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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第83話 皇女に迫る王国の影

ズガァァァァァァン!!


ナインティーンイレブンから放たれた、二条の閃光が翡翠の特殊個体の頭部へ突き刺さる。


轟音。


衝撃。


圧縮された魔力弾が頭部装甲を貫き、内部を穿った。


『やったか!?』


思わず叫ぶ。


だが――


ギギギギギ……


翡翠の特殊個体は止まらなかった。


頭部中央には大穴が空いている。


しかし、その傷口から翡翠色の光が溢れ出し、まるで生き物のように装甲が再生を始める。


『うそだろ……』


俺は顔を引き攣らせた。


確かにコアは頭部にあった。

だが破壊しきれていない。


恐らくコア自体が想像以上に深い位置に埋め込まれている。


『ゴシュジンサマ』


『なんだ!?』


『コアノソンショウリツ、サンジュウイチパーセント』


『足りねぇ!!』


『タリマセン』


知ってる。


見れば分かる。


むしろ三割も壊れてたのか。

あの硬さで。


◇


その頃――


避難区域。


体育館へ誘導された生徒達は不安そうな表情を浮かべていた。


遠くから聞こえる爆発音。


振動。


時折見える閃光。


何が起きているのか分からない。


その中でフィオレリアは窓の外を見つめていた。


『ライト様……』


心配だった。


信じている。


だが不安は消えない。


すると――


『皇女殿下』


騎士の一人が近付いてきた。


見覚えのない顔だった。


『何でしょう?』


『副学院長より伝言です』


『エリオス様から?』


『はい。避難場所を変更するとのことです』


フィオレリアは僅かに首を傾げた。


『変更?』


『こちらへ』


騎士はそう言って歩き出す。


だが。


フィオレリアの隣にいたレオナの耳がぴくりと動いた。


『……』


獣耳が僅かに伏せられる。


何かがおかしい。


レオナは小さく鼻を動かした。


匂い。


微かな違和感。


この男。


騎士の匂いがしない。


『フィオレリア様……』


小さな声。


『どうしました?』


『その人……』


フィオレリアが振り返る。


レオナはその騎士をじっと見つめていた。


そして。


『知らない匂い……』


その瞬間。


騎士の目が変わった。


◇


ザンッ!!


隠し持っていた短剣が閃く。


『っ!?』


フィオレリアが咄嗟に後退する。


だが間に合わない。


その時だった。


ガギィィン!!


白刃を受け止めたのはハクだった。


『お前、誰だ』


白銀の刀身が火花を散らす。


偽装騎士は舌打ちした。


『チッ……』


次の瞬間。


男の顔が変化する。


魔道具による変装解除。


現れたのは黒髪の青年。


屋根の上から戦場を眺めていた男。

レイヴンだった。


『ほう』


レイヴンはハクと切り結びながらも、感心したようにレオナを見る。


『獣人は厄介ですね』


『……』


レオナは怯えていた。


だがフィオレリアの前から動かない。


小さな身体で必死に立っている。


『レオナさん……』


『だ、大丈夫……です』


震えている。


声も震えている。


それでも逃げない。


『ライトさんに……頼まれたから……』


フィオレリアの瞳が少しだけ見開かれた。


◇


その頃。


演習場。


『マキナァァァ!!』


『ハイ』


『アイツを止めろ!!』


『リョウカイデス』


翡翠の特殊個体が突進する。


地面が砕ける。


音速を超える勢い。


だが。


マキナの両目が青く発光した。


『リミッターカイジョ』


『待て待て待て!?』


聞いてない。


そんな機能聞いてない。


『センジュツモードイコウ』


『だから聞いてねぇって!!』


次の瞬間。


マキナが消えた。


本当に消えた。


残像すら残さない速度。


そして。


ドゴォォォォォン!!


翡翠の特殊個体の頭部が真横へ吹き飛ぶ。


さらに。


ドドドドドドドドドドッ!!


超高速の連撃。


拳。


肘。


蹴り。


肩当て。


未来兵器みたいな見た目なのに戦闘スタイルがゴリゴリの格闘戦だった。


『なんで殴るんだよ!?』


『ダンヤクノセツヤクデス』


『妙なところだけ常識的だな!?』


翡翠の特殊個体が大きく体勢を崩す。


その瞬間だった。


『ゴシュジンサマ』


『ん?』


『アチラノホウコウ』


マキナが指差した。


学院本校舎。


避難区域の方角。

そこから微かな魔力反応を感知したらしい。


俺も気付く。


嫌な魔力だ。


殺意。


明確な殺意。


『……フィオレリアさん!?』


嫌な予感が確信に変わった。


ゴーレムは囮。

最初から本命は別にいる。


『マキナ!』


『ハイ』


『こっちは任せる!』


『ショウチイタシマシタ』


『生徒を巻き込むなよ!?』


『ゼンリョクヲツクシマス』


全く安心できない返事だった。


だが今は信じるしかない。


俺は地面を蹴る。


全力疾走。


向かう先は避難区域。


フィオレリアの元だ。


そしてその背後では――


『ターゲットロック』


マキナの肩部砲塔が展開される。


翡翠の特殊個体も赤い瞳を輝かせる。


二体の化け物が互いを見据えた。


次の瞬間。


学院史上最大規模の怪獣大戦争が幕を開けようとしていた――

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