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借りられたマチョッパーズ


「借りた?」


扉を()(はな)って、全開にしたまま綾乃(あやの)も中に入る。


「すみません」


「なに。どういうこと?」


「不安が取れるから」


「不安?」


「は」


「なによ、は、って」


「落ち着くから」


「落ち着く?」


佐野(さの)は胸に(いだ)いたマチョッパーズに目を落とす。


「ゴルゴンゾーラ…癒やされる」


綾乃は唖然(あぜん)とした。


さっきまで熱発者(ねっぱつしゃ)が出たといって騒いでいたはず。壁ひとつ隣は、熱発者が寝ている部屋だ。


そのすぐそばで、この男は、人のマチョッパーズに顔を()めて、恍惚(こうこつ)としている。


「あなた…」


やっと正気(しょうき)に戻ったか、


「すみません」


「すみませんじゃないでしょう。返して!」と思わず手が出る綾乃。


対して全身でよける彼。(ブツ)を全身で守る佐野。


「返して」


「あ。は」


マチョッパーズをテーブルの上に置く。


綾乃もすぐには取り返そうとしない。


「何回目?」


彼はうつむくのみ。


「他には?」


「いえ」


「あなたでしょ?」


「は」


二足(にそく)とも?」


「は」


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