103話 ー日本刀ー
殴っても蹴ってもびくともしなかった鉄格子がひしゃげた。おでこをさすったりぺちぺちしたりしてしてみる。
「頭突き……」
頭突きなんて攻撃方法は今まで考えたこともなかった。
思いきり殴ってみる。
変化がない。
頭突き。
少しひしゃげた。
「俺は頭突きが得意だったのか」
そうかそうか………。
「なんか違う」
格好悪い、気がする。漫画のキャラだったら最初のほうに出てきて主人公にやられそうなやつの技の気がする。
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ………………………
「うをおおおおおをおおおーーーーー!そんなんどうだっていい!壊せーーー!こっから出れればなんでもいいーーー!!」
ガンガン頭を打ち付けていく。
体が振動する感覚はかなりあるが痛みは無い。
どんどんひしゃげていく鉄格子。
けど壊れない。
ひしゃげていくだけだ。
ぽん。
肩に手のひら。
「・・・・」
私がやる?
斬れるのかこの鉄格子を?
「でも剣は没収されたんだろ?」
「・・・・」
特殊スキル?
「そうだ!」
なぜ考えつかなかったんだ。
俺には特殊スキルがあるじゃないか、勇者がいるじゃないか。
〇●〇●〇●〇●〇●
特殊スキル「黒渦 to Dive」
〇異空間との扉を開き、物を収納することが出来る。また、無人ショップで商品を購入することが出来る。
〇異空間内は時間が停止しているため、収納した時点と全く同じ状態で取り出される。命あるものは収納することが出来ない。
〇購入することが出来るものはスキル使用者が目にしたことがあるもの。実物だけではなく映像として見たものも含まれる。購入するために使うことが出来るのは魔石のみで、その中に封じられた魔力の強いものほど価値の高いものを購入することが出来る。売却で魔石を得る事はできない。
〇●〇●〇●〇●〇●
無人ショップの購入画面を呼び出す。
「日本刀」
音声認識を使って購入品の検索をすると画面にずらっと出てきた。
「無名、脇差、小太刀、刀、短刀、一文字………………」
全っ然わからん、いったいどれを買ったらいいんだ?
脇差って確か短い刀だったよな、小太刀も短そうな感じがする、短刀は絶対短い。何が違うんだ?
「値段で考えてみるか?」
表示が切り替わって10万ptが一番上に来ていてすうっとスクロールしていくと何千万とか、億越えのもある。
「薺、予算内でいい奴を選んでくれ」
もう任せるしかない。どうせ使うのは薺なんだから俺が考えてもしょうがない。しかし日本刀だけは確定だ。
武器といえば日本刀、勇者といえば日本刀。めちゃくちゃ格好いい。
俺は頭突きだけど。
「・・・」
脇差がいい?
「長いほうがよくないか?」
格好いいし。
「・・・・」
使いやすいと、そうかそういうもんか。確かに薺は体が大きくないからそっちの方がいいのかもしれない。
「脇差」
検索しなおしてみる。
「安い」
長さが短いからなのか最初に検索したのよりもぐっと値段が下がる。スクロールしていって最後にあるやつで300万ptくらいだ。
「保有ポイントが1192万pt。買える、余裕で買えるぞ!」
ついに憧れの日本刀が俺の手に。
「どれでも好きなのを選んでくれ」
画像があるが俺にはどれも同じに見える。
ぴと。
細い指がさしたもの。
「びぜんくにちくおうもりただよし………230万pt」
全っ然わからん。
これはこの刀の名前なのか?それとも作ったやつの名前なのか?というか漢字すぎて読み方すらわからない。
「これだな?」
「・・」
決定だ。
黒渦から一本の刀があらわれた。
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