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五つ年上の女


佐野の名は亮太という。


佐野(さの)亮太(りょうた)。二十二歳。


彼女はいない。


木下(きのした)リーダーには答えたが、さらに詳しく言えば、去年から付き合っている年上の女ならいる。


風花(ふうか)、二十七歳だ。


風花は三日か四日に一度ぐらい、亮太のアパートへやってくる。


一室だけの、狭いアパートだ。ベッド。小さなテーブル。テレビ。壁際に置いた衣装ケース。玄関から中のおおかたが見わたせる。


風花は、基本、会いたいと思った時間に来る。


「これから行くね」と、向かい始めてから連絡をよこしたりなんかする。


きょう亮太が夜勤明けでも、あした早番でも、たいして関係はない。


疲れていると言えば、


「私が疲れるってこと?」と不貞腐(ふてくさ)れる。


風花が彼女なのか、微妙なところだ。そう簡単に、彼女か彼女でないか、決められない。


亮太は、風花が嫌いでない。好きなんじゃないかと思う。


でも悪いけど、風花が来るとなると、落ち着かない。


ちゃんと話せるか。


気分を悪くしないか。


頼りない男だと思われないか。


風花が求める親密さを、ちゃんと与えられるか。


だから亮太は、風花が来る時、盗んだマチョッパーズを嗅ぐ。


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