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104話

 


 肥前国陸奥守忠吉


 あまりにもあっさりと鉄格子を叩き切った。


「本当にすごいななずなは………本当にすごい」


 不思議そうな顔の薺から目をそらすようにして歩く。


「さあ行こう。こんな暗くてジメジメしたところ俺たちには似合わない」


 足元の切れた鉄格子の破片の一つを拾い上げた。


「物凄くすっぱりと切れてるな」


 断面を指で軽く触ってみると研ぎたての包丁みたいだった。


「これはこのまま武器になりそうだな」


「・・」


「槍とか」


 いとも簡単に薺に切られたとはいえ俺が殴ろうが蹴ろうがびくともしなかったんだ。特別な金属かもしれない。


「回収しておくか、あとで使えるかもしれない、薺の特殊スキルとかにな。これだけだと弱いかもしれないから他の素材と組み合わせればいいのが作れるんじゃないか?」



 〇●〇●〇●〇●〇●



 特殊スキル「夜思花やそうかの命」


 ◎命無き物質に仮初の命を与える。


 ◎生み出されたもののステータスは素材となる物質により変化する。なお、スキル使用者の特性も受け継がれる。


 ◎生み出されたものはスキル使用者に絶対服従である。



 〇●〇●〇●〇●〇●



「・・」


「まあとりあえずはここを脱出することが最優先だ。薺、俺たちはどっちから来た?」


 右の方向を指さした。


「よしそっちだな。ここを守ってる奴らが出てくるだろうから殺さない範囲で撃退していくぞ」


「・・・」


「もちろんいいに決まってる。これは自由への逃避行なんだ」


「・・・」


「そうだろうそうだろう、それじゃあいくぞ」


 薺は反対側を指さした。


「どういうことだ?あっちから来たんだろ、だったら出口はあっち側だ」


「・・・」


 なにかある?


「もしかしてお宝か?」


「・・・」


 違うと思う、か。


「今のところ看守とかはいないから近くまで行ってみるか」


 薺の案内に従って進む。


「オイお前!まさか出れたのか!?どうやってだ、いや、そんなことはどうでもいい。俺も出してくれ頼む、一生の頼みだ」


 さっきからやたら話しかけてくる謎の囚人が声を張り上げている。


「あと10年は出れそうにないから10年したら助けに来てやるよ」


「嘘つけ!聞こえるぞ足音が。待て!俺はとんでもない情報を知ってんだ、もし出してくれればお前にだけ教えてやる、だから待て!」


 無視。


「10年後に聞きに来るわ」


 あんなやつにかまっている暇はない。


 足元を注意深く確認してアイツを踏まないように歩くことだ重要だ。





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