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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第80話 消えた魔導兵器

ルシェイン皇子の一件から三日後――


俺はいつものように学院へ登校していた。


特に変わったことはない。


ハクとヒメルは何とか学院に通えているし、レオナも以前より少しだけ話してくれるようになった。


シュプールは相変わらずだ。


相変わらずすぎて、もはや誰もツッコまなくなってきた。


それはそれでどうなんだろう。


そんなことを考えながら教室へ向かっていると――


学院中にけたたましい鐘の音が鳴り響いた。


ゴォォォォン!!


ゴォォォォン!!


ゴォォォォン!!


思わず足を止める。


なんだ?


火事か?


いや違う。


周囲の生徒達の反応を見る限り、ただ事ではない。

廊下を教師達が慌ただしく走り始めている。


『全生徒は教室へ戻れ!』


『校舎内を移動するな!』


『繰り返す!教室へ戻れ!』


かなり切羽詰まっている。


俺は眉をひそめた。


するとインカムが鳴った。


『ライト様ぁ~!大変ですぅ~!』


シュプールだった。


嫌な予感しかしない。


『どうした?』


『アサルトが無くなりましたぁ~!』


俺は思わず足を止めた。


『……は?』


『研究棟の保管庫からですぅ~!』


アサルト。


魔王国が開発した新型魔導兵器。


現在は帝国軍への配備試験も兼ねて学院内で研究教材として運用されている。


当然ながら実弾は別管理だ。


だが。

問題はそこじゃない。


『盗まれたのか?』


『その可能性が高いですぅ~!』


最悪だった。

学院内で魔導兵器盗難。


しかも魔王国製。


もし犯人が暴発でもさせれば大問題になる。


『今どこだ?』


『研究棟ですぅ~!』


『分かった。すぐ行く』


俺は進路を変えた。



研究棟の周囲は既に騒然としていた。


教師達。


騎士達。


学院職員。


大勢が集まっている。


その中心にはエリオス副学院長。


そしてフィオレリアの姿もあった。


『ライト君』


エリオスが険しい顔を向ける。


『どういう状況ですか?』


『保管庫からアサルトが一丁消えた』


『侵入痕は?』


『無い』


『は?』


俺は思わず聞き返した。


『無い?』


『鍵も破壊されていない』


つまり。


内部犯。


俺は顔をしかめた。


『保管庫に出入りできる人間は?』


『教師数名と研究担当者のみだ』


ますます厄介だ。


その時。


『ライト様』


フィオレリアが近付いてきた。


表情が硬い。


『どうかした?』


『昨夜、見回りの兵士が一人襲われています』


『何だって?』


『意識不明です』


俺の顔から笑みが消えた。


ただの盗難じゃない。

計画的犯行だ。



現場検証を終えた頃には昼を回っていた。


しかし犯人の手掛かりは少ない。


そんな中。

俺は一つだけ気になることがあった。


『レオナ』


『え?』


中庭で会ったレオナに声を掛ける。


彼女は少し驚いた顔をした。


『どうしたの?』


『聞きたいことがあるんだけど』


『う、うん』


俺は周囲を確認した。


誰もいない。


『三日前の食堂で言ってたよね』


『目が怖かったって』


レオナの耳がぴくりと動いた。


『……うん』


『誰のこと?』


レオナは少し迷った後。


小さく答えた。


『ルシェイン皇子の近くにいた人』


『近くにいた?』


『うん』


『皇子じゃなくて?』


『違う』


レオナは首を振る。


『取り巻きの人』


その瞬間。


俺の脳裏に浮かんだ。


あの日。

教室で見た男子生徒。


アサルトを睨んでいた男。


『そいつの名前は?』


『分からない』


『特徴は?』


『えっと……』


レオナは一生懸命思い出している。


そして。


『人族』


『うん』


『黒髪で……』


『うん』


『目が笑ってない人』


怖ぇよ。


情報量少なすぎる。


しかし。


レオナの勘は侮れない。


獣人特有の感覚なのか。

彼女は以前から人の感情に敏感だった。


しかし、特徴がアサルト睨んでいた奴とは一致しない…


黒幕は他にいると言うことか。


『ありがとう』


『役に立った?』


『十分だよ』


そう言うと。


レオナは少し嬉しそうに耳を揺らした。



その日の放課後。

事件は急展開を迎える。


学院の外れ。


使われなくなった旧訓練場。


そこで警備兵が発見したものは――

壁一面に刻まれた無数の弾痕。


そして。


地面に転がる薬莢。


さらに。


血を流して倒れている男子生徒だった。


『生きてるか!?』


『意識があります!』


騎士達が駆け寄る。


男子生徒は震えていた。


顔面蒼白だ。


『何があった!?』


『ば、化け物だ……』


『何?』


『見えなかった……』


男子生徒は震える指で前方を指差した。


『誰もいないのに……撃たれた……』


その言葉に。


俺は嫌な予感を覚えた。


見えない相手。


銃撃。


そして盗まれたアサルト。


まさか――


その時だった。


ドォォォォン!!


学院の北側から爆発音が響いた。


全員が振り向く。


黒煙が空へ立ち昇っている。


『あれは……演習場!?』


フィオレリアが顔色を変えた。


そして次の瞬間。


学院中に再び警鐘が鳴り響く。


ゴォォォォン!!


ゴォォォォン!!


『緊急事態発生!』


『全生徒は避難せよ!』


『繰り返す!避難せよ!』


騎士が叫ぶ。


その声を聞きながら。


俺は黒煙の向こうを見つめた。


嫌な予感が確信へ変わる。


本来の目的はアサルトの盗難じゃない。


犯人の目的は別にある。


そして。


その裏にはきっと。

何かがある。


そう直感したのだった。

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