102話 -無実-
ーーー テンスター国王都ベルサイユ 刑事施設(通称:牢獄)地下3階
「うをーーーー出せーーー!出してくれーーー!」
檻を掴んで叫ぶ男。
黒部 圭太。
「うるせえぞ静かにしろ新入り!!」
野太い声の恫喝。
「いやだーーーーー!!出せーーー!!出してくれーーー!!」
「もっとうるさくなりやがった!いい加減にしろ」
「ぎゃーーーー!ぎゅおーーー!びょーーーーー!」
「猿かてめぇは!せめて言語を喋れ!」
小さく咳こんで座り込んだ。
「俺は無実だ………」
暗くジメジメした空気。
床も鉄格子も粗末な寝具もすべてが湿っている。
陰鬱な気配。
遠くにありながらも確実に感じる人間の気配までもが暗く湿っている。
「薺大丈夫か?」
頭がおかしくなりそうな環境のなかで、ちんまりと座っている黒髪の少女に声を掛ける。
「・・」
「そうか」
俺たちはいつまでここに閉じ込められるんだ?わからない、早く出たいこんな所。俺がいるべきところじゃない。
出してくれ、一刻も早く出してくれ。
「お前もしかしてすぐに出られるなんて思ってんじゃねえだろうな?」
さっき俺に文句を言ってきた声。誰だかわからないが俺を馬鹿にしたような声だ。
「誰だお前」
「そんなことはどうだっていいんだよ。それよりお前、ここに入っちまったらどんなに短くてもまあ、最低10年は出れねえだろうな」
10年!?
「ふざけんなそんなわけあるか!」
「マジに決まってんだろ。だったらお前いつまでだって聞いたのかよ?」
聞いてない。
「・・・」
「しばらくだ、しばらくって言ってたんだぞ」
薺がそう聞いた。
「しばらくって言って10年も入れるわけないだろ」
「お前そんなの嘘に決まってんだろ」
「なんでそんな嘘つくんだよ!」
「当たり前だろ10年なんて言ったら暴れられて面倒だからな、しばらくって言って大人しくさせるんだよ。俺だってそういわれたぜ、ここにいる奴らもそうだ。全員そう言われてんだよ!」
10年?
ふざけんな冗談じゃない、誰がこんなところに10年も入れるか!
「嫌だーーー!出してくれーーー!うおーーーーー!」
「はーっはっはっははーーー!」
思いきり鉄格子を揺さぶるが全くびくともしない。
殴る蹴る揺さぶる殴る蹴る揺さぶる。
動かない。
なんだこの鉄格子、硬すぎる。
カサカサカサカサカサカサ………………
「ひょろおおおーーーーーーーい!」
床を疾走する黒い塊。
「まさか………」
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ………………………………
いる。
いたるところにあいつが居やがる。
「うをおおおおおおーーーーーーー!」
鉄格子に頭を打ちつける。
出たい!
出たい!
今すぐ出してくれーーーーー!!
鉄格子が少しひしゃげた。
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