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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第82話 出撃!完全武装マキナ

翡翠色の巨大ゴーレムが無数の魔法を展開する。


まずい。


このままでは学院ごと吹き飛ぶ。


俺は咄嗟にブレスレット型アイテムBOXへ手を伸ばした。


そして、光と共に二丁のナインティーンイレブンを取り出す。


だが――


相手の動きが速い。

ここにはルシェインや取り巻き達もいる。

流れ弾は避けたい。


魔法….同じことか。


『チッ……!』


その瞬間。

インカムから機械的な音声が響く。


『ゴシュジンサマノキケンヲカンチ』


『マキナ!!』


ここは学院だ。

もちろんマキナは皇城の俺の部屋で留守番している。


だが――

あいつは普通の掃除ロボットではない。


しかし….


おい。


なんでインカムが繋がっている。


コイツ、勝手に回線繋げやがったな。


そして、尚もインカムから響く機械的な音声。


『エンゴコウドウヲカイシシマス』


その直後。


遥か後方。


皇城の方角から何かが凄まじい速度で飛来してくるのが見えた。


キィィィィィン!!


空気を裂く音。


そして――


ドゴォォォン!!


俺のすぐ隣へ着地したそれは。


銀髪の機械人形。


マキナだった。


『ゴシュジンサマ』


『来るの早くない!?』


『サポートガヒツヨウトハンダンシマシタ』


いやいや、それにしても早いだろ。

どんな速度だよ。


そうツッコミたくなるが今はそれどころじゃない。


さらに。

空の彼方から無数の光が飛来する。


『アレは……』


ライトが目を見開く。


俺は見覚えがあった。


昨日。

部屋のベッドの下から飛び出してきたマキナの武装パーツだ。


キィィィィィン!!


ガシャァァン!!


マキナの周囲へ次々と突き刺さる。


まるで主を守る騎士の剣のように。


『ブソウユニット、リンクカイシ』


武装パーツが展開。


変形。


接続。


マキナの身体を覆っていく。


肩部装甲。


脚部推進器。


背部ユニット。


そして巨大な砲身。


僅か数秒。

その姿はもはやメイド型機械人形ではなかった。


完全武装形態。

未来兵器そのものだった。


『……』


もう何でもありだな…..

カッコいいから良いけど…..


すると、翡翠のゴーレムが赤い目を光らせる。


初めて見る存在に警戒しているのだろう。


当然だ。


ゴーレム、そして王国はマキナの存在を知らない。


だが――

俺も知らなかった。

マキナがこんなだとは。


『おいシュプール……』


思わず呟く。


『お前、一体何を作ったんだ……』


とはいえ、マキナの戦闘性能には興味があった。


『まぁ、この際だから性能テストといこうか』


『リョウカイイタシマシタ』


『ここには生徒達が残っている。大規模な攻撃はタブーだ!いいな?』


『オマカセクダサイ』


マキナはそう言うと肩の巨大な砲身ユニットを翡翠の特殊個体に向けた。


さらに、両腕両脚の武装パーツが開き、ミサイルポッドが姿を現す。


ちょっと待て。

それって、どう見てもお前の最大火力兵器だろ。


砲身ユニットの先端に光が集まる。


『エネルギーチャージカンリョウ』


いや、完了じゃねえよ。

絶対ダメだろそれ。


『モクヒョウヲホソク』


止めようにも、時すでに遅し。


『ウチマス』


瞬間――


翡翠の特殊個体へ放たれる光の帯。


光の帯を追従する夥しい数のミサイル。


着弾と共に巻き上がる大爆発。


『バカやろぉぉぉぉぉっ!』


ライトは周囲の被害を抑えるべく、翡翠の特殊個体を囲うように魔力障壁を全開に展開する。


魔力障壁の中で吹き荒れる暴威。


爆炎が荒れ狂う。


轟音。


閃光。


衝撃。


まるで巨大な火山でも噴火したかのような有様だった。


『ぐぅぅぅぅっ!!』


俺は歯を食いしばる。


展開した魔力障壁が悲鳴を上げていた。


ビシッ!


ビシビシッ!!


