13/19
また盗ったの?
「亮太」
風花はベッドを揺らした。
「亮太。起きて」
「ん…」
「亮太」
やっと目を開ける。
風花は保存袋を突き出した。
「これ。何?」
亮太は目を見ひらく。
上半身を起こすなり、
「返して」
「誰の?」
「いいから返して」
亮太が手を伸ばす。
風花は後ろへさがって、
「また盗ったの?」
動きがとまった。
風花は袋を両手に持ち直す。亮太に見せながら、
「亮太」
亮太はベッドへ端座位になる。床を見る。
「誰の物?」
「言えないの?」
「返してよ」
「まだやってるの?」
風花は右手の袋を持ち上げて、
「女物だよね」
亮太が立ち上がる。「勝手に触らないでよ」
「どこで盗ったの?」
「返してって」
「これ、お店の?」
亮太は両手をマスクにして顔を覆う。深い息をひとつ。
「店じゃない」とつぶやく。
「だよね。新品じゃないもんね」
「…」
「職場?」
「…」
「職場の人のだ」
亮太はまたベッドに倒れ込んだ。




