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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第87話 新魔法 終焉光雨

学院襲撃事件から一ヶ月。

帝国学院は、ようやく以前の活気を取り戻しつつあった。


……とはいえ。


『まだ体育館は建設中かぁ……』


巨大な工事現場を見上げ、ライトは苦笑する。


原因の半分以上は隣に立つ銀髪の少女だ。


『マキナ』


『ハイ』


『もう体育館壊さないでね?』


『リョウカイシマシタ』


『本当だろうな?』


『ツギハマチノホウヘユウドウシマス』


『なんで規模がデカくなってるんだよ!!』


『ジョウダンデス』


『今ちょっと間があったよな!?』


いつものやり取り。

学院の日常は少しずつ戻ってきていた。


……少なくとも表向きは。



学院地下。

特別演習場。


帝国最高峰の結界が幾重にも展開された巨大空間。


そこには

学院長ルミナスとライトだけがいた。


『さて』


ルミナスが杖を構える。


『ライト君、今日こそ完成させようか』


『はい』


ライトの表情も真剣だった。


この一ヶ月。

授業が終われば毎日のようにここへ通った。


理由は一つ。

新しい魔法を作るため。


理由は、前回の戦い。

ライトは周りへの被害を考慮し、魔法が使えなかった。


ディバインアビスフレイムは大規模魔法。

辺り一面を吹き飛ばす可能性があった。


そこで、そういった場面でも使える魔法の開発に取り組んでいたのだ。


『君は光と闇の属性を持つ』


『普通なら共存しない』


『だから既存魔法には縛られない可能性がある』


ルミナスはそう言って笑う。


『だが前例が無い以上、今はそれを生かした魔法がない…..』


『なら作ればいい』


『無いなら作る』


『それが魔導士だ』


ライトも笑った。


『確かに』



最初は失敗ばかりだった。


光だけなら巨大な光弾。


闇だけなら破壊魔法。


だが。

下手に融合すると反発する。


あるいは互いを打ち消す。


『あと少しなんだけどな……』


ライトが頭を掻く。


ルミナスは静かに言った。


『固定観念を捨てよう』


『?』


『光を攻撃に使う必要はない』


『闇を破壊に使う必要もない』


『……あ』


その瞬間。


ライトの中で何かが繋がった。


元勇者のフランジュからの助言。

それを思い出した。



数時間後――


『学院長』


『出来るかもしれません』


『見せて』


ライトが深く息を吸う。


右手へ光。


左手へ闇。


二つがゆっくり混ざり合う。


普通なら暴走する。

だが今回は違う。


闇が光を包み。


光が闇を屈折させる。


黒い球体の内部で。


無数の星が瞬いていた。


『これは……』


ルミナスが目を見開く。


『撃ちます』


『結界最大出力!』


結界担当の教師達が魔力を流し込む。

結界が十重にも重なる。


『いけ』


ライトが指を鳴らした。


その瞬間。


黒い球体が空へ浮かぶ。


静かだった。


何も起こらない。


『失敗……?』


教師が呟いた。


その直後。


キィィィィィン……


空気が震える。


黒い球体の内部で。


無数の光が屈折した。


次の瞬間。


シュババババババババッ!!


数え切れないほどの黒銀色の光線が四方八方へ放たれる。


一直線ではない。


空中で何度も屈折し。


反射し。


予測不能な軌道を描きながら。


演習場の標的だけを。


寸分違わず貫いていく。


ドドドドドドドドドドッ!!


一秒。


いや。


〇・数秒。


それだけで

数百体あった魔導標的が全て消滅した。


静寂。


誰一人声を出せなかった。


やがて、ルミナスがぽつりと呟く。


『……恐ろしい』


ライトが振り返る。


『成功ですか?』


『成功どころじゃない』


学院長は苦笑した。


『こんな魔法……戦場で使われたら軍隊が消える』


ライトの頬が引きつる。


『えぇ……』


そんなつもりじゃなかった。



ルミナスは瓦礫となった演習場を見渡す。


『この魔法の名前は?』


『名前……』


ライトは少し考えた。


光。


闇。


無数の閃光。


そして。


天から降り注ぐ裁き。


『……終焉光雨エンド・レイン


黒銀の光が降り注ぐ。


終焉の雨。


ルミナスは静かに頷く。


『いい名前だ』


『帝国魔導史に残るだろう』


ライトは苦笑する。


『残したくないんですけどね』


『平和が一番です』


『それを言う人ほど強いんだけどね』


ルミナスは肩を竦めた。



その日の夕方

学院長室。


『失礼します!』


職員が飛び込んでくる。


『学院長!』


『神樹の国シルヴァリスの外交使節団が帝都へ入りました!』


ルミナスの目が細まる。


『予定より早いね』


『はい』


『先頭には第二王女リリアナ・シルヴェル様ご本人が』


『そう』


ルミナスは窓の外を見る。


夕日に染まる帝都。


『いよいよ始まるか』


その頃。


帝都へ続く街道では。


翠玉の旗を掲げた数十台の馬車が静かに進んでいた。


先頭に立つ少女。


リリアナ・シルヴェルは帝都を見据える。


『待っていてください』


『アイリシア姉様』


その翠色の瞳は。


帝都のさらに先――

まだ見ぬ”運命の少年”へと向けられていた。


新たな出会いが、世界をさらに大きく動かそうとしていた。

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