、なぜか慌てて止めるように話しかけてきたことに疑問に思いながら返事を返した。
「泳がれるのはやめてください」
「なぜです?」
「この海で、モンスターの被害が少ないのか考えてもらえれわかりますが、この海ではモンスターが生息するのに向かない環境なのです」
確かにこの海は黒海より流れてくる塩分濃度の薄い海で、海底に近い部分は地中海から流れてくる塩分濃度が高いことはわかっているが、別段そこまでおかしなことはないと思っていた。
「このあたりに住んでいない日本の方にはあまりなじみないでしょうが、この海は、地形の関係で海洋汚染亜がほかの地域より色濃く表面化しており、一見きれいに見えますが地中海や黒海に幾度となく現れるモンスターが、この海域のみ現れていないことを考えると遊泳を進めることはできません」
「じゃあ、釣りもやめたほうがいいの?」
「そもそも釣れない可能性がありますが、やってもいいですよ。その代わり釣った魚はリリースしてください」
そう言い残すと、船内に戻っていった。
なかなかショッキングな話を聞いてしまい、モンスターに勝っていることに喜べばいいのか、ここまで汚染した人間に呆れればいいのか、わからない私たちは泳ぐ気にもなれず何もせず甲板で過ごすこととなった。
昼過ぎ、連絡が入りイスタンブール付近の奪還が成功したとの連絡が入った。
ただ、ダンジョンをクリアーしただけであり、まだ付近のモンスターをせん滅しておらず、注意しながら船を進めることとなった。
イスタンブールの焼けた街を抜けて、黒海に向けて進んでいると、突然陸地で破壊音が鳴り響いた。
その音は私たちの行く先で連続的に起こり、それは右に左にと連続して鳴り響いた。
最初の段階で、私が何かしたのかと疑われたが、黒海に侵入したときに幻影龍をもう一度召喚するためにその準備をしており全く覚えがなかったため、不気味ではあった。
ただ、行く先で起こる破壊音は一定距離が開いたまま立て続けに聞こえるだけでこちらに近づいてこないので、イスタンブールの奪還に赴いていた部隊だろうと結論付けてそのまま進むこととした。
最後の橋を越えたところで一度止まり、もう一度幻影龍を召喚し、大海原の祖も再度召喚が終わって動き出そうとしたときに、船が大きく跳ね上がった。
船の後方に何かが落ちてきたのか、船首が跳ね上がり危うく転覆しかけたが、幻影龍を召喚していたことが幸いしてか、船体の下に幻影龍を敷き詰めることで何とか転覆を免れた。
モンスターの襲撃かと、慌てて後方に向かうと先ほどまではいなかった大柄の男が豪快に笑いながら、遠藤さんに怒られているという意味の分からない光景が目に入ってきた。
マルマラ海で足止め食らうことは最初から予定していたので、この海で水着回をと思っていましたが、調べれば調べるほどこの海域の現状が、かなりやばい状況なんですね。
別に馬鹿したわけではないのですが、衝撃的過ぎて水着回が消え失せました。




