第7話 魔王軍VS王国軍
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
魔王はライトに見せた事のない、冷酷な表情で上空に幾つもの魔法陣を発現させた。
そして、その魔法陣一つ一つから極大の炎を放つ....
魔王の魔法陣から放たれた竜を形取った紅蓮の炎は、眼下に整然と陣を組む敵兵を次々と飲み込み、大地を炎の地獄に変える。
魔王の魔法に端を発し、後方に控えていた大魔導士アローラ率いる魔王軍魔法師団も一斉に魔法陣を展開、炎や雷、氷といった様々な属性の魔法を魔法陣から掃射して、敵軍の前線に更なる被害をもたらす。
味方の魔法一斉掃射の中、ベイル率いる魔王騎士団が、前線がズタズタに崩壊した敵軍に疾風の如き速さで突撃をかけ、更にその鋭い刃で敵陣深くに斬り込む。
その横で、ホイズも普段の教育係兼世話係の顔ではなく、本来の魔王親衛隊長としての顔つきで、付き従える魔王親衛隊の前に立ち、敵兵をまるでオモチャのように吹き飛ばしながら、さながら暴走した大型ダンプのように敵陣に突進する。
その魔王軍の面々からは、普段の優しさなど微塵も感じない。
感じるのは相対した敵への凄まじい殺意のみである。
魔王ガルス達はライトとハクを城に残し、侵攻してきたアストリア王国軍と対峙していた。
『魔王様、敵軍の被害は甚大!このままいけば我々の勝利は確実ですわ!』
魔王ガルス同様に空に浮かび立つ魔法師団長のアローラはフラグ立てまくりとも思える戦況報告をする。
『うむ、しかし油断はならん...奴らは我々の力を知らん訳ではないはずだ、数で押し切れるなど思ってはいないだろう....それでも攻めてきたという事は、何か隠している策がある筈だ』
『先日、ベイルに怪我を負わせた者はこの戦場にいるのか?』
『いえ、ベイル殿の話によると、今のところ姿は見えないとのことでしたわ』
『そうか...ベイルは油断しただけだと言っていたが警戒は必要だろう。もし、現れるような事があれば俺が相手をする。いいな!』
『承知致しました。引き続き警戒を強めますわ!』
そのやり取りの後、魔王軍の攻撃は圧倒的な破壊力で更に激しさを増していく。
一方、王国軍本陣では、豪華な鎧を身に纏った指揮官風の男が大汗をかき、狼狽えながら天幕の中で頭を抱えていた。
『まだ到着せんのか!このままではここも危ういぞ!あ奴らは何をしておるのだ!』
指揮官風の男は、部下らしき兵士に怒鳴りつける。
『はっ!間も無く到着となる見通しです!』
『ええぇーい!急がせろ!』
二人のやり取りから、指揮官風の男は何かを待っている様子だ。
『アレさえ、奴らさえ到着すれば...』
指揮官風の男は不気味に呟く...
暫くして、前線では魔王ガルス率いる魔王軍が圧倒的な力で王国軍を蹂躙し続けていた。
軍様は開戦当初、王国軍が一万、魔王軍が一千と実に10倍の差があったが、逆に魔王軍と王国軍の力の差は歴然で、瞬く間に数の差を無きものとしていった....
人族お得意の数の暴力が通用しない....もはや誰の目にも魔王軍の勝利は目前かのように見えた。
『.........』
魔王軍後方の上空で、魔王ガルスは静かに戦況を見守る。
『魔王様、もはや敵軍には反撃の余力は残されていないかと….』
『いや、戦は最後まで分からんものだ、気を抜かず警戒を続けろ』
『失礼致しました!承知致しましたわ!』
魔王軍の勝利は揺るぎないという魔法師団長のアローラに対して、魔王ガルスは油断はならないと再度気を引き締めるよう指示を出す。
その時!
ピカッ!!
ドォォォォォォォッン!!
