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15.「は……、ルール違反は、していないです」

15.期末試験の結果


 二学期の期末試験前には生徒会メンバー全員に休みをやれた。体育祭で忙しく勉強時間を削られた分、この機会に挽回しろと命じていた。

 進学校ゆえ、試験のたびに、各学年約三百人中、上位五十名の名前と順位が廊下に張り出される。そしてその点数集計と掲示も、生徒会の仕事だ。

「会長、期末試験の順位出ました」

 黒石が、全学年の上位五十名のクラスと名前、総合点を表にした書類を持ってくる。

「ん」

 書類を三枚受け取って、ざっと目を通す。生徒会メンバーはたいてい五十位以内に入っている。五十位圏外になったやつは仕事を減らして早めに帰し、勉強させることにしている。

 三年生の順位表を見る。上位は相変わらず常連組だ。真野先輩が二位に転落していた。真野先輩は、先代の生徒会書記、鬼の冴澤先輩と、常に学年一位二位を争っている。あのふたりは今ごろ図書室で競争中か、とひっそり笑う。

 二年生の順位表で、俺は三位。体育祭で思い切り仕事した分をまだ取り戻せていないな、と内心嘆息する。生徒会を引退したら受験勉強に本腰を入れねば。沢野や水原、三浦も、いつもより若干順位を落としつつ、二十位前後をキープしている。他の二年も全員五十位以内に入っていた。

 一年生の順位表を見る。黒石が二位。

「お前、さすがだな。相変わらず、すごいな」

「いえ、そんなことは」

 黒石が俺の前で身を竦める。生徒会一年の名前を探すが、ノアの名前がない。あいつは確かいつも四十位前後をうろうろしていたが、ついに五十位以下になったか。体育祭仕事で毎日遅くまでマクドナルドに付き合わせたツケがきたか。

「ノアは何位? 百位ぐらいに落ちたか」

 眉をひそめて聞くと、黒石が答えた。

「六位です」

 は?

 視線を書類の上のほうに巻き戻す。名前があった。六位、上田乃亜。四十位前後からいきなり六位とはどういうことだ。うちの高校で十位以内なら首都名の付く大学を目指せるレベルだ。

「ノアの点数、合ってんの? 生データ見せて」

 自席から立ち上がり、黒石が点数集計していたパソコンをのぞき込む。上田乃亜で検索して、一学期の試験結果と今回の結果を見比べる。英語が数点下がっていたが、他の教科が軒並み上がっていた。

「ノア!」

 呼びつけると、ノアは走って寄ってきた。

「は、はいっ」

「お前の点数、これで合ってる?」

 ノアの今回の試験結果を指さして聞くと、ノアがパソコン画面をみて頷いた。

「はい、ええと、何点だったかはっきり覚えていないのですが、おそらくそのくらいだったかと」

「何でこんなに順位が上がってる?」

 俺の顔を見て、ノアがうろたえる。

「は……、ルール違反は、していないです。誓います。はい」

 俺もノアがカンニングしたとは思っていないが。

「勉強方法を変えたのか?」

 違う角度で聞いてみると、ノアが慌てて頷いた。

「あ、はい、そうです。ええと、変えました。会長のおっしゃっていた優先順位付けと効率化を、お勉強でもやってみました。私の中で、英語は得意なほうですので、すっぱりと勉強するのをやめまして、他の科目を重点的に。特に日本史ですね、苦手なものを優先いたしました」

 なるほど。ポンコツのくせに進化している。

「えらいな。よくできた。この調子だ」

 ノアの頭をなでる。ノアは俺を見上げて、「ありがとうございます、がんばります」と、嬉しそうに笑った。

 順位表は校内の複数箇所に掲示するので、黒石に各学年分複数枚印刷させ、すべてに会長印を押して、掲示許可を出した。

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