障壁表面に亀裂のような光が走る。


ヤバい。


マジでヤバい。


展開した障壁が、マキナの攻撃で壊れそうだ。


『マキナァァァ!!』


『ハイ』


『これのどこが大規模攻撃じゃないんだ!?』


『ピンポイントコウゲキデス』


『規模の話をしてるんだよ!!』


会話にならない。


やはりコイツ、どこかがおかしい。


いや、作った奴がおかしいのか。


その時だった。


爆炎の中から赤い光が灯る。


『……っ!?』


次の瞬間。


ドォォォォン!!


障壁を突き破って何かが飛び出してきた。


翡翠の特殊個体だ。


『無傷だと!?』


正確には無傷ではない。


胸部装甲が大きく抉れている。


左肩も半ば吹き飛んでいた。


だが――


動いている。


それどころか。


『おいおい……』


破損箇所から翡翠色の光が溢れ出す。


そして。


砕けた装甲が再生を始めた。


『自己修復機能かよ……』


最悪だった。


特殊個体どころじゃない。


王国がこんな化け物を隠し持っていたとは。


ゴーレムは赤い瞳を明滅させる。


そして。


今度は真っ先にマキナへ向き直った。


どうやら脅威度の高い方から始末するらしい。


『マキナ!来るぞ!』


『カクニン』


返答と同時。


ゴーレムが消えた。


『速っ!?』


次の瞬間。


ズドォォォォン!!


凄まじい衝撃。


マキナが両腕を交差させて受け止めていた。


しかし。


地面が大きく抉れ、数十メートルも押し込まれている。


『ウケトメマシタ』


『受け止めてねぇ!押されてる押されてる!!』


『モンダイアリマセン』


ある。


大アリだ。


だがマキナもただ押されているだけではなかった。


背部ユニットが展開。


脚部推進器が唸りを上げる。


ボォォォォッ!!


噴射。


加速。


そして。


『ハッシャ』


至近距離から砲撃。


ドォォォォン!!


今度は翡翠の特殊個体が吹き飛んだ。


地面を転がる。


だがすぐに起き上がる。


硬い。


異常なほど硬い。


『ゴシュジンサマ』


『なんだ!?』


『ブンセキカンリョウ』


『はやっ!?』


戦闘始まってまだ数十秒だぞ。


『コアハトウブニソンザイ』


『マジか!』


有益な情報だった。


シュプール製なのに珍しい。


『コアヲハカイシナケレバセンメツハコンナンデス』


『了解!』


俺はナインティーンイレブンを構える。


狙うは頭部。


ただし――


簡単には撃たせてくれない。


ゴーレムもこちらを警戒している。


なら。


やることは一つだ。


『マキナ!』


『ハイ』


『五秒だけ足止めしろ!』


『リョウカイデス』


次の瞬間。


マキナの背中から大量のワイヤーが射出された。


『ナニソレ!?』


初めて見た。


本当に初めて見た。


聞いてない。


シュプールから何も聞いてない。


ワイヤーがゴーレムへ絡み付く。


拘束。


引き倒し。


さらに両腕のアンカーまで撃ち込まれる。


ゴーレムが暴れる。


だが一瞬だけ止まった。


十分だ。


『もらったぁぁぁ!!』


俺は地面を蹴る。


加速。


跳躍。


空中で二丁のナインティーンイレブンを構える。


魔力を限界まで圧縮。


照準。


頭部中央。


コア推定位置。


そして――


『ぶち抜けぇぇぇぇぇっ!!』


ズガァァァァァァン!!


二条の閃光が翡翠の特殊個体へ向かって放たれた。


その瞬間。


誰も気付かなかった。


遥か遠く。


学院の屋根の上から。


一連の戦いを見下ろしている人影があったことに。


黒髪の青年。


王国のスパイ――レイヴンだった。


『なるほど』


薄く笑う。


『やはりライト・グランフェルは危険ですね』


その視線は戦場ではない。


もっと別の場所へ向いていた。


避難している生徒達。


そして――


フィオレリア皇女へ。


『ですが、本命はこちらです』


レイヴンの笑みが深くなる。


翡翠の特殊個体は囮。


最初から目的は変わっていない。


帝国に混乱をもたらし。


そして魔王国へ罪を着せること。


学院襲撃事件は、まだ始まったばかりだった。

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