快進撃を続ける魔王軍の前線付近から眩い光が走り、その直後に大きな爆発が巻き起こる。
『!!!!!』
巻き上がった地面の破片が降り注ぐなか、余りの爆発規模に驚きを隠しきれない魔王ガルスは目を見開く。
戦場をひと時の静寂が包み込み、爆発によって巻き上がった砂煙が晴れていく。
目を凝らしてみると、そこにはあちこちに吹き飛び、身体が千切れ無惨な姿となった魔王軍前衛兵士の姿の数々。
そして、その側に身長5メートル程の人影が5体。
『あ、あれは....?』
魔王は更に目を凝らす....
『な、何が起こったんだ....』
『う、うわぁぁぁぁ!!』
余りの突然の惨劇に、残った魔王軍前衛の兵士は静寂を破り、悲鳴に似た叫び声を上げ始める。
そんな魔王軍前衛に対し、その巨大な人影は情けなど微塵も感じさせず、全てを殲滅せしめんと5体同時に攻撃を開始した。
その攻撃力やスピードは凄まじく、先程まで王国軍を蹂躙していた魔王軍の前衛が瞬く間に吹き飛ばされていく....
『くっ!!!』
そんな光景を目の当たりにした魔王ガルスは、散り行く仲間達を助けようと前線へ高速で飛翔し、数秒後には5体の巨大な人影の前に立ちはだかる。
そこで、ハッキリと敵の姿を目の当たりにする。
『ゴーレムか....?』
巨大な人影の1体は白銀に輝く身体に金の装飾が施され、巨大な剣を携えたゴーレムのような何かだった。
他にも瑠璃色に染まった身体のものや、真紅のもの、黄金に輝くものから、薄紅色のものなど様々な色彩のゴーレム達が立ち並ぶ...
それぞれ手にする武器も違い、白銀と瑠璃色は剣を、真紅はロッドを、黄金は盾とメイスを、薄紅色はロザリオを手にしている。
通常ゴーレムは武器や魔法は使わない...
しかも、あんな姿のゴーレムなど魔物達の王たるガルスでも見たことはない。
明らかに異端な存在だ....
『は、ははは....ひゃははははっ!魔物の分際でよくもここまでやってくれたな!ここからは、お前達魔物どもが狩られる番だ!隠れても無駄だ!皆殺しにしてやる!』
先程まで、天幕で怯えていた王国軍の指揮官風の男は、いつの間にか前線へ出てきており、ゴーレム達の遥か後方から魔王達を嘲笑うかのように告げる。
『よもやこんなオモチャで俺に勝てるなんて思ってはいないよな〜!!!』
対して魔王は、敵軍指揮官の言葉に不快な表情浮かべながら言葉を返し、それと同時に自身の目の前に幾層もの魔法陣を発現させると、そこから漆黒の業火をゴーレム達に向かって放つ。
アビスフレア....それは魔王ガルス固有の魔法であり、それ故に威力は絶大で、その漆黒の炎はどんなものも焼き尽くす地獄の業火だ。
ゴーレム達は、あっという間に漆黒の業火に飲み込まれた。
魔王ガルスの眼下の大地には真っ黒な炎が燃え盛る...
『.......』
魔王ガルスは暫く無言でその漆黒の炎を見つめ、やがて勝利を確信し、残った王国軍を一掃しようとその燃え盛る漆黒の炎から目線をそらす....
その瞬間!
『ピアスオブライト….』
『!!!!...この声は!』
何故か、アビスフレアの黒炎の中から懐かしき声で、よく知る技の名前が聞こえた....
そして漆黒の炎から聖光を纏った何かが、魔王ガルスに向かって光の速さで飛び出す!
『ぐっ....!』
懐かしき声に気を取られ、反応が遅れた魔王ガルスの目の前の視界には白銀のゴーレムが映り、そして胸に激痛が走る….
何故か懐かしい声を発し、目の前に光の速さで現れた白銀のゴーレム....
その手に持つ巨大な剣は魔王ガルスの胸に深く突き刺さっていた...
この技は知っている....アイツの技だ....
ふと、魔王は自身を貫く白銀のゴーレムに目をやると、先程のアビスフレアによって胸部の部品が欠損し、露出した内部にある人影に気づく....
『ふっ、そんなとこにいたのか....アレン....』
魔王は白銀のゴーレムを見つめて懐かしそうな表情で呟く….




