戦列の座
「よし、ここなら大丈夫だね」
『研究者』に無理やり連れてこられたのは弥富ダンジョンの2階層部分の一つである。
ここ弥富ダンジョンはL型の名前の通りボスに挑むためには1階層に無数に存在する階段の中から正確なボスの部屋にたどり着かなければならない珍しいダンジョンとなっている。
今回の場所はその一室で何もないいわゆるはずれ部屋で、何もないただ広い空間があるだけとなっている。
「さて邪魔もいなくなったし早速始めますか」
佐藤さんとの言い合いに興味がなくなったのかいきなり手を引かれてここまで連れてこられたわけだが、道中のモンスターは見えた時には塵に返っていたため『研究者』何をしたのかが全く分からなかった。
「まずはこれかな?多分ダメだろうけど」
そう言って取り出したのは『<』みたいなものが書かれた名刺サイズのカードを手渡された。
「これはどう使えばいいんですか?」
裏返してみても何も書かれていないカードに困惑していると、取り上げられて別のカードを差し出された。
「ルーンはダメか。こちらの物は顕現できないのかな?次はこれかな?」
次に手渡されたのは、幾何学模様で描かれた名刺サイズのアクリル板を手渡された。
「この模様はキレイですけど全く読めないんですが」
「これもダメか。これは私が書いた物語を1枚に収めたものだが、専用の解読プログラムに通さないと読み取れない使用なんだが・・・顕現というなら動くかもと思ってな」
その後も、いろいろなカード型のもので試してみたが、手に持っても何も感じることができなかった。
「よし、こちらのもので反応するものはないのかもしれないな」
「えっと、それじゃ私のスキルは使い道がないということですか?」
「違う違う、こちらのものではダメなだけで向こうの物なら使えるかもしれないからね。そこで次はこのカードを使ってみよう」
次に手渡されたのは、剣を持った戦士がアメコミみたいな絵に読めない文字らしきもので書かれた名刺サイズのカードを手渡された。
「これは『ビックベルQ型ダンジョン』で発見さてたカードで、現地では紙幣として扱われていたものなんだが何か感じないか」
「この文字初めて見たと思うんですが、読める気がする。ティラント?」
カードの文字を声に出して読んだ瞬間カードが吹き飛ばされるように手から離れ、地面に落ちた瞬間カードが落ちた地点に剣を掲げた戦士が現れた。
「私を呼んでいただき光栄です。私の名はティラント。王国軍第3連隊団長兼非公開組織王家監査役員を務めておりました。王国では隣国の進行の際前線にて勝利を収めまたことにより、戦列の座に加わることができました。読んでいただいた限り、精一杯務めさせていただきます」
剣を脇に置き片膝をついてまくしたてるように挨拶をしてきた。
相も変わらずぼーっとしてしまった私の代わりに興奮した『研究者』は話しかけて質問攻めにし始めた。
「質問なんだが、君は生きていた時の記憶があるのかい?」
「あるといえばありますし、ないといえばないです。戦列の座に加わった時点までの記憶はありますし、その後のいくつかの戦闘の記憶はあります。正直私もよくわかっていません。言い伝えでは戦列の座に加わることで後世に子孫を助けると、言われてきましたが、戦列の座に至った人間を誰が指名したのか座に加わった人間が誰なのかわからないこともあります」
「待ってくれ、その戦列の座は王国が決めて加えるものではないのか?」
「違います。戦列の座という書物があるのです。いつ作られたのかさえ不明な書物で、座に加わった人間が勝手に追加されるので、そこで初めて座に加わることができたと知れるのです」
戦列の座・・どこと戦争する気なんだろ?




